太古のロマン漂う谷の都・信州鬼無里に錦秋の奥裾花渓谷をドライブ

太古のロマン漂う谷の都・信州鬼無里に錦秋の奥裾花渓谷をドライブ

更新日:2016/09/13 11:10

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
紅葉に彩られたロマン漂う信州鬼無里は、能楽・歌舞伎に伝わる紅葉狩りの舞台でもあり、鬼女紅葉の伝説を生んだ鬼のいない谷の都です。「きなさ」の山々が鮮やかな錦の色に彩られ、裾花川流域5kmにわたり高さ100Mの鬼気迫る絶壁が連続する奥裾花渓谷は、岸壁を流れる滝とブナやカエデの鮮やかな紅葉があいまってまるで屏風絵のようです。迫力のある景色が次々と目に飛び込んでくる最高のドライブルートを体感してください。

トンネルを抜けると紅く染まる鬼無里の景色

トンネルを抜けると紅く染まる鬼無里の景色

写真:和山 光一

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折重なるように迫る山々、切り立った崖のはるか下を流れる裾花川、曲がり上り下りする道はトンネルが続きます。最後のトンネル・銚子口トンネルを出るとそこが谷の都/鬼無里です。さらに西へ5Km、西京にある春日神社から裾花川をさかのぼり、奥裾花へ向かいます。

日本百景のひとつ奥裾花渓谷を堰き止めて造られた奥裾花ダムは、おすすめのビューポイントで、ダム湖にかかる奥裾花大橋から見る奥裾花湖は絶景です。ダム湖に架かる奥裾花大橋から先が奥裾花であり、林道に架かる中路式ローゼ橋としては国内最長。青空のもと茶色のアーチ橋が湖面に映える紅葉とあいまった優雅な景色は美しく訪れた人を魅了してくれます。

湖面に映る紅葉は朝のうちが特に綺麗なので、是非早起きして出かけてみて下さい。

太古の鬼無里を知る、奥裾花渓谷は地層の宝庫

太古の鬼無里を知る、奥裾花渓谷は地層の宝庫

写真:和山 光一

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奥裾花の谷あいも、ブナ、ナラ、カエデ、ナナカマドなどがいっせいに赤や黄色に色を変え、常緑樹の緑とあいまって美しいコントラストを奏でます。そして奥裾花大橋から奥裾花自然園までのアプローチとなる全長5Kmの奥裾花渓谷は、太古の日本列島の様子や山の成り立ちを知る貴重な地質学の宝庫でもあります。

渓谷沿いの岸壁に見られる球面状の大穴「猿の水飲み場」といわれる「ポットホール」や非対称な地形「ケスタ地形」に驚いたり、車を降りて観察すると「浪あとの化石」の岩肌に海底の名残りを記した貝や木の葉の化石を見つけられることもあります。さらに川が堆積岩の地層を切って流れているために奇岩、怪石が見られ、特に横80m、縦150mの巨大な一枚岩「奇岩千畳岩」や木曽義仲が馬兵を休めたという大岩窟「木曽殿アブキ」などといった鬼気迫る感動の景色が次々と目に飛び込んできます。

珍しい地層を走り抜け「鏡肌(断層のズレ)」であらためて奥裾花渓谷の雄大さに驚いてみたりと最高のドライブルートです。

大自然に浸る・学ぶ・安らぐ。「奥裾花自然園」

大自然に浸る・学ぶ・安らぐ。「奥裾花自然園」

写真:和山 光一

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裾花川の水源を求めてさらにさかのぼれば、太古から変わらぬ風貌をもつブナの林のある奥裾花自然園があります。奥裾花観光センターから先は奥裾花自然歩道でマイカー乗り入れ禁止です。観光センターから奥裾花自然園入口まではシャトルバスの運行もありますが、是非歩いて目指してみてください。車を停めてここから2300Mほど、自然園目指して軽やかに大地を踏みしめればそこはまさに自然の楽園。次々と感動の景色が目に飛び込んできて、何万年もの時空を飛び越え、太古の昔へタイムスリップしたような大地の鼓動が聞こえるように感じます。帰りはバスに乗るのもいいですね。

歩道の途中には、雪解けの水を湛えた元池湖がひっそりと姿を見せ、裏戸隠連山の高妻山や乙妻山の断崖絶壁の山々と色づく木々との構図は、見る場所によって姿を変え、飽きさせません。

奥裾花自然園は手つかずの自然が残る神秘の森

奥裾花自然園は手つかずの自然が残る神秘の森

写真:和山 光一

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大自然の保護と探勝のために県が開設した「奥裾花自然園」は、新潟県との境に近い奥裾花川の源流にあり、秋は森全体が黄金色に染まり、息をのむような幻想的な風景が繰り広げられます。

奥裾花自然園は、これまで人の手が入らなかった樹齢300年〜400の年ブナやトチの広大な原生林に囲まれた太古から続く貴重な7ヘクタールの湿原地帯で、春にはミズバショウの群生が見れます。入口からこうみ平湿原を通り吉池まで約700m。樹齢400年、幹の太さが4m以上あるトチの巨木のたもとにある吉池は、密林の中の小池ですが神秘的な佇まいをみせています。静寂な中に鏡のように池に映り込む紅葉の木々がとても幻想的でもあります。この吉池で標高1280Mになりますが、県の天然記念物のモリアオガエルが生息していたり、イモリがたくさん棲み赤いお腹を見せています。

ブナの原生林に分け入り太古の昔へタイムスリップ

ブナの原生林に分け入り太古の昔へタイムスリップ

写真:和山 光一

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吉池のたもとにあるトチの巨木を起点にブナ林のコースを歩きます。1500mのコース上には、ブナ、ミズナラ、シナノキ、ヤチダマといった樹齢300年以上の巨木を目印に進んでいきます。手つかずのブナの森には自然のきらめきが随所に見られ、大自然が造り上げる森の魅力がたっぷりひろがり、紅葉したブナの森のウォーキングは心と体をリフレッシュさせてくれます。最後はここ奥裾花の秘境に昭和39年、水芭蕉の群生が発見された今池湿原やひょうたん池に白い清楚な姿を想い描きながら戻ることになります。

さまざまな動植物や鳥類が生息し観察することができますが、熊も出没するので熊よけの鈴は必需です。園内はかなり広いのでしっかり身支度をしていきましょう。

白馬オリンピック道路ができるまでは白馬へのメインルートだった406号

善光寺前から始まる鬼無里街道(国道406号)は白馬まで通じていますが、その道沿いの戸隠・鬼無里・小川村エリアは9月下旬から少しずつ紅葉を始め、10月ともなれば村全体が錦に染まり、どこをドライブしても感動の景色が目に飛び込んできます。

406号と小川村高府から鬼無里を抜け戸隠へ通ずる県道36号の交差点が鬼無里で唯一の信号のある交差点です。ここから小川村方面に向かった大洞高原に「アルプス展望広場」という展望台があります。南は野口五郎岳から北は白馬・乗鞍岳まで、雄大な北アルプス連山がど迫力で目の前に迫る光景はまさに圧巻です。錦に染まった山の谷間に小川村の民家が点々と集落をなす風景は日本の原風景そのものです。

戸隠方面に向かって36号線を8Km上ったところに大望峠があり、三角形の広場からは迫力のある戸隠連峰のゴツゴツとした岩肌が目にとまります。

おすすめは鬼無里街道を白馬方面に向かい白沢洞門を抜けた瞬間に目に飛び込んでくる北アルプスの絶景です。それまでの道のりが細く険しい分感動もひとしおですよ。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/17 訪問

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