奈良で見る茜色の絶景!日本の夕陽百選「平城宮跡歴史公園・朱雀門」

奈良で見る茜色の絶景!日本の夕陽百選「平城宮跡歴史公園・朱雀門」

更新日:2018/10/19 11:56

陽月 よつかのプロフィール写真 陽月 よつか フリーライター、星空準案内人
奈良の世界遺産・平城宮跡の朱雀門。1300年前の姿そのままに復元された美しい朱塗りの門は、世界中から観光客を集めています。そして世界中の夕陽マニアも! 実はこちら、日本の夕陽百選にも選ばれた絶景夕陽スポットなのです。1300年の都を茜色に染める夕陽をどうぞご覧ください。

世界が茜一色になる…朱雀門から臨む10分間だけの天体ショー

世界が茜一色になる…朱雀門から臨む10分間だけの天体ショー

写真:陽月 よつか

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奈良の日暮れ、広大な平城宮跡は静かに茜に染まります。それは陽の色が変わってゆくのが、空を見上げなくともわかるほど。そして平城宮跡の南を守護する朱雀門も、夕陽の茜に染まりながら同時にシルエットに沈んでゆくのです。

平城宮跡の朱雀門は平成10年に当時の姿そのままに復元された、かつての平城宮の正門。高さ22m、間口約25m、奥行き10mの大きな門です。平城宮跡ごと同平成10年に、奈良県内では2番目の、考古遺跡としては日本初の世界遺産に指定されています。

写真は朱雀門の平城宮跡側、落ちてゆく陽の傍らに遠く見えるのは生駒山です。奈良は景観上の観点から高い建物が少なく、更に平城宮跡はほぼ広場のため、驚くほど空が広く開けています。東は春日山から西は生駒山まで、全てが空なのです。

広い空も広い平城宮跡もともにひたひたと茜に染まってゆくさまは、まさに圧巻!

どこを切り取っても美しい、王宮を守る鳳凰の門に照る夕陽

どこを切り取っても美しい、王宮を守る鳳凰の門に照る夕陽

写真:陽月 よつか

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かつて日本の中心であり、シルクロードの終着点であった平城京。朱雀門の壮麗な佇まいからも、雅やかな天平文化の息吹が伝わります。

朱雀門の朱雀とは火の鳥・鳳凰のこと。南方を守護する神獣と言われています。平城宮はその成り立ちである遷都の詔(みことのり)に「平城(へいぜい)の地は四禽(しきん)図に叶ひ…」とある通り、風水の四神相応(東西南北を司る神獣を地形や地勢に当て嵌めた地相術のこと。東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武)の思想に則って作られた都。ですのでその南を守る門は、朱雀の門なのです。

朱雀の色である朱色の塗りも美しく、またその細部の優美さからも、古来の人がこの門に祈りを込めた神獣の神々しさが感じられます。

昔年の繁栄を残す佇まいに、変わらぬ夕陽が胸に迫る

昔年の繁栄を残す佇まいに、変わらぬ夕陽が胸に迫る

写真:陽月 よつか

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こちらは朱雀門の大通り側からの夕景。朱雀門は平城京の入口である羅生門からまっすぐ北へのびるメインストリート朱雀大路に、平城宮の正門として建っていたので、こちら側がいわば門の正面と言えます。

その昔、朱雀門は衛士たちによって守られ、門の前では外国使節の送迎の儀式や、大勢の人が集まる歌垣(男女が集まり恋の歌をかけあう会)などが行われていました。またお正月には天皇がこの門まで出向き、新年のお祝いをすることも。凛々しい佇まいが、往年の賑わいとその権威を彷彿とさせますね。

開門時間は9:00〜16:30(入場は16:00まで)。最も夕陽の早い冬場であっても、夕陽の時間には門に入ることはできません。ですので、こちらから見る夕陽はいつも静か。1300年前と変わらない夕陽の、ひたひたと胸に迫ってくるような夕景を、葉擦れの音や鳥の声と共に眺めることができます。

燃えるような夕陽の残照に、朱雀門の朱が映える時

燃えるような夕陽の残照に、朱雀門の朱が映える時

写真:陽月 よつか

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陽が落ちて、夏場ならそろそろ夕暮れ空が藍がかるころ。ふっと朱雀門に灯りが灯ります。(1−6月18:00−22:00、7−12月19:00−22:00)

奈良の日の入り時刻は、春分:18:08、夏至:19:13、秋分:18:36、冬至:16:50(2016年調べ)。ざっくり一月に20分ほどずつズレていきます。春から夏には写真のように夕陽の残照とライトアップが重なり、なんとも荘厳な雰囲気に。また秋から冬には、星空から浮かび上がるような浮世離れした光景を見ることができるのです。

平城宮跡内には、電灯は必要最低限しか設置されていません。ですので夜景は遠く山裾に臨むばかり。異世界に迷い込んだかのような錯覚を起こす、幻想的な光景です。もちろん、帰り道に必要なだけの灯りは灯っていますのでご安心。ただし風景に誘われて道なき道を行くとその限りではないので、お気をつけくださいね。

まるで竜宮城!宵藍に振りあおぐ月と朱雀門はお伽噺のように幻想的

まるで竜宮城!宵藍に振りあおぐ月と朱雀門はお伽噺のように幻想的

写真:陽月 よつか

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夕陽を見た後には、いえ例え夕陽が雲で見えなくとも、トワイライトタイムを見過ごしてはいけません。奈良は海なし県でありながら、よもや竜宮城とはこんな風なのじゃあるまいかと、つい思いを馳せてしまうこの光景。

写真のように月が沖天に近ければ平城宮側から、東か西にある時なら正面側から仰ぐのがおすすめ。空が広いので、月が空に見えるならそれがどちらの方角であっても、朱雀門と一緒に見上げることができるのです。

朱雀門から見る夕空は、往々にして生駒山に雲が溜まりがち。晴れてるのに夕陽だけ見えない…などという寄りに寄った事象もありうる上、全国的に見ても奈良県は曇りの日が多め。夕陽はなかなかに貴重なのです。
ですが、トワイライトは多少雲があっても見られる上、雲のたなびきが一層美しいということも。どうぞ朱雀門のトワイライトタイム、お見逃しなく!

貴重だからこそより美しい!朱雀門の夕陽を見るには?

日本の夕陽百選・朱雀門の夕陽、いかがでしたでしょうか? 平城宮跡の中を珍しくも電車が走っていることから、実は近鉄線の車窓からも見られる朱雀門の夕陽。その美しさは往年の王朝文化を偲ばせます。
なお、奈良県の月別お天気目安はこちらになります。(1981〜2010の30年平均:気象庁調べ)

一月:1.5日/20.8日、二月:1.5日/18.4日、三月:2.1日/18.4日、四月:3.2日/17.4日、五月:2.3日/15.0日、六月:1.2日/10.4日、七月:0.8日/14.1日、八月:1.3日/19.6日、九月:1.3日/15.5日、十月:3.1日/19.5日、十一月:3.9日/20.3日、十二月:3.3日/22.9日
(月:快晴の日数/快晴+晴れの日数)

必ずではありませんが、快晴の日は夕陽とトワイライトが、快晴+晴れの日はトワイライトが美しい日の目安となります。ご参考までに、どうぞ幻想的な光景をその目でご覧になってくださいね。
また車窓から見る朱雀門については、関連MEMOの「タモリもおすすめ!鉄道好きの集まる駅・奈良「大和西大寺駅」の日本一ポイント」でご紹介しています。よろしければ合わせてどうぞ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/01−2016/08/11 訪問

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