東京・葛飾「上品寺」の閻魔様は“ペンチ”をお持ちです!

東京・葛飾「上品寺」の閻魔様は“ペンチ”をお持ちです!

更新日:2017/03/28 09:47

井伊 たびをのプロフィール写真 井伊 たびを 社寺ナビゲーター、狛犬愛好家
東京都葛飾区にある「上品寺」には、かつて、「江戸十六閻魔」のひとつに、数えられていた「ゑんま大王」が安置されている。かつて子供のころ「嘘をつくと閻魔さんに舌をぬかれる」といわれたことはないだろうか?こちらの「ゑんま大王」は、大きなペンチを側に置き、娑婆での人々の行いを、見守っておられる。人は誰しも気軽に嘘をついてしまう。かつて、ついた数々の嘘を懺悔し、地獄への道に導かれないよう、お参りしておこう!

江戸・葛飾名所「ゑんま大王」が安置されている「上品寺」

江戸・葛飾名所「ゑんま大王」が安置されている「上品寺」

写真:井伊 たびを

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葛飾名所の「上品寺(じょうぼんじ)」は、JR総武本線「新小岩駅」から、平和橋通りを北へ15分ほど歩いたところにある。こちらの「大閻魔堂」に安置されている「閻魔大王座像」は江戸時代から、広く人々の信仰の対象になっている。

八幡山・来迎院「上品寺」の本堂

八幡山・来迎院「上品寺」の本堂

写真:井伊 たびを

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当寺は「新義真言宗」の寺で、「八幡山来迎院」という。本尊阿弥陀如来の像は、運慶の作とも伝えられている。境内の左側には「大閻魔堂」がある。またほかにも、「大師堂」や「八幡神社」などの末社がある。

こちらの境内に足を踏み入れた人が、まず感じるのは「清々しい荘厳さ」だろう。隅々まで行き届いた清掃に心が清められる。塵ひとつない石畳は、「土足厳禁!」かと一瞬歩みが止まるほど美しい。

たとえ、無宗教心の人であっても、人としての心の部分に響いてくるものがある「お寺さん」である。そして、思わず「本尊阿弥陀如来の像」に合掌している自分に気づく時空でもある。

「閻魔大王座像」が安置されている「大閻魔堂」

「閻魔大王座像」が安置されている「大閻魔堂」

写真:井伊 たびを

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当寺の「閻魔様」は、かつて「江戸十六閻魔」のひとつとして、江戸中期にもっとも盛んに信仰され、江戸名所にも数えられ、多くの信者によるにぎわいを見せていたが、安政2年の「江戸大地震」で「閻魔堂」が倒れ、その後本堂の片隅に仮安置されていた。ところが、昭和48年、上品寺住職・広沢栄孝師の願いと檀信徒の熱意により、このような立派な堂舎が建立され、現在に至っている。

「閻魔大王座像」の側には、さりげなく「大きなペンチ」が・・・

「閻魔大王座像」の側には、さりげなく「大きなペンチ」が・・・

写真:井伊 たびを

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こちらに安置されている「閻魔大王座像」は、高さ2m6cmに及ぶ雄大な木製座像で、その製作手法から判断して、室町初期の作とされている。この「像」は区内で最大のものである。

昭和に大修復が行われたが、製作年代・作者などの銘文がないことから、残念ながら文化財には指定されていない。ところで一説によると、この「閻魔大王座像」は、かつてこの地区が洪水に見舞われたとき、「中川」の上流から流れ着いた「像」を村人が拾い上げ、当寺に奉納したものだとされる。

そもそも「閻魔大王」とは、地獄に住み18の将良と8万の獄卒を従え、死して地獄に堕ちてくる人間の生前の善悪を正し、罪あるものには、苦しみを与える「冥王」として信仰する人が多い。

「閻魔堂」の縁日は、1月16日と7月16日の二回。地獄の釜の蓋の開く日となっている。が、特にここ「上品寺」の「大ゑんままつり」は毎年10月第三日曜日に行われている。

大閻魔堂内に安置されている「地蔵菩薩」

大閻魔堂内に安置されている「地蔵菩薩」

写真:井伊 たびを

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地蔵菩薩は無数の分身に変化して人々を救う仏。そのひとつの姿が「閻魔大王」である。死者の娑婆での罪を厳しく裁くが、いずれは優しい手をさしのべてくださる「菩薩さま」である。

閻魔さんに舌を抜かれないために

これまでに、一度も嘘をついたこのない人はいないだろう。もしも「いいえ!」と答えたなら、それは二度目以上の嘘になる。

むかしから、嘘をついた者は、地獄で「閻魔さんに、舌を引き抜かれる」という刑に処されるという俗説があり、子供を叱る際によく使われた。また、むかし和釘を引き抜くのに使われた、やっとこ形の釘抜きを「えんま」と称した。

ところで、閻魔さんは、コンニャクが大好物であるという。閻魔さんに舌を抜かれないために、コンニャクを供え、これまでの自分を見つめ直すためにも、こちらへお参りしてみてはいかがだろう?

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/19 訪問

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