トイレの神様もいる!?500年以上の歴史を誇る、静岡「洞慶院」

トイレの神様もいる!?500年以上の歴史を誇る、静岡「洞慶院」

更新日:2016/08/22 09:42

静岡市葵区羽鳥。藁科街道を西へと進み、久住川谷橋を手前に右折して約1キロ程川沿いを進んだその先に、東海屈指の梅の名所として知られる「洞慶院(とうけいいん)」があります。今では梅の名所として有名な場所ではありますが、この静岡の奥地のひっそりとしたお寺には、千手千眼観世音菩薩を祀る本堂をはじめとした様々な見所があるのです。そこで今日は、境内散策がとにかく楽しい、洞慶院の魅力をたっぷりご紹介いたします。

山の麓にひっそり佇む洞慶院

山の麓にひっそり佇む洞慶院
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洞慶院があるのは、静岡県静岡市葵区羽鳥。安倍川の支流である藁科川が近くに流れるその地域は、自然がとにかく美しく、青々とした緑と、透き通った川と、美味しい空気を誇る場所です。静岡駅からバス、あるいは車で約30分の距離にある洞慶院は、静岡市街と羽鳥とを結ぶ大動脈である「藁科街道」から道を逸れ、羽鳥の奥地にある山々の麓にひっそりと位置しています。

久住川谷橋を手前に右折して山が目の前に迫るまで道を進めると、目の前に大きな杉で囲まれた洞慶院の小さな入り口が見えてきます。杉林によって覆われているため、どのような空間が広がっているのかわかりにくいですが、一度境内に足を踏み入れてみると、そこには奥へとどこまでも続きそうな、広い敷地が広がっています。洞慶院の全貌を知らずしてたまたまその場所を訪れた人は、何か大きな宝物を発見したような、そんな胸騒ぎを覚える場所です。

山門の代わりとしてあるのは樹齢300年以上の四本杉

山門の代わりとしてあるのは樹齢300年以上の四本杉
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ひっそりとした入り口を抜け、洞慶院の境内に入ると、まず右手に見えるのが「文殊庵」という名前のお食事どころ。お昼のみ営業しているこの食堂では、一般的なそばやうどんを始め、とろろそばやとろろ丼も食べることができます。人通りの多い場所から外れた場所にあるのにもかかわらず、たくさんの人が訪れるお店です。

この「文殊庵」を通り越し、さらに先へと進むと、この洞慶院が一番に誇る、広い梅園が広がります。この梅園には現在約400本もの梅木が植えられていますが、これは洞慶院の住職さんたちが代々植え継いできたものといいます。曹洞宗の開祖である道元が梅を好んでいたことに因み、洞慶院の住職さんによる梅木の植え継ぎが続けられました。見頃は3月の上旬。ひっそりとしている洞慶院が、最も華やぐ時期です。

「文殊庵」を過ぎ、梅園を通り抜け、さらに参道を進んだその先に、立派な四本杉と龍門橋が見えてきます。この橋を渡り、階段を上ったその先が洞慶院の寺院です。この四本杉はもともと山門の代わりとして植えられたもの。樹齢は300年以上を誇り、今では洞慶院の守り番のような存在として、龍門橋のたもとにずっしりと構えています。

500年以上の歴史を誇る洞慶院の本堂

500年以上の歴史を誇る洞慶院の本堂
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四本杉と龍門橋を過ぎると、いよいよ本堂へと続く階段が見えてきます。しーんとした空気に包まれる中、本堂へと階段を登っていきましょう。階段を登りきると初めて、それまで隠れていた洞慶院の本堂の全体が見えてきます。

洞慶院の歴史は古く、この寺院が建立されたのは1452年。500年以上の歴史を誇る、曹同宗のお寺です。本堂の中は広く、向かって左手に千手千眼観音菩薩が祀られています。境内に約400本もの梅木が植えられているとして、その華やかな梅園が有名な場所ではありますが、この洞慶院の境内には様々な見所があるため、とにかく散策が楽しい寺院なのです。

本堂を目の前にしたとき、向かって右側にあるのが「庫裡」で、左側にあるのが「衆寮」。本堂の左後ろには「坐禅堂」があり、ここでは一般の方も坐禅を体験することが可能です(坐禅に参加するには予約が必要です)。その他、本堂の近くには7つの像が横一列に並べられている「七観音」や、毎朝6時に鐘が鳴らされる「鐘楼堂」、そして様々な病気の根を切ってくれるとされる「根切り地蔵」などがあります。見所たくさんの場所のため、本堂に立ち寄るだけでなく、境内を散策しながら色んな発見をしてみてください。

一切の汚れを追い払ってくれる「ウスサマさん」

一切の汚れを追い払ってくれる「ウスサマさん」
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梅園と並んで有名なのが、「ウスサマさん」という愛称で知られる「鳥瑟沙摩明王(うすさまみょうおう)」。このウスサマさんは、本堂へと続く階段を登ったすぐ左手の建物の中に祀られています。

建物の中央部分に「鳥瑟沙摩明王」が祀られていますが、面白いのがこの建物の一番奥に設置されている和式の便所。鳥瑟沙摩明王は「トイレの神様」としても知られていて、一切の汚れから守ってくる神様として有名なのです。老後、下の世話にならないよう、またその他あらゆる病気にかからないよう、たくさんの方が祈願される場所です。

建物の左側が参拝の入り口となっています。入り口を入り、まっすぐ進むと、一番奥に設置されているのがおまたぎ用の便器です。「おまたぎ」と書かれた紙がありますが、ここをまたぎながら祈願するという参拝方法となってします。おまたぎを終えたら、そのまま右へと進み、建物の出口へと向かいましょう。このおまたぎはあまり経験する機会がないと思いますので、是非この機会に「ウスサマさん」に会いに行ってみてください。

縁結びのご利益のある「塩渓堂(えんけいどう)」

縁結びのご利益のある「塩渓堂(えんけいどう)」
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本堂の東側、下へと伸びる一本の道をまっすぐ進むと、その先にあるのが「塩渓堂(えんけいどう)」です。ここは、洞慶院の二代目である石叟円柱(せきそうえんちゅう)大和尚が杖をつくと塩水が湧き出たという逸話から、「塩の谷」と呼ばれる場所です。

傍にある祠には縁結びのご利益があるとされる「愛染(あいぜん)明王」が祀られています。この塩渓堂は本堂のある場所からは少し離れた場所にあるため、さらにひっそりとしている場所です。立派な本堂とは異なり、古めかしさが逆に味となって、探究心をくすぐられるような雰囲気となっています。本堂やウスサマさんへ参拝した後は、ぜひ本堂の東側にある道を下り、ここ塩渓堂へも足を運んでみてください。

山の麓にある見所満載の「洞慶院」

洞慶院の良さは何と言ってもその立地にあります。山と川の風景が美しい静岡市葵区羽鳥の山の麓に位置し、杉林によって覆われた洞慶院境内の入り口は、その中が一体どんな世界になっているのか好奇心をくすぐられずにはいられないような佇まいとなっています。

500年以上の歴史を誇る本堂は、どうしてこんなところに!?と思うほど立派なもので、参道を歩き、四本杉を通り過ぎ、階段を登ったときに初めてその全体を見ることができます。どしっと構える本堂のすぐ後ろには立派な山々が聳えていて、その山を従えるようにして本堂は堂々と建っています。

トイレの神様であるウスサマさんや、縁結びのご利益があるとされる塩渓堂など、見所は本当に満載。様々な見所が用意されている境内を、是非自由に散策してみてください。始終探究心をくすぐられるような、たのしい時間となるはずですよ!

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/13 訪問

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