紅葉にちらつく小雪〜情緒たっぷりの“飛騨の小京都”飛騨高山

紅葉にちらつく小雪〜情緒たっぷりの“飛騨の小京都”飛騨高山

更新日:2013/10/24 12:31

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家
岐阜県の北部にある飛騨高山。江戸時代の町屋が軒を連ね、情緒豊かな古都の雰囲気が漂い、“飛騨の小京都”とも呼ばれています。徳川幕府の役所が置かれた『高山陣屋(たかやまじんや)』は、観光スポットで紅葉の名所でも有名。また、寒冷な気候と、良質の水と米に恵まれた高山は地酒がおいしく、あっさりとした醤油味の高山ラーメンと並んで高い人気があります。温かなおもてなしに包まれた飛騨高山。その魅力をご紹介します。

宮川に架かる赤い橋“中橋”は、絶好の撮影スポット

宮川に架かる赤い橋“中橋”は、絶好の撮影スポット

写真:沢木 慎太郎

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飛騨高山の魅力は何といってもレトロな街並み。城下町や商家町の姿が残り、落ち着いた静かなたたずまいは魅力的です。

写真は、飛騨高山の代表的な観光名所の一つで、宮川に架かる中橋(なかばし)と呼ばれる赤い橋。※
映画やドラマのロケにもたびたび登場するので、ご存知の方も多いと思います。春の高山祭では豪華絢爛な屋台が朱塗りの橋を巡行し、絶好の撮影スポット。ライトアップされることもあり、ライトに照らされた桜や紅葉と赤い橋が幻想的に浮かび、とても美しいですよ。
(※中橋は2013年10月21日〜14年3月末まで耐震工事が行われるため、通行止めになります。)

写真は11月初旬に撮影したものですが、高山は秋が短いので紅葉に小雪がちらつくといった情緒的な風景も見ることができます。
中橋は、観光スポットの中心地に位置。ここを基準に行動するとわかりやすいと思います。この写真では、中橋の右側に高山陣屋があり、左側に古い町並みが広がっています。

日本で唯一、風情たっぷりの高山陣屋

日本で唯一、風情たっぷりの高山陣屋

写真:沢木 慎太郎

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古い町の代表が、高山陣屋です。これは、江戸幕府が飛騨の国を統治するために置かれたお役所で、明治維新になってからも役所として使われ続けた由緒ある建物。役所が移転した後は、保存・修復されて、江戸時代の高山陣屋の姿をほぼ完全な形で再現されています。幕末には全国に60数ヵ所あった代官所のうち、当時の建物が残っているのは、この高山陣屋だけ。貴重な文化財として、1929年(昭和4年)に、国史跡に指定されました。

武家屋敷のような古い建物はとても魅力がありますが、ここの素晴らしいところは心落ち着く和風庭園。庭園の紅葉が美しいので、写真のカップルのように陣屋の縁側に座ってのんびりとくつろぐことができますよ。

【高山陣屋】
■住所:岐阜県高山市八軒町1-5
■TEL:0577-32-0643
■入場料:大人420円、高校生以下無料
■休館日:無休(12月29日〜翌1月1日休)
■営業時間:8:45〜17:00(閉館17:30、時期により異なる)
■交通:JR高山本線高山駅から徒歩10分
■駐車場:なし

紅葉が見事な高山陣屋の和風庭園

紅葉が見事な高山陣屋の和風庭園

写真:沢木 慎太郎

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もう一つ、高山陣屋から。和風庭園の紅葉があまりにも見事だったので、この紅葉もぜひともご紹介させてください。燃え広がるような艶やかな秋の色。縁側に座り、この紅葉をいつまでも眺めていました。不思議な気の流れのようなものを感じます。

素敵な高山陣屋ですが、この前で毎朝行われる朝市は必見!新鮮な高冷地野菜や季節の花々、手作りの民芸品、衣料雑貨、漬物や味噌などをテントで販売し、まるで縁日のように賑やかでおもしろいです。朝市でのおススメは、赤カブの漬物。塩の風味が爽やかで、おいしいですよ。

陣屋前だけでなく、鍛冶橋と弥生橋の間でも、宮川朝市が開催されています。高山の朝市は、もともとは戦後間もないころに、物品の交換市から始まったもの。もんぺ姿の奥さんたちの素朴なやりとりや、高山での方言を聞くことができ、地元の人たちとふれあえるので、ぜひ足を運んでください!

