三好市東祖谷の落合集落の一番高い所の家は標高820mにあり、一番低い所との高低差は390mもあります。高標高の山の斜面に農地と住居が広がる様子は、他の地域では見られない、このあたり独特のものです。
また、家屋は江戸時代に建てられたものが多く、貴重な集落景観を残していることから、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
祖谷は、源平の合戦で敗れた平氏の一族が、安徳天皇とともこの地に落ち延びて再興に備えたという、平家落人伝説が伝わる地でもあります。
山に囲まれ、昔は容易に訪れることができず、歴史や伝説が今に息づく地である祖谷の「落合集落」に、茅葺きの古民家ステイ宿が8棟整備されています。
写真は、2015年にオープンした「天一方」という名前の古民家です。屋根は茅で葺かれ、外壁は祖谷で昔から行われてきた「ひしゃぎ竹」という、火であぶった真竹を叩いてひしゃいだものを並べた伝統的な仕上げです。
昔ながらの方法で古民家が再生されていますが、違うのは、大きなガラス窓となっていることです。家の中に入ると、この窓が重要な役割を果たしていることがわかります。
古民家の再生は、東洋文化研究者アレックス・カー氏がプロデューサーとして関わり行われています。祖谷の美しさや伝統を活かし残そうという、こだわりが感じられます。
「天一方」の中に入ると、ゆったりと座れる椅子が、大きな窓に向けて並べられています。昔ながらの古民家の中から、何百年前と同じような空気感のある静かな山間の集落を眺める、心地よい時間を楽しめます。なにもせずに、この椅子に座って眺めるというだけで、十分満足できる空間があります。
大画面のテレビが置かれていますが、スイッチを入れない人が多いのではないでしょうか。
室内は快適な設備が整っています。エアコンはもちろん、冬に冷え込む地であり、床暖房にガスストーブも備えられています。
また、お風呂やトイレは最新の快適なものです。
囲炉裏が昔ながらの形で残され、炭火を楽しんだりできる古民家もありますが、「天一方」の囲炉裏は、テーブルとして再生されています。
洋風のソファーと組み合わされ、行灯など伝統的な日本文化とともにくつろぎの空間となっています。ソファーで横になったり、おしゃべりしたりと、楽しい時間を過ごせます。
古民家には、IHキッチンとともに、調理器具一式、塩、こしょう、醤油、サラダ油、みりん、砂糖の調味料等が備えられています。食材を持ち込んで自分で料理を楽しめますが、地元のお母さんに来てもらって一緒に調理したり、地元の家庭にお邪魔して共に料理を作ったりすることもできます。
また、地元食材をふんだんに使った特別メニューの料理をケータリングしてもらうこともできます。
写真はケータリングしてもらったものです。料理は、「遊山箱」という徳島の伝統的なお弁当箱に入れて持って来られます。地元の芋や野菜を使った料理にソバなど、「遊山箱」に入りきらないたくさんの種類の地域の食を味わうことができます。
「桃源郷のような別世界」と表現される、秘境祖谷を堪能するなら、古民家ステイがお勧めです。
昔ながらの集落景観の中の、昔ながらの古民家で、静かな集落風景を眺め、その空気を体いっぱいで感じられます。それは快適な設備で創られた贅沢な空間でもあります。
歴史文化の残る山間集落の時間を是非楽しんでください。
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