源氏物語や枕草子にうたわれた「園原の里」阿智村

源氏物語や枕草子にうたわれた「園原の里」阿智村

更新日:2016/11/10 16:21

中京圏の奥座敷として知られている昼神温泉郷のある阿智村。

大和朝廷が近江国(滋賀県)を起点につくった東山道沿いに栄えた「園原の里」は、最澄の面影や紫式部ゆかりの名木などがあり、観光名所になっています。

万葉の時代から歌に詠まれ、源氏物語や枕草子にも名をとどめる「園原の里めぐり」は、一味違った観光になるでしょう。見どころを紹介します。

信濃比叡 最澄の時代から続く、炎を引き継ぐ

信濃比叡 最澄の時代から続く、炎を引き継ぐ
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阿智村園原一体は、京都の比叡山延暦寺と深い繋がりがあることを、皆さんご存知でしょうか? これから紹介する根本中道は、建物自体は新しいのですが、最澄の遺跡地であり、平成12年6月4日「信濃比叡」と称することが、承認されました。

このため、園原の根本中道には、京都の比叡山延暦寺に最澄の時代から燃え続ける1200年前の「不滅の法灯」が分灯されています。この炎は、京都の比叡山から千日回峰行者を先頭に、徒歩で運ばれました。これほどに尊い「不滅の法灯」。小さな灯りですが、光に力があり、見つめていると気持ちが落ちついてきます。また、根本中道を守るように立っている最澄の大きな銅像は、比叡山延暦寺の伝教大師像と同じ鋳型が使用されており、如何に深いつながりがあるかを再認識する事が出来ます。

此処で行われる最大の行事は、災難を除き、諸願を叶えて招福するといわれる「火渡り護摩」。護摩を焚いた「赤くおこった炭火」の上を歩く火渡りですが、一般の方も参加自由であり、子供も親と一緒に参加しています。神の加護でしょうか。熱いと言わず、平常顔で渡り歩いている姿を見るにつけ、神の存在を感じる事が出来るでしょう。毎年2月11日に行われます。勇気ある方、仏心を持ち、挑戦を・・・余談ですが、火渡りをされた方には、証明のお札とお餅がいただけるそうです。

月見堂 いにしえの文人を真似、観月

月見堂 いにしえの文人を真似、観月
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次に紹介する月見堂は、文人らが中秋の名月を鑑賞したことから、通称で月見堂と呼ばれるようになりました。本来は薬師堂であり、薬師如来がまつられています。

ここは、天台宗の開祖・最澄が布教のために東山道を下られた時、道のりの困難さと旅人の苦難を見かね、この地に布施屋(無料の宿泊所)を設けた跡地とも言われています。布施宿は、文字通り善意の布施(ほどこし)によって、無償で旅行者を泊めた宿であり、日本の旅館のルーツにあたるでしょう。

ここでは、文人等が中秋の名月を賞した、歌碑や記録に触れる事が出来ます。

また、阿智村は、日本一美しい星空が見られる場所として環境省の認定を受けたこともあり、観月も最高のコンディションでしょう。月の満ち欠けにより、それぞれ趣向の違った月見が期待できます。洒脱に観月でも試みて、一句ひねるのも乙なものです。

源氏物語の帚木 紫式部の時代にタイムスリップ

源氏物語の帚木 紫式部の時代にタイムスリップ
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次に紹介する紫式部ゆかりの帚木は、舗装された通りに立つ案内板から山道を5分程度入った平地にあります。

これが源氏物語に登場する伝説の木。遠くから見ると、ほうきを立てたように見えるが、近寄ると見えなくなるという言い伝えがあります。

紫式部は、この「帚木」という不思議な木から源氏物語の「帚木の巻」を名づけました。千年も前に式部の心を揺さぶった名木が、今も残り、伝説として生き続けています。幹だけが残っていますが、源氏物語との関わりを知ると、しみじみと見入ってしまうでしょう。

神坂神社 万葉の時代を体感

神坂神社 万葉の時代を体感
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次におススメしたいのは、東山道沿いにある神坂神社です。参道を進むと右手に大きな石がり、案内看板が立っています。この石が、日本武尊が東征の帰路に休息され、その折りに腰掛けられたと伝えられる「腰掛石」。

その他にも、万葉集防人の歌を刻んだ「万葉歌碑」や園原の里の来歴をやまと詞で刻んだ「園原碑」などがあり、当時の人々の息吹を感じることでしょう。

また、境内には、樹齢2千年以上ともいわれる杉や栃の巨木があり、日本武尊が食事に使った箸をさしたところ、巨木に成長したという伝承があります。

白蛇が見られる「信濃比叡 門前屋」

白蛇が見られる「信濃比叡 門前屋」
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最後にどうしても紹介したいのが、門前屋の白蛇。信濃比叡復興の年に店先に突然現れ、現在は、「美園白蛇神」として御祭りされています。

昔から白蛇は、財の神様として崇められており、この白蛇を参拝した方の中には、「難病であったが、延命ができた」「仕事運が上がり、店が繁盛した」「宝くじがあたった」「子宝にめぐまれた」などの報告があり、御礼のため再訪される方が多くいると、お聞きしました。

尊く、ありがたさを感じ、お願い事が叶うような気がして仕方ありませんでした。皆さんも是非、願掛けにお出かけください。
開店している時ならいつでも崇めさせていただけます。

また、門前屋さんの店内では、名物の豆腐のほか、信濃比叡根本中道で祈祷していただいた「白蛇の皮」が入ったお守りも扱っています。

ロマン残る里 ガイドブック片手に歩く

万葉の時代から歌に詠まれ、源氏物語や枕草子にも名をとどめる「園原の里めぐり」。

紙面の関係で、紹介ができていないオススメ場所がまだまだあります。機会があれば、次回また紹介します。

ガイドブックを片手に持ち、仲睦まじく歩く熟年夫婦。見ている側が、ほんのりとした温かい気分に。これも、「ロマンの隠れ里」ならではの光景です。

一日のんびり、園原の里を歩けば、明日のエネルギーになること間違いありません。ウォーキングを兼ね、出かけてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/10−2016/10/15 訪問

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