写真:藍色 しっぽ
地図を見る二階建ての建物となっているファルネジーナ荘。入り口より続く最初の部屋が「ガラティアの間」です。
こちらには、絵が好きな方ならだれもが一度は見たことがあるであろう、ラファエロの「ガラティアの凱旋」が描かれています。イルカの引く貝殻の船に乗ったガラティアを中心に、トリトンやキューピッドを配置した均衡のとれた構図が魅力的です。
天井円蓋部に描かれているのは、ラファエロと同時代を生きたバルダッサーレ・ベルッツィによる占星術のシンボル。注文主であったキージの誕生日を示しています。
写真:藍色 しっぽ
地図を見るガラテアの間に続くのは、ラファエロによってデザインされた「アモールとプシュケの間」。大きな窓から外光の差し込む明るい空間はドーム状の天井を持ち、中心には「アモールとプシュケの結婚」「神々の集い」が描かれています。
周りには、ラファエロの門下ジョヴァンニ・ダ・ウディネによる花飾りの装飾に区切られたプシュケの物語が描かれており、非常に華やかな空間となっています。
写真:藍色 しっぽ
地図を見る二階には、「遠近法の間」が。ガラティアの間に続きベルッツィによって手掛けられたこの部屋には、円柱の向こう側にローマの街並みを臨む壁画が描かれています。
壁画は、透視画法と呼ばれる技法を駆使したトロンプ・ルイユ(だまし絵)で描かれています。だまし絵を用いて部屋を広く見せる手法はのちの流行となりましたが、ベルッツィは多くの画家に先駆けてこの手法を取り入れました。
どこまでが絵画でどこまでが現実の空間なのかを忘れるほどの写実的な描写で、まるで16世紀にタイムスリップしたかのような気分になれるでしょう。また、天井下の帯状装飾や、北側の壁に浮き出た暖炉にも注目です。
写真:藍色 しっぽ
地図を見る遠近法の間を抜けると、「アレキサンダー大王とロクサーヌの結婚の間」にたどり着きます。この部屋の名前ともなっている「アレキサンダー大王とロクサーヌの結婚」は、北側の壁全面に描かれたフレスコ画のタイトルからとられています。アゴスティーノ・キージはこの部屋を寝室にすることを計画し、ジョバンニ・アントニオ・パッツィに装飾を依頼しました。
この部屋のもう一つの注目ポイントは、天井に描かれた神話の数場面と不思議な模様。この模様は「グロテスク模様」と呼ばれており、よく見ると人物や植物が奇妙にデフォルメされてつなげられています。興味がある方は、ぜひ単眼鏡を持参しましょう。他の部屋に比べて天井が低めなので、装飾の細部まで鑑賞することができます。
写真:藍色 しっぽ
地図を見るファルネジーナ荘は建物内部の装飾だけでなく、建物の外観や庭園にもこだわりが見られます。
典型的なルネサンス様式の邸宅は、建築家バルダッサーリ・ペルッツィによって設計されました。左右対称、二階建ての端正な造りに、正面の五つのアーチが特徴的な建物です。
庭の中央には小さな噴水があり、さらにその周りを緑の茂みがぐるりと囲んでいます。近年リノベーションされたこの庭園では、季節ごとに美しい花々を楽しむことができます。庭園内をのんびりと散策するのもおすすめです。
ファルネジーナ荘は16世紀末にアレッサンドロ・ファルネジーナにより買い取られ、現在ではアカデミア・デイ・リンチェイの迎賓館として利用されています。天気を気にすることなく訪問でき、また小一時間あればまわれてしまうという点も、旅行者にとってうれしいポイントではないでしょうか。
ローマ観光でちょっと時間が空いたな、という時にはぜひファルネジーナ荘へ。今回紹介したポイント以外にも、近年リノベーションされた庭園、帯状装飾の間などたくさんの見どころがありますよ。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/28更新)
- 広告 -