ラピュタの神殿!日本最大の山城!奈良県「高取城跡」へハイキング

ラピュタの神殿!日本最大の山城!奈良県「高取城跡」へハイキング

更新日:2020/12/07 13:02

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家
NHKの人気番組『あなたも絶対行きたくなる!日本「最強の城」スペシャル』の第1弾(2018年6月放送)で、日本最強の城に選ばれた「高取城(奈良県高取町)」。日本三大山城の一つで、日本最大の山城。天守閣は壊されたものの、美しく積みあげられた壮大な石垣が今も高取山に残り、ジブリ映画の人気アニメ『天空の城ラピュタ』に出てくる神殿のよう。紅葉や新緑の時期も美しく、ハイキングで訪れてはいかがでしょうか?

日本最大の山城!「高取城」とは?

日本最大の山城!「高取城」とは?

写真:沢木 慎太郎

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雲海に浮かぶ神秘的な風景で、人気の観光スポットとなった天空の城「竹田城跡」(兵庫県朝来市)。これに対し、奈良県の天空の城が「高取城跡」。高取城跡では最近、木々が伐採され、眺望も楽しめます。

「高取城」は、標高584メートルの高取山に築かれた山城。比高(天守閣と麓の高低差)が390メートルで、比高が日本一。高低差が大きいほど、難攻不落とされています。

日本最大の山城!「高取城」とは?

写真:沢木 慎太郎

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「高取城」は、城内(城壁に囲まれた部分)が約3キロメートル、城郭(城の大きさ)が約30キロメートルという、想像を絶する日本一の山城(国の史跡)。

約700年の歴史があり、かつては山中に白塗りの天守閣や櫓(やぐら)が建ち、その姿は雪の美しさにたたえられました。「芙蓉城(ふようじょう)」と呼ばれた高取城。明治時代になって廃城となり、今は壮大な石垣を残すだけ。

しかし、苔むした壮大な石垣が残り、紅葉の名所や写真映えのスポットとしても有名。紅葉の見ごろは、たかとり城まつり(11月23日)前後。紅葉時期は例年、11月中旬ごろからで、12月上旬ごろまで紅葉を楽しむことができます。

日本最大の山城!「高取城」とは?

写真:沢木 慎太郎

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高取城跡(天守閣跡)へ行く最短のコースは、壷阪寺から進むルート(徒歩約60分)。途中に八幡神社があり、数台分の駐車スペースがありますが、アクセスの道は狭いので、壷阪寺の有料駐車場に駐車してハイキングを楽しむのがおすすめ。

壷阪寺へは、近鉄電車「壺阪山寺駅」から、奈良交通のバスが出ているので、バスで壷阪寺までアクセスするのも良いでしょう。

高取城へのアクセス、駐車場は?

高取城へのアクセス、駐車場は?

写真:沢木 慎太郎

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ちょっと本格的なハイキングを楽しみたい方は、近鉄電車「壺阪山寺駅」から、高取町観光案内所の「夢創舘(むそうかん)」(写真)を目指しましょう。
漢方薬や街の駅など、城下町の風情を残す町並み(土佐街道)を見ながら、壺阪山寺駅から約15分で夢創舘へ。

夢創舘では、高取城へのハイキングコースの地図があるほか、日本100名城認定スタンプも設置。登城の記念となる「高取城の御城印」や、お土産品もあるので、高取城ハイキングの記念にもなりますよ。

車で行きたい方は、夢創舘の近くに観光駐車場(第1、第2)が無料で開放されているので、この駐車場を利用するのがおすすめ。

<基本情報>
住所:奈良県高市郡高取町上土佐20-2
電話番号:0744-52-1150
アクセス:近鉄電車「壺阪山寺駅」から徒歩約15分
開館時間:9:30〜16:30
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日は翌日)、年末年始など

高取城へのアクセス、駐車場は?

写真:沢木 慎太郎

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壺阪山駅から土佐街道に入り、高取城の天守閣跡まで約2時間。多くの門跡を見ながら向かうので、歴史ロマンが感じられます。

勾配は比較的にゆるやかなので、初心者にもおすすめ。子供さんを連れたご家族や、ご夫婦やカップル、単独でハイキングを楽しみましょう。

高取城へのアクセス、駐車場は?

写真:沢木 慎太郎

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天守閣跡まで、道はほぼ一本道。「上子島砂防公園」を過ぎ、いよいよ山登りへ。山頂付近の七つ井戸や八幡神社に簡易トイレがありますが、水道のあるお手洗いが上子島砂防公園にあるので、ここで済ませてから登山を楽しみましょう。

写真は本丸ですが、売店やレストラン、自動販売機もないので、お弁当や飲み物を持っていきましょう。

猿石も!高取城へ歴史ロマンの旅

猿石も!高取城へ歴史ロマンの旅

写真:沢木 慎太郎

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城のメインストリートの大手筋や、第一城門(黒門跡)を抜け、曲がりくねった七曲を通ると、最初の見どころが写真の「猿石」。ドキッとするような異質な気配が感じられます。

もともとは奈良県明日香村にあった石像で、吉備姫王(きびひめのおおきみ)にある石像と同じ種類のもの。
高取城の建築にあたっては、飛鳥の石材が使われ、その時に運ばれてきたらしく、郭内と城内の境界を示す「結界石」としたようです。

