住宅街の雑木林に古墳群?東京「多摩川台公園」を散策

住宅街の雑木林に古墳群?東京「多摩川台公園」を散策

更新日:2016/09/08 16:13

田園調布といえば東京でも屈指の高級住宅街として有名です。イギリスの田園をモデルにした街並みは、大正時代に日本の近代化を支えた実業家、渋沢栄一が開発を発案しました。美しく住みやすい街並みに、しっくりとなじむように緑が多い公園が多数あるのも特徴です。多摩川東側に広がる丘陵地には都内有数の古墳群もあり、散策するのにもオススメ!今回は、古墳群を身近に見ることのできる「多摩川台公園」をご紹介します。

「多摩川台公園」で四季を楽しむ

「多摩川台公園」で四季を楽しむ
地図を見る

多摩川沿いの丘陵地に広がる「多摩川台公園」は、東急目黒線、東急多摩川線、東急東横線の多摩川駅から徒歩5分ほどの場所にあります。春には桜、初夏にはアジサイなど四季折々の花が楽しめるほか、夏には多摩川から打ちあがる花火を見ることもできます。多摩川を眺めながら一息つくなら、公園を入って坂道を登ったところにある「見晴し台広場」がオススメ。一年を通して楽しめる公園です。

公園内には、4〜7世紀にかけて作られたという古墳群が8基。さらに、都内最大の前方後円墳である「亀甲山古墳(かめのこやまこふん)」と、多摩川流域最古の古墳といわれる「宝莱山古墳(ほうらいさんこふん)」もあります。四季折々の草花を楽しみながら、歴史を身近に感じることができますよ。

国の史跡にも指定「亀甲山古墳(かめのこやまこふん)」

国の史跡にも指定「亀甲山古墳(かめのこやまこふん)」
地図を見る

まずは、見晴し台公園からほど近いところにある「亀甲山古墳」から見ていきましょう。「亀甲山古墳」は5世紀前半頃、この地方に勢力のあった首長の墓と考えられています。古墳の大きさは全長100メートルほどになり、都内で最大の前方後円墳。1928年には、国の史跡に指定されています。

まわりの風景に馴染むようにある雑木林の丘が、古墳であると思うと感慨深いですね!当時の人々の生活を想像しながら、公園内を散策してみましょう。

緑地に馴染むように並ぶ8基の「古墳群」

緑地に馴染むように並ぶ8基の「古墳群」
地図を見る

公園内を道なりに進んでいくと、小さな古墳が見えてきます。1基から8基、いずれも6世紀から7世紀頃にかけて築造されたとされています。墓の主は分かっていませんが、緑道にしっくり馴染むように建立されている古墳が、はるか昔の古代に作られたものだと思うと感慨深いですね。

周りの風景にしっくりと馴染む「宝莱山古墳(ほうらいさんこふん)」

周りの風景にしっくりと馴染む「宝莱山古墳(ほうらいさんこふん)」
地図を見る

「宝莱山古墳」は4世紀前半に築造された前方後円墳です。多摩川下流域では最も古い古墳といわれています。全長97メートルで、亀甲山古墳に次ぐ大きさです。残念ながら、後円部は、住宅の一部になっているなどして原型をとどめていませんが、住宅街に馴染むようにある雑木林が古墳だと思うと不思議な感じがします。公園側から古墳のくびれ部分を通る小路がありますので、上がってみましょう。ここが古墳の上だということを忘れてしまいそうです。

「宝莱山古墳」から出土された出土品は、大田区立郷土博物館と慶應義塾大学に保管され、出土品のレプリカは、多摩川台公園内にある「多摩川台古墳展示室」に展示されています。

古墳をもっと知りたいなら「多摩川台古墳展示室」へ

古墳をもっと知りたいなら「多摩川台古墳展示室」へ
地図を見る

多摩川台公園にある古墳で出土された勾玉や土器などのレプリカや資料が展示されているのが、「多摩川台古墳展示室」です。当時の多摩川流域の様子や雰囲気がわかるので足を運んでみるのをオススメします。展示室内には古墳内にある石室の実物大レプリカが展示されており、その中に入ることもできます。中には人形の入った棺もあり、実際に見てきた古墳の中がどのようになっているのか興味の湧く構造になっています!展示されている資料を見ていると、豊かな自然を育んできた多摩川が、今も昔も住みやすい土地として人々に親しまれてきたことが分かります。

おわりに

以上、今回は「多摩川台公園」の古墳群と見どころについてお伝えしましたが、いかがでしたか? 四季折々の草花を楽しめるばかりではなく、この地域に古くから繁栄してきた人々の歴史や文化を感じることができますね。

また、「多摩川台公園」に隣接している「多摩川浅間神社」は、5世紀末〜6世紀初頭に築造されたとされる古墳の上に建立されています。古代の人たちの生活に思いをはせながら参拝するのもいいかもしれませんね。ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/09/01 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -