伊豆・峰温泉「花舞 竹の庄」〜古き良き日本への郷愁を感じる温泉宿

伊豆・峰温泉「花舞 竹の庄」〜古き良き日本への郷愁を感じる温泉宿

更新日:2016/09/03 15:27

権丈 俊宏のプロフィール写真 権丈 俊宏 一級建築士
静岡県伊豆半島の河津温泉郷・峰温泉は、かつて「東洋一の大噴泉」と呼ばれた自噴泉で知られる温泉地です。河津町は冬から春にかけて咲く河津桜が有名で、河津七滝をはじめ渓谷の景勝地にも恵まれた、四季折々の風情が感じられる地です。
「花舞 竹の庄」は昭和の趣をそのまま残す貴重な温泉宿で、とりわけ浴室はこれぞ“古き良き日本”というべき風情。東京から最速二時間で行ける峰温泉「花舞 竹の庄」をご紹介します。

「花舞 竹の庄」の外観は入母屋造りの重厚な佇まい

「花舞 竹の庄」の外観は入母屋造りの重厚な佇まい

写真:権丈 俊宏

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「花舞 竹の庄」は昭和初期に建設され、今でも当時の建築が残されています。以前は二食付の高級旅館でしたが、現在は素泊まり及び立ち寄り入浴のみの営業で、大変リーズナブルに宿泊出来ます。外観は質実剛健ながらも重厚さを感じさせるもので、入母屋造りの屋根がとても印象的です。入母屋造りとは簡単に言えば上部は二方向に勾配を持ち下部は前後左右四方向に勾配を持つ屋根で、古くから格式の高い屋根の形式と重んじられています。

圧巻の風格!二階浴室は芸術的意匠と歴史の重みを実感!

圧巻の風格!二階浴室は芸術的意匠と歴史の重みを実感!

写真:権丈 俊宏

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「花舞 竹の庄」一番のおすすめは二階浴室です!「花舞 竹の庄」の温泉は、冒頭で申し上げた「東洋一の大噴泉」と呼ばれた自噴泉から引かれています。泉質はナトリウム‐塩化物泉(食塩泉)。綺麗な無色透明のお湯は少し熱めで、ほんのりとした湯の香に温泉らしさを実感。入った瞬間は少々ピリッと刺激的を感じますが、次第にジンワリと肌に馴染んできます。浴後は肌が潤い、温まり感が長時間持続する温泉です。

また浴室全体の雰囲気が更に魅力的! 木製の窓や仕切り壁の“組子”と呼ばれる釘を使わないで木を組み合わせた繊細な意匠、枝を落としただけのゴツゴツした荒々しい木の柱、仕切り壁のピンポイントに貼られた赤いタイル等、相反する要素が複雑に絡み合い、芸術的とさえ言える程の独創的、かつ細部にまでこだわった意匠に感銘を受けます。

この浴室は現在一ヶ所しか使用されてなく男女交代制になりますので、出来れば宿泊してじっくりと慈しむ様に味わって頂きたいです。この浴室に「花舞 竹の庄」の魅力が集大成されていると言っても決して過言ではないでしょう。噛めば噛むほど味が出るとでもいうべき、歴史と重みを感じずにはいられない浴室です!

「花舞 竹の庄」は一階の露天風呂の風情も魅力的!

「花舞 竹の庄」は一階の露天風呂の風情も魅力的!

写真:権丈 俊宏

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「花舞 竹の庄」では一階にも浴室が有ります。とりわけ露天風呂は二階浴室に負けず劣らずの見事な風情。多角形の木製の屋根が目を引きます。屋根の中央部は明かり取りがあり、重厚で立体的かつ明るさを感じる露天風呂です。

温泉は同じ源泉を使用していますが、外気に触れるせいか内湯に比べるとやや温めで、とても優しく柔らかなお湯に感じます。全体的に緊張感のある引き締まった内風呂、癒しの露天風呂といった好対照の印象を受けます。二階浴室と一階浴室の両方に入浴すれば、「花舞 竹の庄」の奥深い魅力へより一層引き込まれるに違いありません。

建物各所から昭和の香りを実感

建物各所から昭和の香りを実感

写真:権丈 俊宏

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「花舞 竹の庄」の魅力は浴室だけでありません。玄関やエントランスは赤い花柄の絨毯が目を引き、格天井と言われる木の枠に一枚板の木が嵌め込まれた天井が印象的です。どちらかと言えば渋い感じの落ち着きのある空間ですが、欄間や建具の繊細な意匠に、「花舞 竹の庄」ならではの個性が感じられます。建物の各所から合理主義の現代とは一線を画した、どこか懐かしい昭和の香りが感じられます。

ロビーの和洋折衷の風情は独自のセンスを主張

ロビーの和洋折衷の風情は独自のセンスを主張

写真:権丈 俊宏

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大きな日本庭園が臨めるロビーは、ソファーや観葉植物などインテリアに洋風の佇まいが感じられます。床の一部がガラス張りになっているのも斬新なデザインです。単に和だけにこだわらず、大正ロマンとさえ言える洋の要素も自由に取り入れた建築で、重厚さの中にも遊び心が感じられる洒落た空間です。このように「花舞 竹の庄」では随所で“古き良き日本”への郷愁を感じずにはいられません。

「花舞 竹の庄」は年々減少傾向にある貴重な木造建築! 出来るだけ早く行くべき!

伊豆・峰温泉「花舞 竹の庄」は如何だったでしょうか?首都圏に近いエリアでこれだけ歴史と風格があり、かつ一万円以下で宿泊出来るリーズナブルな温泉宿はとても貴重です。

この様な繊細な木造建築は建物を維持するのに莫大な手間と労力が必要で、全国的に見ても毎年少しずつ減少していく傾向にあります。とりわけ木造建築や歴史ある温泉に興味のある方、“古き良き日本への郷愁”を感じてみたい方は、出来るだけ早く「花舞 竹の庄」へ訪問されることをおすすめします。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/06−2015/09/07 訪問

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