関西私鉄の「高野山1dayチケット」で行く世界遺産・高野山

関西私鉄の「高野山1dayチケット」で行く世界遺産・高野山

更新日:2016/10/11 15:50

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
海抜1000M程の峰々に囲まれた山上の聖地・高野山。「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で神秘の訪問先として三ツ星の評価を受けていて、1200年もの長きに渡り、身分や宗派を越え、日本のみならず広く世界の人々を魅了する、地球上でかけがえのない聖地です。

関西私鉄各沿線の乗車駅から高野山までの電車と山内のバスが一日乗り放題のお得な「高野山1dayチケット」で、高野山を満喫してみませんか。

こうや花鉄道「天空」に乗れば、鉄道旅情がさらに高まる

こうや花鉄道「天空」に乗れば、鉄道旅情がさらに高まる

写真:和山 光一

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高野山に行こうと思い立った時に一番お得感がある切符が「高野山1dayチケット」です。春と秋の行楽シーズンに関西の鉄道各社から一斉に発売され、途中下車も楽しめる鉄道一日乗り放題と、高野山での寺院めぐりに使用するバスも乗り放題になる便利な切符です。

関西各私鉄沿線の乗車駅から「高野山1dayチケット」を利用して難波(なんば)を経由し、南海電車で極楽寺駅まで快速急行で1時間40分の電車旅。別途特急券760円を購入して「特急こうや」に乗れば約1時間20分で、高野山へ向かうケーブルカーへの乗り換え駅・極楽橋駅に到着します。

高野山の麓・橋本駅から極楽寺橋までの19.8KM、急勾配の斜面、24ものトンネルをくぐりながら標高差443Mの山岳区間を駆け上がっていく区間は、南海高野線「こうや花鉄道」と呼ばれ、「天空」という特別列車が走っています。こちらも別途座席指定料金500円が必要ですが、窓向きの座席や展望デッキがあり、山の空気や自然をたっぷり楽しむことができるちょっとリッチな鉄道旅情が満喫できますよ。

高野山の総門であり、山上結界のシンボル・世界遺産「大門」

高野山の総門であり、山上結界のシンボル・世界遺産「大門」

写真:和山 光一

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極楽寺橋駅からはケーブルカーで5分、一気に標高867Mの高野山駅に登っていきます。急勾配を上るにつれ、少しずつ温度が下がり空気感がかわっていくのを感じます。高野山駅からは南海りんかんバスに乗りますが、大門行きと奥の院行きとがあるので、まずは大門行きに乗車しましょう。

まずは高野山入口・大門からスタートです。高野山の総門で、開創当時は現在地よりやや下がった九折谷に一基の鳥居があり、現在の建物は宝永2年(1705)に再建されました。高さが25.1m、幅23m、奥行8mの国内最大級の木造二重門で鮮やかな朱塗りは壮観です。門の両脇には金剛力士像が配置されていて、江戸時代の仏師・康意(阿形像)運長(吽形像)作によるものです。

俗世と聖域を分かつ結界の役割を果たしているこの門の向こうに、弘法大師空海が造った修行の道場・高野山が広がります。標高およそ900Mの山間に突如として現れる東西5km、南北2kmほどの平地に、117もの寺院が密集する天空の一大宗教都市が高野山です。

ここから歩くかバスに乗って、世界遺産の金堂・根本大塔のある壇上伽藍や金剛峯寺をめぐりましょう。1dayチケットがあればバスに何度でも乗車できますよ。

世界遺産・国宝多宝塔は必見!「金剛三昧院」

世界遺産・国宝多宝塔は必見!「金剛三昧院」

写真:和山 光一

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金剛峯寺のひとつ先のバス停が千手院橋です。ここでメインストリートから少し右に道をそれて、国宝の多宝塔がある「金剛三昧院」に立ち寄ってみましょう。この道は高野山と熊野本宮大社を結ぶ道「熊野古道・小辺路」の入口でもあり、大滝口女人堂跡に通じています。

