山代温泉にある「べにや無可有」は自然の山庭を囲むようにして建つ別荘のようなお宿。エントランスの小径を過ぎれば、外の風景が流れ込んで来るような開放感あふれる造り。客室はわずか17室で、全部屋に山庭に面した源泉露天風呂が付いています。
「無何有」とは 何の作為もないただ自然なこと。その荘子の言葉をもとにして、自然の癒しによって無心を取り戻すことを主眼に置いたお宿です。
また「べにや無可有」は厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみに加盟が許される「ルレ・エ・シャト−」の会員。日本で加盟出来たのは僅かに8軒。2013年には全世界520の旅館やホテルの中で、最も秀でた施設に贈られる「ルレ・エ・シャトー・ウエルカムトロフィー」を受賞!日本旅館の誇りといっても過言ではありません。
世界品質の旅館には考え抜いたおもてなしの世界が広がっています。
「無可有」とは空っぽの中の豊かさ。そのコンセプトの通り、華美な装飾は極力避けた落ち着いたお宿です。エントランスロビーは珪藻土たたき仕上げの土間造り。山庭からこもれ陽が差し込み、ロビーからテラス、そして山庭へと散歩道が続きます。
「べにや無何有」は和室8室、洋室2室、和洋室6室、特別室1室の僅か17室。全ての客室から自然の山庭の眺めを楽しむことができます。全客室に露天風呂が付いており、ありのままの自然を望む湯に身を浸せば、周囲の風景に溶け込んでいく自分自身を感じることでしょう。
写真は特別室の「若紫」。100平方mを悠々超える広々とした客室で、10畳の和室、ツインベッドルーム、竹敷きの広縁に居間、源泉露天風呂の構成で、ウォークインクローゼットもあります。
客室に入ってすぐに目を奪われるのが竹敷きの広縁。自然と一体となったような感覚の広縁は安らぎと癒やしにあふれています。山桜や楓など山庭にある樹木を正面に望むので、春には桜、秋には紅葉、冬には雪景色と一年中素晴らしい景色を楽しめます。
荘子の「虚室生白」の思想を反映したべにや無可有。「部屋はからっぽなほど光が満ちる。何も無い所こそ自由でとらわれない心がある」の考えが表現されたのが「方林」と「円庭」です。
板張りの空間に25本の柱が均等に立てられた「方林」は、正面に御神木の赤松を望み、山の気を感じながら心を開放し休ませる空間です。林という字は「集まる」という意味の通り、毎朝ヨガセラピーが行われるほか、座禅や瞑想に使われます。晩はろうそくが灯され、幻想的な風景が浮かび上がります。
「円庭」はこんこんと水の湧き出す庭を表現。水路を駆ける水玉が円盤の上に落ち、螺旋を描きながら泉に落ちていくさまは、自由な水をイメージ。
静けさも冷たさも、そして安らぎも情熱も表すことができる水があります。
心身を開放するために生まれた「方林」と「円庭」は唯一無二の空間。建築と和の美しさが融合した特別な空間に足を踏み入れれば、時間という観念、呪縛から解放されていきます。
林に集い、水で解き放たれる…無可有という名の通り、何もない贅沢。そして自然の中に身を委ねる安心感。こんな素敵空間がお宿にあるのは驚きです。
夕食はダイニングか客室でいただきます。特別室には広縁の隣に3mのふき漆の掘りごたつタイプのテーブルを備えるので、そちらでゆったりとした食事が可能。
料理は美食の都、加賀ならではの和懐石。厳選した食材は口福を約束してくれます。また伝統工芸王国らしい洗練された九谷焼、山中塗、輪島塗など、こだわり抜いた器も楽しみのひとつ。
季節感あふれる料理で特筆すべきものは、加賀野菜と日本海の新鮮な魚介類。夏はとびきり新鮮なお刺身。そして冬はあの香箱ガニや寒ブリが彩り豊かな野菜と共に登場します。
山代温泉は1300年以上前、霊長ヤタガラスが羽の傷を癒していたと云われている由緒ある温泉。ヤタガラスは太陽の象徴と言われる偉大な存在。今ではそのヤタガラスが日本代表エンブレムになり、サッカーファンなら必ず訪れたい地にもなりました。
その「山代温泉」を代表する無可有は名の由来通り、何もない贅沢があります。都会の時の刻みに擦れきった心と体が解放されていく特別なお宿。華美な演出やデザインとは対局にある本当の贅沢、本当のおもてなしがここにあります。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索