たった一人で創り上げた男の夢! フランス シュバルの理想宮

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たった一人で創り上げた男の夢! フランス シュバルの理想宮

たった一人で創り上げた男の夢! フランス シュバルの理想宮

更新日:2017/03/24 13:37

木蓮のプロフィール写真 木蓮 フランスの小さな村専門コーディネーター

「食の都」として有名なフランス リヨン。そこから、車で約1時間30分ほど南に下った場所に、「シュバルの理想宮(Palais ideal du facteur Cheval)」と呼ばれる素晴らしい建造物があります。

たった一人の郵便局員が33年という長い年月をかけて作った「理想宮」。一体彼は、何を思ってこの理想宮を作り上げたのでしょうか?彼の人生とともに、この理想宮をご紹介します。

ここは本当にフランス?そう思わせる摩訶不思議な建物

写真:木蓮

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オーヴェルニュ・ローヌ=アルプ地方、ドローム県にあるオートリーヴ(Hauterives)という田舎街に、人々を魅了する不思議な建造物があります。
それが、この「シュバルの理想宮(Palais ideal du facteur Cheval)」です。

フェルディナン・シュヴァルという一人の郵便局員によって、コツコツと石を積み上げられて造られたこの建物は、晩年にマスコミにも取り上げられ、ピカソにも名が知られていたと言われているほど。

もともと空想癖の強かった彼は、毎日30km以上歩く配達の道のりの間、郵便物に交じる絵葉書や目に映る様々な景色を見ながら、いろいろな空想に興じていました。

写真:木蓮

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1879年、43歳になったある日のこと。
彼はいつものように郵便配達を終え、自宅に帰ろうとしたところ石に躓きます。この石がちょうどソロバンの玉が重なったような何とも奇妙な形をしていました。

それをきっかけに、彼の頭の中に、かつて夢の中にでてきた美しい宮殿への想いが蘇り、「理想宮」造りがはじまります。まずは、『LA FAÇADE EST』と呼ばれる東側の『生命の泉(la Source de Vie)』と呼ばれる部分から石を積み始めました。
この泉は、ライオンと犬によって守られています。

写真:木蓮

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シュバルは毎日、毎日石を拾いつづけ、最初はポケットに入るくらいの量の石、続いてカゴを背負い、最後はなんと台車を押しながら、郵便配達をするようになり、拾った石を夜ごと積み上げるようになりました。

この理想宮を造りはじめた最初の20年は、外壁に時間を費やしました。石と石との間には、石灰やワイヤー、セメントなどで補強されていて、とても素人が作ったとは思えない造りをしています。

当たり前ですが、村人たちからは変人扱い。フランスの田舎では、当然のごとく目立ちます。彼はこの宮殿の地下に墓を作り、家族と一緒にエジプトのファラオのように埋葬されたいと考えていました。

しかし……、当たり前のことでしょうが、村人たちや法律、教会がそれを阻み、別の場所にこの宮殿に似た墓を作り永眠しています。

フェルディナン・シュヴァルという人物

提供元:Palais Ideal du Facteur Cheval

http://www.facteurcheval.com/en/index.html

この素晴らしい理想宮を33年かけ、たった一人で創り上げたシュバル。
彼の人生は、決して順風満帆ではありませんでした。

1836年4月19日朝5時。
Hauterives(オートリーヴ)近くの貧しい農民の子として生まれたフェルディナン・シュヴァル。11歳で母親、その数年後に父親と相次いで両親を亡くします。彼は母方の叔父に引き取られ、パン屋に奉公に出されたのち、31歳で郵便配達員となりました。

最初の奥さんと結婚したのは22歳の時。幸せだった彼の元に生まれた長男は、その翌年に亡くなります。次男は無事に育ちましたが、最初の奥さんが亡くなり、再婚した2人目の奥さんとの間に生まれた娘アリスも、15歳の時、脳膜炎で命を落としています。

このことは、彼の心を失意のどん底に突き落としました。
家族の墓にはアリスへの想いが刻まれています。
« Alice amèrement regrettée(今は亡き愛するアリスへ) ».
親が子を想う気持ちを考えると、彼の悲痛な気持ちが届くようです。

見所は3体の巨人像!

写真:木蓮

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こちらは、有名な『3体の巨人像(LES TROIS GÉANTS)』。
左=CÉSAR(シーザー:ガイウス・ユリウス・カエサル)
中央=VERCINGÉTORIX(ウェルキンゲトリクス:フランス最初の英雄)
右=ARCHIMÈDE(アルキメデス)

周りに歩いている人達を見れば、その大きさは一目瞭然。この巨人像は微笑んだ顔をしています。
この東側のファサードには、ヒンズー教の寺院、外国の動物やその他諸々、様々な彼のインスピレーションを混ぜ合わせたものが表現されています。

写真:木蓮

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西側のファサードは、あらゆる宗教を同居させたデザインになっています。
彼の頭の中にある理想の宮殿は非常に平和的で、あらゆる生物が仲良く共存した世界のようです。
南側のファサードは、少し陽気な雰囲気で面白い鳥や小さな動物、ヤシの木が見えます。
北側のファサードは最後に作られた場所のため、彼の技術をすべて集めたかのように混沌とした雰囲気に仕上がっています。

写真:木蓮

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さて、シュバルの理想宮の中には、彼による思いがたくさん刻まれています。
北のファサードの東側には、「TRAVAIL D’UN SEUL HOMME(たった一人の男の仕事)」と入っています。
彼は何を想いながら、この理想宮を作り上げたのでしょう。

シュバルの理想宮で彼の想いに触れてみる

最後に、彼が北側のファサードに刻みこんだ言葉には、こんなことが書かれています。
「1879〜1912年、10,000日、93,000時間、33年間に渡る苦難。
私以上に頑固な人間にしかできない仕事である」

一人の男が人生をかけて創り上げた理想宮。
皆さんも是非一度、この場所に出かけ、彼の想いに触れてみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/18 訪問

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