【朝市】
■場所:陣屋前、宮川沿い(鍛冶橋〜弥生橋間)
■時間:夏期6時〜12時/冬期7時〜12時
■休業日:無休(ただし、天候によって規模の縮小や中止もあります)

飛騨牛の寿司屋など、食べ歩きが楽しめる古い街並み 高山ラーメンもおススメ

飛騨牛の寿司屋など、食べ歩きが楽しめる古い街並み 高山ラーメンもおススメ

写真:沢木 慎太郎

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飛騨高山の古い町並みというのは、高山市内を流れる宮川の東側にある地区。上街、下町を通る三筋の町並みのことです。
江戸時代の商家の面影を残す一帯で、ご覧のように小さな用水路に沿って町屋が整然と並び、美しい格子戸が情緒を添えています。老舗の暖簾が軒を連ね、飛騨高山ならではの地酒や漬物、朴葉味噌をはじめ、可愛い工芸品や雑貨のほか、お洒落なカフェや蕎麦屋、寿司屋が並んでおり、なかなかの見ごたえ。
飛騨牛のお寿司や串焼き、みたらしだんごは食べ歩きもできるので、古い街並みを見ながら多くの名産品を味わってください。

また、高山ラーメンもおススメ。飛騨ラーメンとも呼ばれ、醤油をベースとしたあっさり味のスープと、ねぎやメンマ、焼き豚などのシンプルな具材、そして細かく縮れた麺が特徴のラーメンです。スープは鶏がらをメインに鰹節や野菜をベースに煮込んだもの。タレは醤油、みりんなどで味付けしたもので、実に素朴な味です。

特におススメのお店は、『甚五郎らーめん本店』。大衆的な雰囲気が漂う店で、心のこもった高山ラーメンをいただくことができます。
じっくりとねかした醤油をベースとしたスープは濃厚ですが、あっさりとした味わい。極細のちぢれ麺によくからみ、豚骨や鶏ガラを煮込んだ風味がたまりません。飛騨高山でぜひとも味わっていただきたい一品です。

【甚五郎らーめん本店】
■住所:岐阜県高山市西之一色町2−132−1
■TEL:0577-34-5565
■営業:無休(ただし、12月31日〜翌1月1日休)
■アクセス:JR高山本線高山駅から徒歩5分
■駐車場:あり(無料)

飛騨の名酒“甚五郎”は辛口のシャープな切れ味

飛騨の名酒“甚五郎”は辛口のシャープな切れ味

写真:沢木 慎太郎

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グルメスポットの古い町並みですが、飛騨高山を訪ねたならぜひ味わっていただきたいのが地酒。たまらないほどおいしいです。原料は、飛騨の山々に連なる美しい自然から湧き出た湧水と、良質の飛騨米。これらを使って厳しい冬の寒仕込みによって生み出された地酒は独自の旨みがあります。

おススメは「舩坂(ふなさか)酒造店」さんの代表銘柄『飛騨の甚五郎(じんごろう)』。
写真の枡酒が甚五郎ですが、一口飲んだだけで、驚くほどの旨みが口の中にまろやかに広がります。辛口のシャープな切れ味で、風味が濃く、しかも軽快な滑らかさ。岐阜県新酒鑑評会で、県知事賞(第1位)を受賞しているほどの名酒です。

舩坂さんは200年の歴史を持つ造り酒屋。お店の中には開放的なテラス席があり、落ち着いた和風庭園を眺めながら銘酒を味わうことができますよ。
甚五郎のほかに、『深山菊(みやまぎく)』『四ツ星(よつぼし)』『にごり酒白無垢(にごりざけしろむく)』『夕映え(ゆうばえ)』といった名酒があるので、いろんなお酒を味わってみてください。

【舩坂酒造店】
■住所:岐阜県高山市上三之町105番地
■TEL:0577-32-0016

おわりに

飛騨高山まで電車で来られた方は、JR高山駅前からお得なバスが出ていますので、ご利用されてはいかがでしょうか?
おススメのバスは、観光スポットを循環している「さるぼぼ周遊バス」(運賃は大人200円/一部100円の区間もあり)と、福祉バスの「のらマイカー」(大人100円)。
また、レンタサイクルや人力車を使っての街めぐりも楽しいですよ。人力車乗り場は、上三之町、柳橋の交差点、高山陣屋の朝市前にそれぞれあります。

ご家族で飛騨高山に来られるのであれば、郊外にある“思い出体験館”にぜひともお寄りください。サルをあしらったお守りの“さるぼぼ”づくり体験や、せんべい焼き体験のほか、飛騨の陶器「小糸焼き」に絵を描く絵付け体験もすることができ、ご家族のみなさんで一緒に楽しく過ごすことができますよ。

飛騨高山は、世界遺産にも登録されている合掌造りの白川郷や、平湯温泉や新穂高温泉といった奥飛騨温泉郷にも近いので、高山にお寄りの際はぜひこれらの観光スポットも巡られてはいかがでしょうか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/11/05 訪問

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