北アルプスのルートラボ(天空の表銀座縦走編)

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北アルプスのルートラボ(天空の表銀座縦走編)

北アルプスのルートラボ(天空の表銀座縦走編)

更新日:2017/04/20 16:54

本井 良尚のプロフィール写真 本井 良尚 風景フォトグラファー

中房温泉から槍ヶ岳を経由して上高地に至る登山路は、主に表銀座縦走と呼ばれ、日本アルプスに昔からあるクラシックルートの一つ。三大急登から始まる40kmの行程、アクロバティックな縦走路、そして3000m級の稜線から見える雲海の世界、ここは数少ない日本の原風景が残る場所だ。今回は絶景登山である表銀座縦走を、登りから下りまで出来るだけ詳細に二泊三日で紹介する。

表銀座縦走(中房温泉)へのアクセス方法

写真:本井 良尚

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表銀座縦走の起点である中房温泉には、東京や大阪、名古屋といった主要都市を経由した方が時間、交通費ともに抑えることができる。例えば東京からだと下記の3つの方法がある。

1、毎日あるぺん号で行く。
22:45に竹橋(毎日新聞社西口玄関ロビー)から直接、中房温泉に向かう方法。料金が8800円程度と若干割高だが、早朝6時から楽に取り付けるメリットがある(概ね7月中旬〜10月中旬までの期間限定)。一番オススメ。

2、さわやか信州号で白馬・扇沢・安曇野線で行く。
新宿バスタから乗車(始発08:15)→安曇野穂高で下車(12:11着)→南安タクシーの定期バスで向かう。こちらは出発が13時を超えてしまうので、中房温泉に前泊、もしくは初日に燕山荘に宿泊の場合はこれで行こう。
一方で特定日の23:05〜03:57というのもあり、早朝出発も可能。費用は昼間便3700円、夜行便が5050円、安中タクシーの路線バス1700円をどちらかに足すと、5400〜6750円が相場となる。

3、アルピコ交通と京王電鉄バスが共同運用する高速バス、松本・新宿線で向かう。
新宿バスタから乗車(始発06:05)→松本バスターミナル(09:23着)→徒歩で松本駅へ→JR大糸線で穂高駅へ→安中タクシーの定期バスで中房温泉に向かう。こちらも取り付きが昼頃。
最終は新宿22:25発の松本バスターミナルに25:43着。この場合は始発まで3時間ほど待つ必要がありオススメできない。トータル取りつき費用5520円。

前泊無しの二泊三日は、早朝出発で大天井岳まで歩を進めておきたいところ(約10時間)。その辺りを吟味して取り付き方を精査していただきたい。

1日目・北アルプスの女王、燕岳

写真:本井 良尚

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表銀座縦走コースの登山口である中房温泉。
序盤の合戦尾根は北アルプスきっての急登だが、等間隔でベンチや合戦小屋があり楽しく登ることができる。合戦小屋のスイカは名物で、夏期登山時は頂きたい逸品だ。そしてそこから少し登ると燕岳の全容、美しい日本アルプスが眼前に広がる。

燕岳の白く透き通った山容は北アルプスの女王と呼ばれ、表銀座縦走の中でも特に人気のポイント。夏期は高山植物の女王、コマクサが白いキャンパスに赤く点景として咲き、雷とともに現れるライチョウなど表銀座縦走の出だしはアルピニズムを大いに楽しめる山行となる。燕岳は常念山脈の一角として北アルプス入門時によく登られる山だ。ここを通過すればいよいよ表銀座縦走の核心部分に入っていくことになる。

写真:本井 良尚

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(表銀座縦走1日目、中房温泉〜大天井ヒュッテ)
前日・22:45竹橋(毎日あるぺん号)
06:00中房温泉登山口、第一(水場あり)、第二、第三ベンチ、合戦小屋
09:00合戦沢ノ頭
11:00燕山荘(昼食営業は11時〜14時、燕岳ピークハントは次回にまわした方が無難、三泊四日の日程なら宿泊)
12:30大下りノ頭
14:30喜作レリーフ、大天井岳トラバース道(悪路注意、方角を間違わないように。GPSあると便利)
15:30大天井ヒュッテ(宿、日本アルプスを360°見渡せる牛首展望台の夕日は絶景)
・距離12.3Km コースタイム9時間30分

提供元:Photo by 「Iwao Kobayashi」 of venue(2015)…

https://www.flickr.com/photos/iwao_kobayashi/28912…地図を見る

北アルプス表銀座縦走の醍醐味といえば、地平線の彼方まで続く雲海だ。見る者を魅了してやまない絶景の発生条件は以下の5つ。
1、春や秋
2、無風、夜に低気圧通過や降雨があり湿度が高い
3、夜明け前から早朝9時程度まで
4、日中と夜の寒暖差が10℃以上ある
5、高気圧による快晴
以上が雲海の発生しやすい条件となる。上記の内、特に高気圧が重要になり、気圧配置図を確認して朝方に長野県の西、および北に高気圧がせり出していると雲海は発生しやすい。

時期的には梅雨(6月10日前後〜7月20日)入り前と秋雨(8月後半〜10月上旬)が終わる頃が天候も安定していて狙い目だ。北アルプスは雲海が発生しやすい条件を満たしているので、前述以外の時期でも天気図を読みながら雲海をアクティブに楽しもう。

「2日目・王の頂き槍ヶ岳へ」

写真:本井 良尚

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2日目は水俣乗越まで一気に標高を下げ、表銀座縦走で一番の難所である西鎌尾根に歩を進めることになる。高度感のある連続梯子や急斜が次々と現れるが落ち着きつつスピィーディーに踏破していこう。

