火山の驚異を体感!群馬「鬼押出し浅間園 浅間火山博物館」

火山の驚異を体感!群馬「鬼押出し浅間園 浅間火山博物館」

更新日:2016/10/04 13:56

「浅間火山博物館」は、日本有数の活火山「浅間山」の生い立ちや、かつての噴火活動、火山の仕組みなどを展示する博物館。館内は自然展示室・気象観測などのコーナーに別れていて、地学展示室では、歴史的な「天明の噴火」に注目を当て紹介。当時の資料や被害に遭った鐘など、リアルな展示物を公開しています。また、噴火で甚大な被害を受けたサバイバル遺跡「鎌原観音堂」など、博物館と併せて立ち寄りたい見所もご紹介します。

火山のパワーを感じられる貴重な博物館

火山のパワーを感じられる貴重な博物館
地図を見る

ご紹介する「浅間火山博物館」は、浅間山山頂から直線距離で凡そ5kmの山裾に位置しています。浅間山の自然を満喫できるように、博物館の周囲に自然遊歩道が設けられるなど、浅間山を知る上で格好の立地条件。

この博物館は、1967年にオープン。かつての浅間山の噴火活動や火山の仕組みなど、火山を紹介するちょっぴり珍しい博物館です。博物館に入ると入口は、溶岩トンネルをイメージした洞窟になっていて、入口に入った瞬間から、ちょっぴり探検気分も味わえてしまいます。

別世界が広がる「ロストワールド」

別世界が広がる「ロストワールド」
地図を見る

館内に入ると、最初に現れるのは、地底の世界や地下のマグマだまりを再現した「ロストワールド」。赤くドロドロとした溶岩や噴出しようとしているマグマなど、リアルに表現されています。「えっ!地底は、こんな世界が広がっているの?」と思わず関心してしまうほど、驚きの光景が広がっています。

ここでは、かつて伊豆大島で起った三原山の噴火や、雲仙普賢岳の噴火、ハワイのキラウエア火山の噴火など、実際の映像を交えながら、コンピューター制御によって地鳴りなどリアルに表現される本格的な映像コーナーがあります。本物さながらの音が鳴り、映像だと思っていても恐怖心を抱いてしまうような大噴火を見られてしまい、計り知れない自然のパワーにただただ唖然!

生きている浅間山を目の前で感じる!見逃せないコーナー

生きている浅間山を目の前で感じる!見逃せないコーナー
地図を見る

変わってこちらは「浅間山の生い立ち」のコーナー。現在の浅間山は、10万年ほどかかって成長し、3つの火山が次々と積み重なってできた山。ここでは、過去の噴火を年代別に紹介する、当時の地形のジオラマと共に、絵や写真が展示されています。火口から噴煙を上げる生々しい様子が見られ、山の成り立ちをアニメで紹介する映像コーナーもあるので、誰でも分かり易く学べるのも魅力の一つ。子供から大人まで浅間山の歴史を簡単に知ることができますよ。

また、浅間山は現在でも活発な火山活動が観測されている日本でも有数の活火山。気象観測コーナーでは、そんな山の現在の画像を見られるので、どんな様子か是非覗いて下さいね。

遺品が物語る!後世に語り継ぐ大噴火「天明の噴火」

遺品が物語る!後世に語り継ぐ大噴火「天明の噴火」
地図を見る

ここは、浅間山のかつての噴火活動で、歴史上最も大規模だった1783年に起きた「天明の噴火」にテーマを絞ったコーナー。天明の噴火で、最も甚大な被害を被ったのは、山麓にあった鎌原(かんばら)村。

噴火で起きた時速100kmの土砂なだれが村を襲い、477人の命を奪い、生き残ったのはわずか93人。展示されている鐘は、その村の北にあったお寺の鐘。鐘も土砂なだれで流失し、噴火から130年経った明治時代に発見されたもの。寺から約15km離れた川の下流で見つかったそうで、鐘をよく見てみると土砂の衝撃で窪みができるなど損傷の跡が見られます。

厚みのある鉄をも曲げるようなエネルギーとは、どれ程なものかと想像するだけで、ぞ〜っとしてしまいませんか? 鐘の後ろには、山から吹き出る赤い溶岩や黒い噴煙が立ち上がる噴火の様子を鮮明に描いた絵があり、不気味な程にも山の怖さが伝わってくるかのようです。他にも、噴火を伝えた当時の瓦版など、印象深い歴史的な資料も残されているので、是非ご覧下さい。

肌で感じる大災害の足跡!「鎌原観音堂」の重要な意味をもつ石段

肌で感じる大災害の足跡!「鎌原観音堂」の重要な意味をもつ石段
地図を見る

浅間山と噴火は、切っても切れない関係。折角、博物館まで足を延ばしたのなら「鎌原観音堂」へ立ち寄ってみませんか? ここは、博物館から車で約5分程の場所にあり、先程ご紹介した「天明の噴火」で最悪の被害を受けた鎌原村(現在は、嬬恋村)にある観音堂です。

お堂から伸びる石段は、現在15段程しかありませんが、本来であれば50段の石段があったところなのです。天明の噴火の際に、土砂なだれがこの村を襲い、15段の石段を残して埋まってしまったのです。村人の477人が命を落としましたが、高台の観音堂に避難した93人だけが生き残り、ここは生死を別けた石段なんです。

噴火によって発生した土砂なだれは、容赦なく村全体を飲み込み、昭和54年の発掘の調査では、石段の48〜50段目(地下4.5m)付近で、逃げ遅れた2人の折り重なった女性の遺体が発見されました。火山灰で地中に埋まったイタリアの世界遺産「ポンペイ」になぞられ「日本のポンペイ」とも呼ばれ、その遺体は若い女性が年老いた女性をおんぶした状態だったと云われています。

多くの遺跡では、見ても感情は伝わってきませんが、ここは人間として生きていた証や、感情がそのまま伝わってくるかのようなところです。今すぐにでも起こりうる噴火の恐ろしさを、今に伝えているかのよう。朱色の橋の下では、地中に埋まっていた石段を見ることができるので、是非ご覧になってみては如何でしょうか。「鎌原観音堂」は、厄除け観音として信仰されているので、拝んでみても良いですね。

おわり

ご紹介した「浅間火山博物館」は、上信越道「碓井軽井沢IC」から、有料道路「鬼押しハイウェイ」を通り、約30分の場所。館内は、エレベータもあるので、車椅子でも見学ができます。また、ドライカレーやわかめごはんなど、約20種類のレトルトの非常食が食べられる「非常食レストラン 華山」もあるので、どんな味がするのか興味がある人は是非どうぞ。

「浅間山の噴火で被害が起ったのは、群馬県」と思って、安心しているあなた! 実は、ご紹介した「天明の噴火」では、噴火によって土砂や水を巻きこんだ「土石なだれ」が、吾妻川を堰き止め決壊。下流の利根川流域にも甚大な被害を及ぼしたそうで、首都圏でも決して他人事ではないのです。自然災害は、いつでもどこでも起こりうる時代。「浅間火山博物館」で、過去に起こった出来事に耳を傾けて、何かを学び取って見る旅は如何なものでしょうか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/09/22 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -