ビギナーもOK!可愛い高山植物に癒される「立山トレッキング」

ビギナーもOK!可愛い高山植物に癒される「立山トレッキング」

更新日:2017/03/22 16:37

いよいよ4月15日(2017年)には全線開通の「立山黒部アルペンルート」。乗り物を乗り継いで、標高2450mまで一気に登ることができる室堂周辺は、ビギナーでも楽しめるお手軽なトレッキングコースが沢山あります。そして6月から9月頃にかけては、高山植物が可愛い花をつけて短い夏を彩ります。立山三山の雄大な眺めと咲き誇る可憐な高山植物に、身も心もリフレッシュ!!運が良ければライチョウに出会える‥‥かも!?

小さいけれど草花ではなく樹木!?白く可憐な「チングルマ」

小さいけれど草花ではなく樹木!?白く可憐な「チングルマ」
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立山黒部アルペンルート最高地点の室堂(むろどう)。標高2450mの室堂ターミナル屋上が、トレッキングの出発地点です。ここ室堂からは、標高3003mの立山信仰の聖地「雄山」に登ることもできます!でも、今回はビギナーにおススメの「室堂平」から「ミクリガ池」をぐるっと周るコースで出会える、可愛い高山植物を紹介します。厳しい自然の中でけなげに咲く可憐な花に、癒されてくださいね!

ターミナルの屋上から数段の階段を降りると、広い草地が広がります。ここが標高2450mの「室堂平」です。6〜7月頃からこの草原一面に咲く白く小さな5弁の花、これが立山の代表的な高山植物の一つ「チングルマ」です。高さ10cmほどしかない小さい植物ですが、このチングルマ、実は草花ではなくバラ科の樹木なのです。背景に立山三山がそびえ立ち、足元から一面に広がるチングルマの草原は、ここが日本!?‥‥と思うほどの美しさ。アルペンルートを代表する景色を楽しんで!

「チングルマ」の語源、まるで風車みたいなチングルマの果実!

「チングルマ」の語源、まるで風車みたいなチングルマの果実!
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室堂ターミナルから日本最古の山小屋である「立山室堂」、そしてミクリガ池に向かう散策路は石畳が敷かれ、きれいに整備されています。歩道わきの溝にカバーがされているのは、過去に特別天然記念物の「ライチョウ」のヒナが落ちこんでしまったことがあるから。この辺りは、運が良ければ「ライチョウ」が見られることもあります。ライチョウを見るには、繁殖期の5〜6月頃がベストシーズンです。

チングルマの群落の中に混ざって、また場所によっては一面に、赤くフワフワした風車のような植物が見られます。実はこれ、同じ植物とは思えないかもしれませんが、チングルマの果実です!全く違う形をしているのですが、白い花びらが散った後、花柱が伸びてきて放射状に広がってイソギンチャクみたいになってきます。この姿がまるで子供の持つおもちゃ、「稚児車(ちごぐるま)」のようだ、ということで、それが訛って「チングルマ」という名前になりました。一つの植物で2度楽しめる、お得感満載のかわいらしい花ですね!

見た目は可愛いけど‥‥ちょっと怖い名前の「オトギリソウ」

見た目は可愛いけど‥‥ちょっと怖い名前の「オトギリソウ」
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室堂平からミクリガ池に向かう散策路のあちらこちらで見かける、草丈15〜30cmほどの5弁の黄色い花。「オトギリソウ」です。とっても可愛い花ですが‥‥。漢字で書くと「弟切草」!!ちょっと物騒な名前ですね!名前にまつわる民話があります。

昔々、花山天皇の頃のお話です。晴頼という鷹匠がいて、飼っている鷹がケガをすると、どこからかとても良く効く薬草をとってきて治してしまうのでした。誰もがその薬草を教えてほしいと頼みましたが、晴頼は誰にも決して教えませんでした。しかしある日、晴頼とたいそう仲良しだった弟が、ついうっかり他人に薬草のことを教えてしまいます。怒った晴頼は、弟を切り殺してしまったということです。

その薬草がこの「オトギリソウ」で、「弟切草」という名前になりました。オトギリソウの葉をよく見ると、葉先や裏がまるで血の色のように赤黒くなっています。殺された弟の血を吸ったせいだ、と言われていますが、ちょっと怖いお話ですね!

しかしこの「オトギリソウ」、本当に傷の妙薬で、この草を煎じて傷を洗えばたちどころに治ると言われています。ちなみにここ立山では、大切な自然を守るために、散策路以外に立ち入ることも、植物を摘み取ることもNGなので、その効能を確かめることは出来ませんが‥‥。

ちょっと危険!?高山植物では珍しく背高のっぽの「コバイケイソウ」

ちょっと危険!?高山植物では珍しく背高のっぽの「コバイケイソウ」
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草原でひときわ目立つ背高のっぽ!「コバイケイソウ」。その高さは1mにもなるといいます。漢字で書くと「小梅恵草」。名前の由来は花が梅に似ているからといいますが‥‥。う〜ん、ちょっとそうとは思えませんね!?葉は恵蘭に似ている、と言われています。確かに光沢があり蘭の葉のようです。

実はこの「コバイケイソウ」、ちょっと危険な植物です。というのは、若芽が山菜の「オオバギボウシ」や「ノカンゾウ」の若芽に似ているために、毎年誤食による食中毒が発生しているからです。ここでは採取出来ないので心配はご無用ですが、山菜取りもなかなか難しいものですね!

高原のアクセント!濃いピンクが可愛い「ヨツバシオガマ」

高原のアクセント!濃いピンクが可愛い「ヨツバシオガマ」
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様々な高山植物が咲く室堂平周辺で、濃いピンク色がひときわ目を引くのは「ヨツバシオガマ」です。

漢字で書くと「四葉塩竈」。その名のとおり一つの節からシダのような葉が四つ、十字に伸びています。「塩竈」は浜で塩を取るための釜です。浜辺に並ぶ塩竈の風景が、趣があってとても美しいということで、「浜で美しい」と「葉まで美しい」をかけています。

それほど美しいと言われる「ヨツバシオガマ」。花弁の形は「二唇形」。上唇には鳥のような頭部とクチバシがあって、下唇は下顎のように広がっています。この美しい花を楽しめるのは7〜8月。いろいろな高山植物を楽しむには、7月頃がベストシーズンです!

室堂発トレッキングを楽しむには「立山自然保護センター」の自然観察ツアーがおススメ!!

室堂ターミナルと渡り廊下で結ばれた「立山自然保護センター」。立山のエコミュージアムです。

ここでは立山の自然や立山信仰、雪や氷の世界を学べるほか、室堂周辺のフィールド情報を提供してくれます。無料の自然観察ツアーを実施していて、自然解説員のナチュラリストさんと一緒にトレッキングを楽しむことが出来ます。30分のミニ観察コースから2時間の本格コースまであって、高山植物の詳しい解説のほか、ライチョウやオコジョ発見のコツまでいろいろ教えて頂けますよ!!

室堂周辺のトレッキングコースは遊歩道が整備されていてお手軽に歩けますが、アップダウンもあるので、スニーカーやトレッキングシューズなど歩きやすい靴を履いて、温度調節のできる服装でお出かけください。山岳地帯なので、天気の急変にも注意して楽しんでくださいね!!

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/29−2016/07/30 訪問

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