津和野の歴史や偉人たちを知る!島根県・津和野町「郷土館」

津和野の歴史や偉人たちを知る!島根県・津和野町「郷土館」

更新日:2017/01/05 17:37

“哲学”や“心理学”という言葉を生んだ哲学者・西周や軍医・文豪の森鷗外、“日本地質学の父”と称される小藤文次郎、東洋紡績の初代社長・山辺丈夫、初代札幌市長・高岡熊雄などなど。小さな藩であったにも関わらず、津和野藩は藩政時代から明治期に掛けて、多くの偉人たちを輩出してきました。
そんな津和野の歴史や偉人たちの功績を辿れる文化施設、島根県・津和野町にある「郷土館」を御紹介致します。

「郷土館」の概要とアクセス

「郷土館」の概要とアクセス
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島根県鹿足郡(かのあしぐん)津和野町にあり、津和野の歴史や偉人たちを知ることができるのが「郷土館」です。1921年(大正10年)に当時としては、島根県内で唯一の郷土歴史博物館として設立しました。

山口線の津和野駅から南へ向かって徒歩で約10分の場所、津和野川に掛かる橋を渡って左手にあります。津和野駅から県道13号に向かって進み、そのまま南下するのがオススメの道順。“殿町通り”にある「津和野カトリック教会」や藩校として多くの人材を輩出した「養老館」など風情のある町並みを楽しみながら向かってみてはいかがでしょうか。

“三本松城”の模型と三浦紫畹の「孔雀図」など見応えのある展示

“三本松城”の模型と三浦紫畹の「孔雀図」など見応えのある展示
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「郷土館」は2階建てとなっており、1階には土器や津和野の歴史に関する資料や文化遺産のフロアと津和野出身の先哲・文人たちを紹介するフロアの二つに分かれています。

こちらは1階にある“三本松城”とも呼ばれた津和野城の復元模型。1/200の縮尺で、1967年(昭和42年)に製作されたものです。現在の津和野城跡は国指定史跡となっております。

またその後ろには花鳥画を得意とした津和野藩士・三浦紫畹(みうら しえん、1772年〜1855年)の大きな「孔雀図」が展示されています。迫力と繊細さを兼ね備えた見事な作品です。じっくりと御堪能下さい。

フロアの中央に置かれた大砲「仏狼機砲」と亀井茲矩

フロアの中央に置かれた大砲「仏狼機砲」と亀井茲矩
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また同じフロアの中央部分には大砲が、どどーん!と展示されています。ガラスケースに入っていないので、間近で詳細を確認しながら楽しんでみて下さい。こちらは「仏狼機砲(ふらんきほう)」と呼ばれる16世紀末から17世紀初頭の青銅製の大砲。

豊臣秀吉の命令により、朝鮮へと出陣した亀井茲矩(かめい これのり、1557年〜1612年)が戦利品として持ち帰ったと伝わっています。また“石火矢”とも呼ばれていました。

亀井茲矩は、後に徳川家康にも仕えて東南アジア貿易を始めとして幅広く活躍、数多くの業績を残し、またその子孫は、代々津和野藩主となりました。

伊能忠敬や間宮林蔵の先輩!津和野藩士・堀田仁助

伊能忠敬や間宮林蔵の先輩!津和野藩士・堀田仁助
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日本史の中で“測量”という言葉と共に登場する人物と言えば、多くの方が伊能忠敬(いのう ただたか、1745年〜1818年)を思い浮かべるでしょう。また現在の北海道である“蝦夷地”を付け加えると、間宮林蔵(まみや りんぞう、1775年〜1844年)を思い付く方もいるかと思います。

しかし、その二人に先駆けて、蝦夷地の海岸を測量した人物がいます。津和野藩士・堀田仁助(ほった にすけ、1747年〜1829年)です。幼少の頃より数学的才能を発揮し、和算や天文学に優れ、天文・暦(こよみ)・地理・測量・翻訳などの業務を行う江戸幕府の天文方(てんもんかた)に仕えます。

1799年(寛政11年)に幕府の命を受け、品川港から船に乗り、江戸からの航路及び蝦夷地東岸の測量を実施したのです。因みに伊能忠敬が蝦夷地東部の陸地測量をしたのが翌年の1800年(寛政12年)になります。「郷土館」1階の津和野の偉人たちを紹介するフロアの中央には、堀田仁助の蝦夷地測量図が展示されています。

津和野の偉人たちと各種の豊富な資料とゆかりの品々

津和野の偉人たちと各種の豊富な資料とゆかりの品々
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堀田仁助の測量図を中心にフロアの外周には、幅広い分野で活躍した津和野出身の人物たちが紹介されています。

日本最初の西洋哲学者・西周(にし あまね、1829年〜1897年)、“日本地質学の父”、日本で最初の理学博士・小藤文次郎(ことう ぶんじろう、1856年〜1935年)、東洋紡績の初代社長となった実業家・山辺丈夫(やまのべ たけお、1851年〜1920年)、“日本脳外科の父”と称される医師・俳人の中田瑞穂(なかた みづほ、1893年〜1975年)などなど。

驚くほど多くの偉人たちが津和野の土地から輩出しています。その重要な施設が教育機関となる藩校・養老館です。「郷土館」の2階では、養老館で使用されていた各種の教科書や授業風景が描かれた絵などが並べられています。

その他にも、陶器や火縄銃、乙女峠のキリシタン殉教に関連するものなど数多く展示され、津和野の歴史や文化を辿れるようになっています。

島根県鹿足郡津和野町「郷土館」のまとめ

その他に、現在の北海道大学の札幌農学校を卒業し、後に初代札幌市長にもなった高岡直吉(たかおか ただよし、1860年〜1942年)、その弟で同じく札幌農学校を卒業し、後に第三代・北海道帝国大学総長にも就任した農業経済学者・高岡熊雄(たかおか くまお、1871年〜1961年)など、津和野出身の偉人たちの品々が展示されているので、お見逃し無く。時期によって展示替えなどもありますので、詳しい情報は下部関連MEMOのリンクより御確認下さい。

また「郷土館」の建物も歴史的景観への寄与を評価され、2008年(平成20年)に国の登録有形文化財となりました。津和野の自然や町並みと共に「郷土館」の外観や構造も合わせて楽しんでみて下さい。

以上、津和野の歴史や偉人たちの功績を辿ることのできる島根県・津和野町「郷土館」の御紹介でした。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/26 訪問

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