ようばけ、パレオパラドキシアも!秩父「おがの化石館」で古代にタイムトリップ

ようばけ、パレオパラドキシアも!秩父「おがの化石館」で古代にタイムトリップ

更新日:2016/12/20 17:51

大宮 つるのプロフィール写真 大宮 つる 開運ライター、台湾愛好ライター
山深いイメージのある埼玉県秩父。その昔、秩父が海だったと聞いたら、驚きませんか? なんと約1700万年前、秩父は海でした。その証に秩父盆地には堆積層が残っており、海に棲息していた哺乳類の化石が多数発掘されてきたのです。
これらが平成28年3月「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として国の天然記念物に指定。そこで今回は国の天然記念物“ようばけ”などを間近で見学できる「おがの化石館」を紹介します。

国指定天然記念物“ようばけ”がすぐそば! 「おがの化石館」

国指定天然記念物“ようばけ”がすぐそば! 「おがの化石館」

写真:大宮 つる

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埼玉県秩父郡小鹿野町にある「おがの化石館」。こちらは、小鹿野町で発掘された世界の奇獣“パレオパラドキシア”の化石の骨格模型にはじまり、日本のみならず世界の化石が展示されている町運営の施設です。

パレオパラドキシアの展示といえば、秩父郡長瀞町にある「埼玉県立自然の博物館」に数体展示されており、こちらのほうが広く知られているかもしれません。それと比較すると、「おがの化石館」は展示数1体ではあるのですが……魅力はなんといっても、パレオパラドキシアの化石産出地であるということ。

国指定天然記念物“ようばけ”がすぐそば! 「おがの化石館」

写真:大宮 つる

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また、化石が発掘された般若地内の地層と同じ地層の“ようばけ”という崖がすぐそばにあるというのが最大の魅力です!

※ようばけも、「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」として国の天然記念物に指定されています。右後方に写っているのが、ようばけです。

秩父の般若産パレオパラドキシアがお出迎え!

秩父の般若産パレオパラドキシアがお出迎え!

写真:大宮 つる

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「おがの化石館」の中に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、世界の奇獣“パレオパラドキシア”の骨格模型(複製)です。パレオパラドキシアとは、約1500万年前に日本と北アメリカ西海岸の海辺で生息していた哺乳類。明らかになっていないことが多いため、世界の奇獣と評されています。

秩父の般若産パレオパラドキシアがお出迎え!

写真:大宮 つる

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骨格模型の前に復元イメージのパレオパラドキシアが3体置いてありますが、見た目はちょっとカバのような感じです。

発掘時の状況が再現!

発掘時の状況が再現!

写真:大宮 つる

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パレオパラドキシアの骨格模型のほか、化石発掘時の状況が再現されたものもあります。小鹿野町般若産パレオパラドキシアの化石は、1981(昭和56)年に発見。化石はほぼ完全な骨格で、あお向けの状態で見つかりました。パレオパラドキシアの全身骨格の化石は、秩父市大野原産のもの(1975年出土)とあわせて、世界的に見ても珍しく、大変貴重なものとのこと!

発掘時の状況が再現!

写真:大宮 つる

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なお、1階はパレオパラドキシアをはじめ、小鹿野町で発掘された化石が多数展示されています。「小鹿野町でこんなに多くの化石が発掘されたのか!」「本当に海だったんだ」などといった感慨深いものがあります。2階には、日本や世界の化石が展示されています。

2階から「ようばけ」を眺めよう!

2階から「ようばけ」を眺めよう!

写真:大宮 つる

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国指定天然記念物「古秩父湾堆積層および海棲哺乳類化石群」に含まれている、崖の“ようばけ”。

ところで、「ようばけってどういう意味?」と思ってしまいますよね。“はけ”が崖という意味で、陽のあたる(=よう)様子から、“ようばけ”と呼ばれるようになったそうです。この崖は、この地の基盤である第三紀層が赤平川によって浸食されたもの。秩父町層群奈倉層と呼ばれる地層からなり、約1500万年前の新生代第三紀中新世のものと判明しています。

地層の露出状態は、高さ約100m、幅約400mに及びます。全国的に見ても有数の規模とか。地質学上から見てもとても貴重なものといいますので、「おがの化石館」の2階からぜひとも眺めてみてくださいね。有料の双眼鏡(100円)もあります。

より間近で、ようばけを見ることもできる!

より間近で、ようばけを見ることもできる!

写真:大宮 つる

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「おがの化石館」の2階から眺めることができた“ようばけ”ですが、実は、赤平川の川岸まで行くことができ、より間近で地層を見学することもできます。徒歩5分くらいの距離にあります。

ようばけは、秩父が海だった証。今でこそ信じられませんが、約1700万年前、この場所は海だったのですね。現場に行く際の注意点としては、以前岩石が落ちてきたことがあったそうで、足元・頭上には十分気をつけて足を運ぶようにしてください。

日本の宝「古秩父湾堆積層および海棲哺乳類化石群」を見に行こう!

以上、秩父郡小鹿野町にある「おがの化石館」についてご紹介しました。埼玉の宝がいまや“日本の宝”となった「古秩父湾堆積層および海棲哺乳類化石群」。約1500万年前に古秩父湾は消滅してしまいましたが、秩父が海だった証が今も多く残されています。その証を見つけに、古代散策ツアーをしてみませんか?

最後に「おがの化石館」までの交通アクセスについて。
電車でお越しの場合は、西武秩父駅から小鹿野行のバスに乗車し、「泉田」で下車。徒歩約20分の距離です。車でお越しの場合は、専用の駐車場(無料)があります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/18 訪問

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