写真:陽月 よつか
地図を見る名高い聖地・鞍馬寺は、平安時代より京都北方を守護する寺。そこは源義経の伝説あり、枕草子などの文学に登場歴あり、与謝野鉄幹・晶子夫婦にゆかりあり、京都三大奇祭の火祭りあり、かつて秘祭だったウエサク祭もあり…と、伝説に事欠かない不思議な土地です。それもそのはず、この土地のエネルギーの創始は650万年前、金星からこの地に降り立った魔王・サマトクマラ! 始まりからして宇宙規模に神秘的な土地なのです。
圧倒的なスケールを持つ、人智を超えたパワースポット鞍馬寺。今回はそんな鞍馬寺に伝わるサマトクマラ伝説の数々をご紹介します。
まずは駅に降り立つと目に飛びこんでくる不思議、鞍馬天狗から。実はこの鞍馬天狗も、魔王・サマトクマラの一姿なのです。
一般に鞍馬天狗と言えば、鞍馬山の僧正ガ谷(そうじょうがだに)に住むと伝えられる大天狗のこと。天狗伝承は高尾山や比叡山、愛宕山などさまざまな霊山で語り継がれていますが、ここ鞍馬山の大天狗は全国の天狗のいわば総帥であり、僧正が谷は天狗の総本山と言われています。
そして鞍馬山での天狗とは、山の精霊であり、本来目に見えない宇宙の力を表現した姿とされます。
鞍馬寺は、愛(月の精霊−千手観世音菩薩)・光(太陽の精霊−毘沙門天王)・力(大地の霊王−護法魔王尊)の三身を一体の「尊天」として本尊とする「尊天信仰」。ですので一般的に、力の現れとしての護法魔王尊(サマトクマラ)=天狗とされているのです。
ちなみにサマトクマラ=天狗と言うと、クマラが変化してクラマになったのかな? と考えてしまうところですよね。実際そうとする説もありますが、ここ鞍馬山では、鞍馬山開創時に鑑禎上人を山へ導いたのが鞍を乗せた馬だったことから鞍馬となったと伝えられています。
写真:陽月 よつか
地図を見る鞍馬山には伝説や不思議を残す場所は幾つもあり、どの場所もたいへん神秘的です。まさに山全体が神秘のパワーを持つ土地なのです。それではその山の中心、最もパワーが集中すると言われる場所は? それがこちら、本殿金堂の前庭の石畳。
本殿でなくその前庭がパワーの中心とは、ちょっと不思議に思いますよね。こちらの本殿金堂には、毘沙門天、千手観世音、護法魔王尊(サマトクマラ)の尊天三像が祀られています。(三像とも60年に一度のみ開帳される秘仏なので、厨子の前に「お前立ち」と称される代わりの像が常時安置されています)
そして前庭の石畳ですが、これは金剛床(こんごうしょう)といい、宇宙のエネルギーである尊天の波動が果てしなく広がる星マンダラを模した場所で、「内奥に宇宙の力を蔵する人間が宇宙そのものと一体化する」という鞍馬の教えの理想を表現しています。お堂の三像は尊天の象徴であり、こちらが尊天を感じるための場なのです。金剛床の中心には三角形の重なった美しい星の図が描かれ、パワーが最も集中する場所と言われていますよ。
そしてこの星の図は、サマトクマラの紋章ともされているのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るそして天狗の総本山、鞍馬山奥地の僧正ガ谷も重要なパワースポット。本殿金堂より奥の院参道を通ってたどり着く不動堂とその向かいの義経堂、そしてそれらのお堂を含めた辺り一帯を僧正ガ谷と呼びます。謡曲「鞍馬天狗」の舞台として有名ですが、つまりは謡曲になるほどの天狗伝説があったということ。単なるゆかりの地には留まらない神秘的な場所です。
案内板には、僧正ガ谷は源義経が天狗「僧正坊」から武芸を習った処、とあります。また仮名草子「京童」では「この谷は不動明王示現の地なり」とあり、昔幼い義経がある山伏に剣術を教わった旨が語られた後、「その後終(つひ)に山伏みえず。これ天狗にてありと也」と閉じられます。
その天狗こそ全国の天狗の総帥と語られる、650年前に金星からこの地へ降り立った魔王・サマトクマラの化身とされているのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るそのサマトクマラの降り立ったとされる場所がこちら! 鞍馬山最高の聖地とされる奥の院・魔王殿です。道の遠さ険しさからか鞍馬山を訪れても奥の院までは行かずに帰るという人も多い場所。そして実際に訪れてみると、パワフルとされる聖地の多くがそうであるように、ここも呼ばれた人しかたどり着けない場所なのかもしれないと思えるほどの神聖さが漂います。
その神秘は目にも見える形にもなっており、奥の院から貴船への道々には曲がりくねって生え伸びる木々が見られます。これは木の性質からするとおかしなことで、土地のエネルギーが強いせいではないかと言われています。
また道傍らの水成岩にはサンゴの化石などが見られ、大昔には海であったことが知れますが、人の心根が悪くあるとこの土地は沈んで海に返る…なんて俗説も。
そんな伝説はありますが、こちらの魔王殿は決して怖い場所ではありません。むしろ静かで森閑としており、心地よく過ごすことができる場所です。こちらのベンチで瞑想する人も多いとか。
ちなみに幕に大きく二つ描かれている寺紋は、場所柄もあって天狗の羽団扇のマークだと思う方が多いのですが、実は菊の花の文様。菊の花を正面ではなく横から見た図章なのですよ。
写真:陽月 よつか
地図を見る写真は魔王殿の内部。入ると柵の向こう側に、サマトクマラの降り立ったという磐座(いわくら)を拝することができます。もちろん今も、お祀りしているのはサマトクマラである護法魔王尊。
サマトクマラの伝説はヒンドゥー教の神話を始めとして世界各地にたくさんあり、カールケッティーヤ、スマラ、スカンダ、韋駄天、鳩摩羅天(くまらてん)など、多くの神々と同一視されています。総じて強い力を持つ戦いの神、また暗闇や負の存在を取り除いてくれる賢人とされることの多い存在です。
そしてここ鞍馬山では、通常の人間とは異なる元素から成る身体を持ち、永遠に16歳のまま年をとることのない存在と語られています。
サマトクマラが降臨したと語られるのは650年前。そして現在発見されている最古の人類化石が700万−600万年前であることから、最新の研究ではその頃人類が産まれたのではないかとの説が有力です。サマトクマラは人類の誕生に合わせて地球へ来たのかも…なんて考えてみるのも面白いですね。
鞍馬寺の魔王サマトクマラの伝承、いかがでしたでしょうか? 今回はサマトクマラに直接関わる伝承のみをご紹介しましたが、鞍馬寺にはその他にも伝説・伝承・逸話がたくさん伝わっています。どうぞ不思議受け入れ態勢万全でお出かけ下さいね。その際は山道対策に、どうぞ履き慣れた歩きやすい靴を選ぶのをお忘れなく!
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(2024/4/27更新)
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