「小樽駅」から始まる山線ですが、もし旭川や札幌から列車で移動してきたのなら、鉄道のあり方の変化に感慨を覚えるでしょう。
まず、車両編成が大きく異なります。札幌側においては3〜6両編成なのに対し、山線側は1〜2両編成のワンマン列車です。その車両の少なさは、インパクト抜群。
そして、札幌側が電化区間なのに対し、山線側は非電化区間です。ローカル線でよく見られる気動車の姿に、のんびりとした旅を予感せずにはいられません。
また、運行本数もそれほど多くなく、だいたい1時間に1本程度。札幌側との本数の違いに、「ここからはローカル線なんだなあ」と実感させられます。
小樽駅を出発してから最初の方は、遠くに海が見えたりなど、それほど内陸側でない場所を走ります。列車内には乗客が多く、ちょっと座る席に困るくらいの賑やかさがあります。
観光名所である余市にたどり着くと、車内の様相は一変。ここの駅で乗客はごっそりと降りていくため、座るためのスペースがたくさん生まれます。まさにくつろぎ放題です。
そしてこれ以降、辺りはどんどん人里から離れた風景へと変化。ここからが山線の醍醐味です。
車窓から見えるのはなだらかな山々や田舎の景色で、すぐ目の前を草木が流れていきます。その爽やかな疾走感に、心地よさを感じること間違いなし。
「山線」という呼び名であるものの、その地形は険しいものではなく、圧倒感の類はありません。主に穏やかな地形が続いていきます。
まさに、ローカル線にふさわしい車窓風景です。
さて、JR函館本線の山線において、ぜひ立ち寄っておきたいのが、この「銀山駅」です。
銀山駅は小高い場所に存在し、駅前はなだらかな下り坂となっています。駅からの見晴らしは大変良く、ここは展望スポットとも言えます。目の前に広がるのんびりとした田舎の風景や、遠くで連なる山々は、必見の価値あり。
駅に降りてから次の列車が来るまで、時間はだいたい1〜2時間ほど。なので、銀山駅で降りたのなら、この辺りを散策してみましょう。田舎の散策はまったりとした気分が味わえ、特に都会に住んでいる方にはオススメです。
駅前の下り坂をずっと進んでいくと、道道1022号線に当たります。道に迷うのが怖い方でも、その道ならば気軽に散歩を楽しめます。往復したら残り時間的にもちょうど良く、余裕をもって次の列車を待てるでしょう。
余談ですが、この銀山駅は映画「男はつらいよ 望郷篇」のロケに使われたことがあります。そういった面でも、実に味わい深い駅と言えます。
かつては急行列車や特急列車が走っていた山線ですが、現在そういった高速な列車は「海線」である室蘭本線へと移っています。なので、函館「本線」という名称でありながら、山線はほぼ普通列車しか走らないローカル線といった状態。
例外として、快速列車「ニセコライナー」が1日1往復だけ運行していますが、快速運転をするのは小樽築港駅〜札幌駅の区間のみ。山線の区間は各駅停車なので、また乗車券以外に急行券のような別料金がかかるわけではありませんから、実質的に普通列車(つまり鈍行列車)しか走っていないと言っても間違いないでしょう。
運行本数も少ない状態です。特に倶知安駅から長万部方面はガクンと本数が減ります。
倶知安駅〜蘭越駅の区間はおよそ2〜4時間に1本、1日に7本という運行本数の少なさです。そして、蘭越駅〜長万部駅の区間においてはさらに少なく、およそ3〜7時間に1本、1日に4〜5本という状態です。
そんなわけで、山線を途中下車しながら旅行する場合は、入念に時刻表を調べておいてください。
山線の終着点となるのが「長万部駅」。ここからは、函館本線は海沿いを走っていくことになります。
また、海線である室蘭本線とも繋がっているのがこの駅です。
函館本線と室蘭本線が交わるだけあって、駅のホームはかなり広々としています。山線の各駅の小さなホームを見てきた後なら、その違いに「ここまで来たのか」としんみりとした気分になるでしょう。
ここから函館本線で函館方面へと向かうも良し、室蘭本線で室蘭方面へ向かうも良し。どちらも海沿いを走っていきますので、山線の後に楽しむ鉄道旅としては打ってつけです。
ぜひ、そちらの鉄道路線も楽しんでみてください。
小樽駅〜長万部駅を結ぶJR函館本線の「山線」は、内陸部の穏やかな山間の地帯を進み、のんびりとしたローカル線の旅を楽しめます。車窓から見える田舎の風景や遠くで連なる山々は、旅情たっぷりです。
区間によっては運行本数に難があるものの、ワンマン運転の気動車に揺られる旅は、味わってみないと損です。ぜひ、山線に乗って鉄道旅をしてみてください。
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(2024/4/19更新)
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