水俣乗越から登り返しが続き、岩稜地帯を突き進んでいくと北アルプスの王、槍ヶ岳となる。天を突き刺す山容は北アルプスの王ともいうべき存在。写真や間近で見ても登れるのかと思えてくるが、取り付いてみればなんの問題もない。槍ヶ岳山荘で宿泊手続きを行い身軽になったところで槍ヶ岳をピークハントしてみよう。数人しか立つことを許されない槍ヶ岳の天空テラスは、言葉で言い表せない風景が広がる。

写真:本井 良尚

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(表銀座縦走2日目、大天井ヒュッテ〜槍ヶ岳山荘)
06:00大天井ヒュッテ(喜作新道は大きく標高を下げ、長い鎖など複数あるがホールドを心がけて行動すれば問題なし)
09:00赤岩岳(山頂は巻く)
11:00西岳
12:00水俣乗越(槍沢ルートへのエスケープルートで大曲に出ることができるが、かなりの悪路)
14:00ヒュッテ大槍(この辺りから見える槍の姿は特に美しい)
15:00槍ヶ岳山荘(宿、二日目にピークを目指すなら出発をもう少し早めた方がいい、山頂はここまで表銀座縦走を歩いた強者なら心配なく登頂可能)
・距離11.1Km コースタイム9時間

「3日目・槍沢ルートを下り上高地へ」

写真:本井 良尚

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最終日は槍沢ルートと呼ばれる槍ヶ岳を目指すメジャールートを下っていくことになる。夏場でも3箇所ほど雪渓を越えるが特に問題はないだろう。上高地までは延々と単調な下りとなるので、行き交う方と挨拶したり穂高連峰を眺めながら迅速に下っていこう。

写真:本井 良尚

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そしてこの辺りからグルメな縦走が待っている。まず最初に食べて欲しいのが徳澤園にある野沢菜のチャーハン。ピリッと刺激が効いた一品はこの世で一番美味しい食べ物に変貌を遂げる。そして同じく徳澤園のソフトクリームは冗談抜きで涙が出るほど美味い。

さらに下って上高地。ここでは河童橋近くの河童食堂で食べることができる山賊焼き定食がオススメで、疲れ切った身体がまだまだ動けるようになるだろう。上高地グルメ回りは表銀座縦走終盤の醍醐味だ。

写真:本井 良尚

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(表銀座縦走3日目、槍ヶ岳山荘〜上高地)
05:00槍ヶ岳山荘(槍沢ルートは膝を痛めないようにストックで補助)
05:30殺生ヒュッテ
06:00坊主の岩小屋
06:30水場
07:00天狗原分岐(逆槍を見ることができる天狗池への分岐だが、40分ほどきつい登り返しが必要)
08:00大曲(水俣乗越からここに出ることができる)
08:20ババ平(槍沢キャンプ場、水場あり)
09:00槍沢ロッジ(水場あり)
10:30横尾山荘(キャンプ場あり)
11:30新村橋
12:00徳澤園(野沢菜チャーハンは14時まで提供、アイスクリームなど物販物複数)
13:00明神分岐
13:40小梨平(入浴施設)
14:00上高地バスターミナル(上高地インフォメーションセンター有料シャワー有り16:00まで)
・距離19.3Km コースタイム8時間30分
・総距離42.7Km トータル行動時間27時間

表銀座縦走終盤に入りたい入浴施設3選

写真:本井 良尚

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表銀座縦走を歩き抜いた達成感から極度の疲労感に襲われるかもしれない。だが、その余韻に浸って入る温泉が格別だということを忘れてはいけない。下山ルート上で入ることができる湯は大まかに三つ。
1、徳沢ロッヂ外来入浴(20時まで)
2、小梨の湯(19時まで)
3、入浴施設ではないが上高地インフォメーション内にあるコインシャワー(16時まで)
他に少し離れるが上高地アルペンホテル(14時まで)の外来入浴も範囲内だが、その場合は槍ヶ岳山荘を相当早く出発しなければいけない。順当にいけば小梨の湯かコインシャワーが適当だと思われるので、ケースバイケースで表銀座縦走を締めよう。

写真:本井 良尚

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そして最後に帰りの算段だ。
狙い目は、さわやか信州号の上高地16:15出発、新宿行きであれば直で帰宅することができる。事前予約に越した事は無いが、直で乗る場合は乗りきれない可能性が予想されるので、副案としてローカルバス利用を想定しておこう。

上高地バスターミナル→新島々駅→松本駅→松本バスターミナルor穂高駅→新宿

・上高地バスターミナル16:00(松本バスターミナル直通)/16:45(松本バスターミナル直通)/17:25(新島々駅行き)/18:00(新島々駅行き)

・松本バスターミナル〜新宿バスタ19:00/19:50/20:20/21:00

表銀座縦走の登山時期は6月下旬〜10月上旬まで

アルプホルンのファンファーレが大地に鳴り響く頃、北アルプスのシーズン開幕準備が始まる。4月27日は上高地開山式が盛大に執り行われるが、依然残雪期である。それでも動植物は北アルプスの大地に脈々と息吹き、そして上高地の恩恵を受ける人々は全国のハイカーを受け入れる準備を始めるのだ。
燕岳、大天井岳、槍ヶ岳を次々ピークハントする表銀座縦走の登山適期はあまりにも短い。だが、それがゆえに北アルプスの美しさは一層引き立てられるのだろう。日本には、まだまだ知らない原風景が存在する。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/18−2016/10/20 訪問

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