宇陀松山地区には、ずらりと町屋が並んでいます。特徴としては、格子、二階の道路側の虫籠窓(むしこまど)・卯建(うだつ)・ニ戸一町家、犬矢来などで、各家により違っています。それぞれの町家は、間口が広く、玄関が二戸あるなど、街としての繁栄が分かります。
写真の森田家住宅は、文化5(1809)年頃の建立、格子と奥の虫籠窓の一つは出窓格子、犬矢来が特徴。それぞれの家の違いを発見しながら、散策を楽しむことができます。
町屋の多くが、今も現役の居宅であり非公開ですが、この「薬の館」は宇陀市歴史文化館として、内部が公開され、内部の写真もOK!店舗も兼ねた、家の内に蔵が三戸もある広大な町屋。特に目をひく正面の「銅板葺唐破風附看板」は重量があるために、家の中に横柱を入れて支え、現在の価格だと建売住宅分ほどするそうです。
この旧細川家も薬が生業であり、宇陀松山は薬問屋が多数ありました。『日本書紀』に宇陀が薬の産地と記載があり、現在の大手の薬会社の創業者の数人が宇陀松山出身者です。
宇陀松山には、江戸時代の徳川吉宗の時代に創設された「森野旧薬園」があります。ここでは、約250種の薬草木を山に登りながら、見物できます。
葛を商っている「黒川本家」寛政3(1791)年の町家で、ちょっと敷居が高い感じがしますが(のれんがかかっていないのが、こちらの地方のお店の特徴)、重厚な扉を開ければ、買い物ができます。葛、葛湯はもちろんですが、可愛しい桜の干菓子があります。味は、口の中でとろける上品な甘さ。自分へのお土産にもいいですね。
葛干菓子:750円
大願寺の薬草料理は数多くの薬草を調理、宇陀名産の吉野葛を使った精進料理は絶品!色鮮やかな前菜をはじめ、すべて野菜と薬草と豆腐類。前菜の市松羹は南瓜とトマト、酢の物は菊の花、紅花、ヤブカンゾウの花で見た目も綺麗。葛を使った胡麻豆腐も。前菜の後のお刺身は宇陀特産の吉野葛。天ぷらにはドクダミも。
ご飯は真っ黒な黒米。黒米は古代には中国の皇帝に献上され、白米に比べてたんぱく質やビタミンなど栄養豊富で「不老長寿米」と言われ、古代の中国の皇帝に献上されていたと伝わっています。粒が小さくモチモチ感がたっぷり。デザートの一品の生の甘酒も、一部では「飲む点滴」と言われているほど栄養豊富です。
要予約で、お休みが不定休ですから、ぜひ、予約をしてからお出かけください。
一人前:3500円(昼食のみ)
大観寺の庚申様は、「おちゃめ庚申」と呼ばれ、天保14(1843)年に彫刻されました。宇宙人のようでインカ帝国の文様にもみえて、ユーモラス!四本の手に、矛・法輪・数珠・虫を持ち、月・日・猿を表していると説明書きがあります。信仰の対象ですが、お寺の方の「人間を単純化したら万国共通ですな」と言う言葉が、ピッタリです。手を合わせながら思わず笑顔になる功徳がありますよ。
宇陀松山は、春の「又兵衛桜」が有名で7万人の人出。他の季節は、のんびりと散策できる魅力があります。町並みは、2006年に国の重要伝統的建築物群保存地区に選定。『日本書紀』にも登場する地ですから、伝統ある神社・寺もあります。
ぜひ、観光地化されていない宇陀松山を訪れてみましょう。近鉄榛原駅からは、休日のバスは1時間に1本です。
(※本文中の価格は2016年9月時点のものです。)
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(2024/4/19更新)
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