写真:藤 華酉
地図を見る「プファルツ城」の正式名称は「Burg Pfalzgrafenstein」。ライン川中域のカウブ(Kaub)という町にあります。カウブの町の駅からは徒歩で僅か5分程度と、非常に訪れやすい立地です。最寄の船着場からは専用の小船で更に5分。ライン川の中洲に城はあります。
現代人にとっては行き易くありがたい立地にあるプファルツ城ですが、中世の頃から既にこの場所は交通の要塞でした。貿易の要であるライン川の中流、城の上流には川を狭める船の難所「ローレライ」があり、フランクフルトやマインツと言った大都市を目指す船は必ずこのプファルツ城の傍らを通る必要があります。そうした理由から、プファルツ城は小さくとも立派な税金の稼ぎ頭でした。
写真:藤 華酉
地図を見るカウブ近くの中州には、12世紀頃には既に塔のようなものが建ち、ライン川を行く船から税金を取り立てていたようです。しかしライン川中域は城の密集する戦争地帯でもありますし、関門を突破しようとする不行き届きな川賊船も出ました。そこで塔の周囲に城壁を巡らせ、要塞化して現在の姿になったのが14世紀頃の話でした。
立地上、洪水が起きると塔まで浸水してしまう事もあり、改装と改築は随時迫られていたようです。
最近でも長雨が続いてライン川の水位が上がると、中洲が浸水し、城には入場できなくなります。特に冬の観光の際にはお気をつけ下さい。
写真:藤 華酉
地図を見る大雨で浸水する立地の上、24時間体勢でライン川を見張る必要のあるプファルツ城はあくまで城砦。カウブの町の領主様方は、高台の「グーテンフェルス城」に暮らしていました。プファルツ城の住人は兵士達だったのです。と言う訳で、プファルツ城の内装はいたってシンプル。しかし、小さな城ながらも井戸やパン焼き釜、兵士達の控えの間や私室など、中世の平民の生活を垣間見れる展示が魅力的です。
川の上の城だけに、冬の寒さは堪えるものだったのでしょう。貴重な熱を活かす工夫が隅々まで活かされています。また、風通しの良すぎる水洗トイレや、城の隅々にまで油断無く配置された弓や大砲を撃つ為の工夫も、城の歴史を垣間見させてくれます。
一番の見所は、長い螺旋階段を登った先の、塔の上にあります。塔上からの眺めはライン川を一眺するもの。ライン川を行き交う遊覧船も、近隣の城も、これが中世なら大砲の射程圏内です。徴税官になったつもりで眺望をお楽しみ下さい。
ライン川中域のプファルツ城周辺には数多くの見所が控えています。「ラインガウ」と呼ばれる周囲の丘はワインの名産地で、美味しいワインには事欠きません。観光地である「リューデスハイム」までも鉄道で僅か15分程度です。カウブの領主様方が暮らしていた「グーテンフェルス城」も、現在はワイナリーとして公開されています。
「グーテンフェルス城」への宿泊は現在出来ませんが、城の付属の塔として13世紀に建てられた塔を利用したホテル、「HOTEL ZUM TURM」はまだ健在。「プファルツ城」とライン川を眺めながらの宿泊が楽しめます。
ライン川下りを楽しむ方は多くても、次々現われる城に圧倒されて、中々一つ一つの城に足を運ぶには至らないものです。そんなライン川中域の中でもアクセスが良く、見所に恵まれた「プファルツ城」は見る価値のある名城。可愛らしい見た目とは裏腹の、税関として恨まれがちな歴史を満喫出来ます。可愛いお城に興味のある方、歴史に興味のある方は、是非ライン川を行く船を途中下船して、カウブまで足をお運び下さい。
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(2024/4/25更新)
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