遊郭建築に、日本一のビル!新旧のコントラストがおもしろい!庶民の街〜大阪・阿倍野界隈

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遊郭建築に、日本一のビル!新旧のコントラストがおもしろい!庶民の街〜大阪・阿倍野界隈

遊郭建築に、日本一のビル!新旧のコントラストがおもしろい!庶民の街〜大阪・阿倍野界隈

更新日:2013/10/08 16:41

澤 慎一のプロフィール写真 トラベルjpナビゲーター 澤 慎一 放送局ディレクター

“日本一の高いビル”として話題を集める「あべのハルカス」。大阪・阿倍野地区に新たなランドマークが誕生しましたが、阿倍野の魅力はここだけではありません。平安時代の陰陽師・安倍晴明(あべの・せいめい)の生誕の地を走る路面電車をはじめ、昭和中期にタイムスリップしたようなレトロな商店街や大正時代の遊郭建築、さらに聖徳太子が建てた四天王寺など、昔ながらの風情がたっぷり!そんな庶民の街・阿倍野をご紹介します。

庶民の街にそびえたつ“天空の城”!高さ300メートルの“あべのハルカス”

写真:澤 慎一

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真っ青な空に向かって伸びていく超高層ビル。写真のビルが、大阪阿倍野・天王寺地区の新たなランドマークとして話題を集める“あべのハルカス”。地上60階建て、高さ300メートルは横浜ランドマークタワー(高さ296m)を抜き、日本一!

あべのハルカスは、日本のいにしえの言葉、「晴るかす」から名づけられたもの。
“晴らす”“晴れ晴れとさせる”という意味があり、超高層ビルならではの晴れ晴れとした心地よさを味わっていただきたいという想いが込められています。

低層階に「近鉄百貨店(あべのハルカス近鉄本店)」や「美術館」が入り、中層階にはオフィス、高層階には大阪マリオット都ホテルや展望台が入居し、2014年春に全面開業。このうち、あべのハルカス近鉄本店が入ったタワー館が2013年6月に先行オープン。地下1階には、「全国初」「関西初」の華やかなスイーツが豊富にそろい、たちまち人気スポットに。

さらに、2013年10月には改修中のウイング館のほとんどが開業。タワー館は、2014年春に開業の「あべのハルカス近鉄本店ウイング館」と合わせて国内最大の営業面積となる合計10万平方メートルの売場となり、単独では日本最大級の百貨店が誕生!

44店舗2800席が入る日本最大級のレストラン街をはじめ、世界の一流ブランドやトレンドショップなどを充実。あらゆる性別や年齢層をターゲットとした店づくりは見逃せません!

阿倍野界隈に残る古いアーケードの商店街

写真:澤 慎一

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日本一の高層ビルから歩いて20分ほどの場所に、昔ながらの商店街が広がっています。21世紀の時代から、昭和30〜40年代へと逆戻りしたようなレトロな街並み。この界隈には、「動物園前一番街(飛田本通商店街)」「新開筋商店街」「山王市場商店街」「萩之茶屋商店街」などといったアーケードの古い商店街が並び、不思議なぬくもりのある木造家屋が密集しています。
このあたりは、あいりん地区(釜ヶ崎)と呼ばれる労働者の街。通天閣がそびえる新世界とは雰囲気が異なり、東南アジアを歩いているような錯覚さえ起こります。

写真は、“1円セール”で有名な激安スーパー玉出「阿倍野店」の近くにある雑貨店。この界隈には、「汚れた暖簾がはためく大衆酒場」「安い蕎麦屋」「閑散としたゲームセンター」「全品五十円の自動販売機」「袋小路の行き止まりに鎮座する神社」といった独自の景観があり、道ばたにはリヤカーを引っ張ってきてお弁当を売る女性や、しおれた花を売るお婆さんの姿も。電車が走る高架下ではホルモンを焼く香ばしい匂いが充満し、昼間からお酒を楽しむ人で賑わっています。

最近は高齢化が進み、商店街には人の姿は少なく、シャッターが頑丈にしまったままの店も多く、決して綺麗な場所ではありませんが、なぜか心惹かれてしまう不思議な場所。日本人としての郷愁をそそられます。

風情のあるチンチン電車 沿線には安倍晴明生誕の地も

写真:澤 慎一

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高さ300メートルという巨大な超高層ビルがそびえていると思ったら、そのすぐ真下には、のどかな路面電車が走っています。
写真は、あべのハルカスの真ん前にある天王寺駅前駅を出発する阪堺電気軌道・上町(うえまち)線。地元の人からは「チンチン電車」と呼ばれて親しまれています。阿倍野界隈は、専用の軌道ではなく、道路を走っているため、路面電車がタクシーや一般車などと並走し、昔ながらの大阪風情を感じさせてくれます。

上町線は、あべのハルカス前にある天王寺駅前駅から、住吉大社がある住吉公園駅までを結ぶ4・6キロの路線。
もともとは馬がレール上の客車を引っ張る馬車鉄道が原型というから歴史を感じさせます。天王寺駅前駅を出発した路面電車はやがて国道をそれて、次の阿倍野駅を過ぎ、松虫駅の手前から専用軌道に。住宅のひさしをかすめるように、のろのろと走る路面電車は哀愁が漂い、のんびりとした時間を過ごすことができますよ。

松虫駅から次の東天下茶屋駅には、平安時代の陰陽師、安倍晴明(あべの・せいめい)の生誕の地とされる安倍晴明神社があるので、チンチン電車に乗って訪ねてみるのもいいかもしれません。

また、このチンチン電車を貸し切ることも可能。車内への飲食物の持ち込みは自由なので、移りゆく車窓の景色を眺めながらクリスマスパーティや同窓会を開催するといった使い方もできるので、おもしろいですよ!

