写真：瀧澤 信秋
地図を見る千曲川に沿うように温泉地が開ける戸倉上山田温泉は、信州の人気温泉地です。とはいえ、長らく続いた不況の影響もあり、全国各地の温泉地に散見されるように長らく往事の活気が見られず、特に団体客を大量に受け容れていたような大型温泉旅館の苦戦が目立ってきました。
そのような中には閉館する施設や、大手格安チェーンに鞍替えされた施設もありますが、個人客の満足度を上げることで注目される旅館が増えています。近年にわかに注目を集めているワード「おもてなし」。お客様個人に立ち返る原点回帰です。
そうした旅館には、一個人のゲストに対する宿泊者目線という視座から、サービス提供を続ける努力が光ります。決してハイクラスでもラグジュアリーでもない、気軽に訪れることができる、そうした施設の奮闘が戸倉上山田温泉の再生に活力を与えつつあります。
写真：瀧澤 信秋
地図を見る御母手成志（おもてなし）の宿 荻原館は、その名のとおりゲスト個々人へのおもてなしの心を大切にする旅館です。戸倉上山田温泉のメイン通りに面し、温泉街の雰囲気を感じられるロケーションです。
建物自体の経年感はありますが、よく手入れされた館内はリフォームもなされ、清潔感もあり心地よく過ごせます。1階にある大浴場は湯量も豊富で源泉掛け流し。湯の花が漂う硫黄の香りに泉質の高さを実感、心底癒されます。
リニューアルがなされた最上階露天風呂は宿ご自慢。山々の眺望や温泉街の情緒も感じることができます。特に、ゆったりできる夕刻から夜がおすすめです。
写真：瀧澤 信秋
地図を見る旧来の施設を再生した格安温泉旅館チェーンが人気です。しかし、老朽化した施設やセルフサービスの多さ、夕食の内容などに対するサービスへの不満の声も多く聞かれます。「安いから仕方ない」という割り切りや諦めの声は多く、大型施設ゆえの簡易で画一的なサービスしか提供できない施設側のジレンマもみられます。
ところが格安チェーンに準ずる料金帯にして、安かろう悪かろうではなく、快適でおもてなしの心溢れる、コストパフォーマンスの高い温泉旅館が増えていますが、御母手成志（おもてなしの宿） 荻原館はそのさきがけと言えます。大型温泉観光ホテルにはできない温かくキメ細かなサービスの提供を目指しているとのこと。
このような個人満足をもたらすサービスといえば、高級旅館がその代表格ですが、御母手成志（おもてなし）の宿 荻原館は利用しやすい料金体系。決して高級旅館ではありません。
写真：瀧澤 信秋
地図を見る利用しやすい料金帯という小規模な旅館は、割り切ったサービスに清潔感も低い古い施設、とつい想像してしまいますが、御母手成志（おもてなし）の宿 荻原館は良い意味で予想を裏切ってくれます。スモール温泉旅館ともいうべき規模だからできる進化なのかもしれません。
何よりも感心するのは夕食です。この宿泊料金にして部屋出しというから驚きます。格安大型温泉ホテルのブッフェ夕食に見られるような喧噪とは無縁。客室稼働に余裕のある時は、隣の客室が食事専用に用意されることも。これまた贅沢、心底リラックスできます。
食事の内容は、地産メニューを積極的に採用。提供方法、見せ方なども含め創意工夫がみられます。朝食は会場で提供されますが、朝食まで部屋食だと布団の上げ下げなどせわしなさもあるということで、ゆっくり寝ていたいというゲストへの気遣いなのです。
写真：瀧澤 信秋
地図を見るチームワークが光る御母手成志（おもてなし）の宿 荻原館の女将は、美肌の湯を体現するような荻原祥子さん。美人女将としてテレビなどへの出演も多い方です。戸倉上山田温泉の旅館女将や主婦らでつくる「湯あがり美女連」の代表も務めています。
宿泊料金に糸目を付けなければ、もちろん高いサービスを享受することができますが、出迎えから感じる美人女将を中心としたチームワークの良さ。女将をはじめスタッフのみなさん全員からおもてなしの心が「見える」荻原館です。
サービスには合理性もありますが、おもてなしは心の追求ともいえます。派手でも豪華でもないけれど、ホッとくつろげる雰囲気は貴重です。小規模の温泉旅館だからできるのかもしれません。そんな御母手成志（おもてなし）の宿 荻原館へ出向いてみませんか？
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(2024/4/24更新)
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