北条政子が夫である源頼朝の菩提寺として、建歴2年(1211)に禅定院として創建。開山供養には栄西も招かれています。承久元年(1219)には源実朝菩提のために禅定院を改築して「金剛三昧院」と改称し、以後将軍家の菩提寺となります。貞応2年(1223)北条政子が禅定如実として入道し、源頼朝・実朝の菩提を弔うために建立したのが多宝塔で、1900年4月には国宝に指定されています。また境内には樹齢800年超の天狗杉や、樹齢500年超の六本杉のほか、五月初旬境内いっぱいに咲くシャクナゲの花も有名です。

注目は本尊の愛染明王様と、結縁できる腕輪守。良縁御利益パワー全開ですよ。

静寂に包まれた世界遺産・弘法大師御廟の「奥之院」と「徳川家霊台」

静寂に包まれた世界遺産・弘法大師御廟の「奥之院」と「徳川家霊台」

写真:和山 光一

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弘法大師御廟のある世界遺産「奥之院」までは、一の橋から約2Kmの参道を歩きます。参道沿いには樹齢数百年を越える巨木が連なり、諸大名の供養塔をはじめとする20万基を超える墓碑が立ち並ぶ静寂な景観が広がります。

そろそろ足も疲れてきた頃でしょうか。そんな時には、奥之院前から高野山駅行きバスに乗り、最寄のバス停が波切不動前の世界遺産「徳川家霊台」がおすすめです。徳川家康、秀忠の御霊をまつるために三代将軍家光により寛永20年(1643)に創建されました。落成・完成まで10年以上費やされたといわれ、かつての高野聖方の本山大徳院の裏山に建てられています。

向かって右が家康霊屋、左を秀忠霊屋と呼称する三間四面の一重宝形造の建物は、東照宮形式として他所の見る事の出来ない特異な白木造りの外観。金銀箔を押した極彩色の厨子は細部まで彫刻や金具などの装飾に飾られています。家康の方には東照大権現という神様として崇められている為なのか、鳥居が置かれていますよ。(拝観料200円)

遠く聖地を望む女性たちの信仰の道の入口「女人堂」

遠く聖地を望む女性たちの信仰の道の入口「女人堂」

写真:和山 光一

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最後に「女人堂」まで京大阪道(高野街道)不動坂を歩き、帰りのバスを待つことにします。明治5年(1872)まで高野山は女人禁制であり、ここより高野山内に入ることが許されませんでした。それで女性は細く険しい女人道と呼ばれる高野山の周囲を囲むように尾根道を巡り、遠くから大師御廟を礼拝することだけが許されていたのです。山内に入れない女性の為、高野七口と呼ばれた高野山への入口それぞれにお篭り堂が置かれていて、女性たちは女人堂から女人堂へと八葉の蓮華に例えらられる峰々を辿ったのでした。現在はこの不動坂口の女人堂だけが残っています。

女人堂バス停から高野山駅まではバス専用道路ですので「高野山1dayチケット」を活用しましょう。

「高野山1dayチケット」には特典がいっぱい

春と秋の行楽シーズンに関西私鉄各社から一斉に発売される「高野山1dayチケット」は、メリットや特典がいっぱいです。各沿線の乗車駅によっては割引率が非常に高くなることや、一日乗り放題なので途中下車も楽しむことができます。高野山までだけでなく、高野山での寺院めぐりに利用するバスも乗り放題なのです。

おまけに高野山での拝観施設(金堂・根本大塔・金剛峯寺・霊宝館)の拝観料が2割、食事・お土産代金が1割の割引券もついています。一日しか使えないのですが、日帰りの旅にはとってもお得で節約になります。

通常購入期間は、春が4月1日から6月末、秋が10月1日から11月末に限られていますので注意が必要です。(注:平成28年はNHK大河ドラマ『真田丸』にちなみ、「高野山・真田九度山1dayチケット」として4月1日から11月30日まで発売中)

宿泊される方は「高野山・世界遺産きっぷ」が有効ですので、旅行プランに合わせて購入してみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/11/02 訪問

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