猿石も!高取城へ歴史ロマンの旅

写真:沢木 慎太郎

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猿石の近くには、二ノ門跡があり、近くには神秘的な池がたたずんでいます。山城では珍しい水堀。大和川の支流の一つ、高取川の源流がこの池です。

猿石も!高取城へ歴史ロマンの旅

写真:沢木 慎太郎

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山頂に向かう途中にある展望所が「国見櫓(やぐら)」。葛城・金剛山から二上山、生駒山の山並みが続き、京都の比叡山も遠くに見えます。

高取城は、もともとは南北朝時代に、南朝方の越智邦澄氏によって築かれたと伝わります。
日本の歴史で、別々の天皇が「北朝(京都)」と、「南朝(吉野)」に分かれて、対立していた時代。京都の軍勢を、ここから監視していたのでしょう。

その後、1585年に豊臣秀長の重臣、本多太郎佐衛門が高取城主となり、天守閣や石垣などの本格的な築造が始められました。

苔むした石垣、散紅葉も美しい

苔むした石垣、散紅葉も美しい

写真:沢木 慎太郎

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続いての見どころは、「大手門跡(御城門)」。苔むした石垣と散紅葉も風情があり、重厚で厳かな雰囲気があります。

天守閣へ進む道はすべてここで合流。大手門は「二の丸」「本丸」へ進む唯一の入り口。道は曲がりくねり、これは敵の侵入を阻むため。山城独自の守りが見られます。

苔むした石垣、散紅葉も美しい

写真:沢木 慎太郎

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さらに進むと、いよいよ本丸へ。写真の中央奥が、天守台の一部。本丸を守る強固な石垣の上に、3層の天守閣がそびえていました。
正面に見える巨木は、ご神木。凄まじい迫力とパワーが感じられます。

苔むした石垣、散紅葉も美しい

写真:沢木 慎太郎

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こちらが、天守台。天守閣をささえる石垣です。見どころは角の部分。天守閣を支える石垣は、角の部分が壊れやすく、強度を増すために「算木積み(さんぎづみ)」という方法が使われています。

石を細長く加工し、石の長辺と短辺を交互に重ね合わせる方法。写真を見ると、「幅が長い石」と「幅の短い石」が交互に積みあがっているようすがわかります。

ラピュタの神殿!日本のミステリー

ラピュタの神殿!日本のミステリー

写真:沢木 慎太郎

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作家の司馬遼太郎は高取城跡を見た時、「アンコール・ワット(カンボジア)に入った人の気持が少しわかる気がする」と言っていますが、その気持ちがよくわかります。

高取城の石垣は誇り高く、万里の長城(中国)やマチュ・ピチュ(ペルー)、チチェン・イッツァ(メキシコ)、アユタヤ遺跡(タイ)など、世界の名だたる古代遺跡にも匹敵するスケール。時空を超えた歴史ロマンが感じられます。

ラピュタの神殿!日本のミステリー

写真:沢木 慎太郎

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高取城は、眺望や威厳を楽しむのではなく、戦うための城。関ケ原の戦いでは西軍の石田三成から猛攻を受けても、東軍の本多側はこれを撃退。江戸末期には、幕府に反旗をひるがえす天誅組約1000人から襲撃されましたが、わずか約200名の守備隊で守り切りました。

戦闘で一度も敗れたことのない、日本最強の山城は、しかし、時代に置き去りにされ、壮大な石垣の合間から巨木が突き出し、一抹の寂しさが感じられます。
かつての栄華は遠く、はかなくも美しく、ジブリアニメの『天空の城ラピュタ』に登場する「ラピュタ帝国の聖都(天空の城)」の神殿のような、ミステリアスな雰囲気が漂います。

ラピュタの神殿!日本のミステリー

写真:沢木 慎太郎

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天守閣跡からの帰りは、八幡神社から壷阪寺へ。途中に、「五百羅漢岩(写真)」があるので、こちらもぜひお立ち寄りください。

「壷阪寺」の奥の院となる五百羅漢岩は、16世紀に高取城を本格整備した本多正俊が石工に命じて作らせたと伝わります。ほとんどお顔が見えない石仏が多く、ひっそり静かな祈りの聖地。壷阪寺参道を通れば、夢創舘へと戻ることもできます。

ハイキングは一年を通して楽しむことができますが、夏はマムシやハチに注意。街灯がないので、日が暮れると、高取城はとても怖い。
「あなたの知らない高取城」など、奈良のミステリースポットや、奈良でのおすすめのハイキングコースなどについては別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに貼り付けたリンクからのぞいてみて下さい。

高取城跡の基本情報

住所:奈良県高市郡高取町高取
アクセス:近鉄電車吉野線「壺阪山」駅から、奈良交通バス「壺阪寺前」下車し、徒歩約60分
駐車場:壺阪寺(有料駐車場)、夢創舘近くに第1、第2観光駐車場(無料)など
ハイキングコース:
近鉄電車吉野線「壺阪山駅」→土佐街道を散策、「夢創舘」を経て「上子島沢砂防公園(徒歩約50分)」→「高取城跡(徒歩約70分)」→「壷阪寺(徒歩約60分)」→壷阪寺前からバスに乗車(11分)→近鉄吉野線「壺阪山駅」

2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/06−2020/11/28 訪問

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