■阪堺電車の貸切りに関する問い合わせは、阪堺電気軌道株式会社営業課(TEL 06-6671-3080)まで。

大正時代の遊廓建築を色濃く残す割烹料亭“鯛よし百番”

写真:澤 慎一

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「あべのハルカス」を越え、高層住宅街を抜けたところに窪んだ一帯があり、木造の古い家が建ち並んでいます。ここは通称、飛田新地(とびたしんち)と呼ばれている地区。大正時代に築かれた風情のある和風旅館が並び、昭和初期には200軒以上の妓楼(ぎろう/遊女がいる店)が軒を連ねていたところで、かつて日本最大級の遊郭街と言われました。街を囲んでいた壁の一部や、大門の跡が残っています。

写真は、その飛田新地の一角にある割烹(かっぽう)料亭『鯛(たい)よし百番』。1958年に施行された売春防止法に伴い、料亭に転じましたが、格子戸や橋の欄干をあしらった手すり、ひさしに吊り下げた赤提灯の列など、遊郭建築の面影を色濃く残しています。

建物の内装についても、着物姿の遊女が描かれたふすま、日光東照宮の陽明門を再現したインテリア、京都の三条大橋をイメージした欄干や、中庭にかかる太鼓橋など豪華絢爛なデザインがほどこされ、大正建築のロマンを感じながら「ちゃんこ鍋」や「鯛ちり」「すき焼き」などの料理を楽しむことができます。

『鯛よし百番』の建物は、2000年に国の登録有形文化財に指定。歴史的な街並みや伝統的な建築は評価されながらも、依然として飛田新地は観光地ではなく、『鯛よし百番』以外の遊郭建築にカメラを向けることは厳禁。男女を問わず、冷やかしや見学で訪ねる人は、厳しい目を向けられます。
このため、行きづらいようであれば、タクシーで飛田新地を抜け、お店の前まで行ってもらうのがいいと思います。

永井荷風の小説『濹東綺譚』(ぼくとうきだん)は、娼婦・お雪との出会いと別れを季節の移り変わりとともに哀切に描いた作品ですが、雨に滲んだ飛田新地の提灯の明かりに遊女に想いを寄せた荷風の後ろ姿が見えるようです。こんな街並みは今の日本にはなく、飛田新地は、いつまでも消えて欲しくない風景です。

【鯛よし百番】
■住所:大阪市西成区山王3-5-25
■設計者:不明
■用途:料亭(元妓楼)
■構造・規模:木造2階建て、建築面積291u
■竣工:1918年ごろ(戦後内部改装)

ひっそりとした満月に照らされた四天王寺の西大門

写真:澤 慎一

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あべのハルカスのある阿倍野・天王寺地区には古い寺や石畳の坂道があり、歴史の深さを感じることができます。四天王寺も、そんなお寺の一つ。写真は、月夜の晩に照らされた西大門。神秘的な気配が漂います。

この四天王寺が建てられたのは、今から約1400年以上も前のこと。飛鳥時代の豪族である物部守屋と蘇我馬子が戦った時に、蘇我氏と親戚筋の聖徳太子が“四天王像”を彫り、物部氏との合戦に勝ったなら、四天王をお祀りするお寺を建てると祈願。そして戦いに勝利し、その誓いを果たすために建立されました。

戦いに敗れた物部守屋の子孫の方は今も四天王寺界隈に住んでおられ、毎年4月22日に聖徳太子の命日に行われる「聖霊会 (しょうりょうえ)」の際には、主催者側として参列されています。戦いが終われば味方も敵もないということで、これは仏教の精神や武士道に通じる日本の美徳だと思います。

境内の石舞台で行われる聖霊会では、「舞楽大法要」が催されますが、これは四天王寺で最も重要な法要の一つであり、国の重要無形文化財にも指定されているほど。

四天王寺の見どころとしては、建物を一直線上に並べた「四天王寺式伽藍配置」(してんのうじしきがらんはいち)というもの。南北に「中門」「五重塔」「金堂」「講堂」が一直線上に並び、これを回廊が囲むといったデザイン。飛鳥時代の代表的な建築配置で、日本では最も古い建築様式の一つ。また、五重塔はてっぺんまで登ることができ、爽快な眺めを楽しむことができますよ。

■住所:大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
■拝観料金:境内自由(中心伽藍拝観料300円、宝物館500円、庭園300円)
■問い合わせ:06-6771-0066

おわりに

以上、いかがでしたでしょうか?
個人的に阿倍野界隈は、幼いころに祖母に連れて行ってもらった懐かしい場所。亡き祖母と手をつなぎ、阿倍野から近い天王寺動物園や四天王寺を巡り、飛田新地や天下茶屋界隈も歩いていました。そこは庶民が普通に暮らす街で、観光地ではありませんが、今の日本が失ってしまった懐かしい風景を見ることができます。あべのハルカス以外にも、こんな場所があることを知っていただけたならうれしいです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/09/29−2013/10/29 訪問

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