万人は楽しめない!?台北「華西街観光夜市」の奇怪でディープな魅力とは

万人は楽しめない!?台北「華西街観光夜市」の奇怪でディープな魅力とは

更新日:2018/07/23 15:20

藤井 麻未のプロフィール写真 藤井 麻未 元秘境系海外旅行添乗員
台湾の夜の楽しみといえば多くの人が訪れる夜市。台北ではガイドブックでもお馴染の士林観光夜市が最も有名だろう。夜市での食べ歩きや買い物はアジアの熱気が漂ってなかなか楽しいものだ。
だがしかし、今回ご紹介する「華西街観光夜市」は決して万人が楽しめる訳ではない。そこは台北にあるどの夜市とも全く違った妖しさを放つ、奇怪でディープなダークサイド夜市なのだ。では早速、妖しの世界へとご案内しよう。

龍山寺のすぐ近くに位置する妖しいエリア

龍山寺のすぐ近くに位置する妖しいエリア

写真:藤井 麻未

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華西街観光夜市は、あの有名な台北のパワースポット龍山寺のすぐ近くにある。龍山寺から向かって左へ進むと、じきに怪しげな香りのする繁華街の中へ入って行く。右手に突如現れるのが不自然なほどに立派な夜市の入口だ。神聖な龍山寺と対をなすように、なんだかタダならぬ雰囲気の漂うアーケードが、ポッカリと口を開けて人々を歓迎している。

夜市の営業時間は人気が多いので、入口は意外に入り易く思えるかもしれない。中を覗くと、まずは漢方薬局やマッサージ店、雑貨屋らしき店が並んでいる。案外ふつうじゃない?そう思った方はそのまま足を進めていこう。

得体の知れない海鮮の正体とは

得体の知れない海鮮の正体とは

提供元:Wikimedia Commons

https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=33…

入口の入り易さに気を許して進んで行くと、だんだんと様子がおかしいのに気付くだろう。独特の臭気を放つ漢方薬局は、よく見れば得体の知れない爬虫類の様々な部位を売っている。マッサージ店も、外から扉の開かない店舗や見張り役らしき男性が立っているいかがわしい店舗が、普通の店舗に紛れてひっそりと営業していたり、雑貨屋かと思った店は、よく見るとピンクの看板輝くオトナのおもちゃや下着の店だったり。
これは間違えた!と引き返そうとしても、次々と現れる妖しい魔力の店たちに、あなたはどういうわけか惹き付けられて戻れないだろう。

じきに夜市のアーケードは、美味しそうな湯気をたてる食べ物店のエリアへと至る。店先には魚介類が並び、店の看板には「海鮮」の文字が目立つ。ここでホッと安堵する方も多いかもしれない。小腹も空いたことだしこの辺りで海鮮料理を食べてみようか…そう考えてしまったら要注意だ。

実はここで売っている海鮮、ただものではない。お馴染の魚類の間に、なんだかよく分からないヌメヌメとした皮膚の四足のものや、生の睾丸、見たことのない爬虫類の一部が切り売りされている。そう、ここの主力食材はいわゆる「ゲテモノ」。女性ならば悲鳴をあげて退散してしまうだろう。

驚きの爬虫類レストラン

驚きの爬虫類レストラン

写真:藤井 麻未

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露店は怖いからちゃんとした門構えのレストランに入ってみよう!そう考えたあなたもまだまだ甘い。よく看板を見て欲しい。そこに輝くのは、「蛇(ヘビ)」や「鼈(スッポン)」、「鰐(ワニ)」の文字。もうここまで来たら入ってみるしかないだろう。

店内には、爬虫類嫌いならば身の毛もよだつような光景が広がっている。いくつもの水槽には、スッポンやその他謎の生き物が泳ぎ回り、ディスプレイにはヘビやワニの体の一部が瓶詰にされたものが並ぶ。時折ヘビがウサギを食べる生食いショーなんかも行われるから驚きだ。しかしここは動物園でもなんでもない、正真正銘のレストランなのだ。この事実が意味するところは想像に難くないだろう。さあ、思い切ってテーブルへ。

ヘビの餌は生きたネズミ

ヘビの餌は生きたネズミ

写真:藤井 麻未

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もし一生に一度でもヘビを食べてみたいと思うのなら、華西街観光夜市に並ぶレストランは最適だ。ヘビを様々な形で供してくれる。鮮度も抜群。何しろ店内には生きたヘビが飼育されていて、客自らそれを眺めることができるのだ。ヘビの餌も鮮度が一番。恐ろしいことに、大蛇の飼育されるすぐ横には、餌として与えられる真っ白なネズミも生きたまま飼育されている。

多様なヘビ料理に舌鼓

多様なヘビ料理に舌鼓

写真:藤井 麻未

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ヘビ料理は何でもござれのレストランでは、ヘビを様々な形で調理してくれるので飽きることがない。初心者には濃い味付けのヘビ肉の炒めものなどが無難かもしれない。少し形がグロテスクだけれど、澄み切ったスープにヘビ肉が浮かんで出てくるヘビスープも意外にいける。ぶにっとした弾力のある食感だが、骨が異常に多いので飲み込まないよう注意すること。

上級者はヘビの局部入り焼酎なんか話のタネにいかがだろうか。養命酒に似た漢方的な味わいで、滋養強壮に良いという。そのもの自体は食べられないが、なかなかこれをマジマジと眺めるチャンスは無いかもしれない。

おわりに

台北の夜に妖しく輝く華西街観光夜市。この夜市が万人にオススメできない理由は分かっていただけただろう。

しかし、士林夜市などオーソドックスな夜市に飽きた方は、怖いもの見たさで一度冷やかしに行ってみるのも面白いかもしれない。実はここは1951年にできた台北最古の夜市でもある。かつては寂れたアーケードに人もまばらで治安があまり良くないエリアであったが、現在は物珍しさで集まってくる観光客も多く、かつてほどの危なさは無くなった。女性一人、または若い男性は少し注意が必要だが、複数人で訪れるには特に問題ないだろう。

猥雑で、妖艶で、奇怪なダークサイド夜市。むせ返るような台北の熱気によるものか、夜市の魔力によるものか、一度足を踏み入れたなら、あなたはこの妖しい魅力に抗うことができるだろうか。

掲載内容は執筆時点のものです。

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