“食と農”を学ぼう!茨城県つくば市「食と農の科学館」

“食と農”を学ぼう!茨城県つくば市「食と農の科学館」

更新日:2016/07/18 14:16

茨城県つくば市には約50研究教育機関があります。「JAXA・筑波宇宙センター」や、「つくばエキスポセンター」、「つくば実験植物園」など、宇宙や自然科学に関する10の施設で常設展示がされています。

つくば市の科学館の中で、人が生きていく上で必要不可欠な「食と農」に関する科学館が「食と農の科学館」。ここは、お米の品種開発や、食の安全に対する対応、農機具の発達などを学ぶことが出来る希少な施設です。

「食と農の科学館」は、食に関する全てを学べる科学館!しかも無料!!

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「食と農の科学館」は、「農業・食品産業技術総合開発機構(通称:農研機構)」をはじめ、国立の農業や林業、水産を研究開発組織の研究成果を展示する施設。パネル中心の展示なため少し地味ですが、農業だけにとどまらず、林業から水産、環境から流通まで食に関する全てを展示する充実した内容です。

大型スクリーンでは、研究成果のトピックスを紹介。人工衛星で位置を把握し、農作業や田植えを行う農作業ロボットに、苗を育て田植えをする作業を省き、種を直接水田にまき生産効率を上げる方法などが開発されています。最新の農業技術を見ると農業に対するイメージが変わります。

冷えても美味しいおにぎり用や、米粉、リゾット用など、進化する「お米」

冷えても美味しいおにぎり用や、米粉、リゾット用など、進化する「お米」
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ライフスタイルの多様化により食生活も変化しています。家庭内で作る食事、「外食」、お惣菜やお弁当を家庭で食べる「中食」も増えています。また、「ご飯」だけではなく、「パン」や「パスタ」、「リゾット」など多様化しています。「お米」も食の多様化に合わせ研究開発しています。

「北の瑞穂」は食の多様化に対応した銘柄で、硬くて、粘りが少ないのが特徴。低温に強く、収量が多い長所があり、米粉や生春巻き用のライスペーパー、リゾットなどに最適な銘柄です。このほか、地球温暖化の自然環境に対応し、夏の高温に強い「恋の予感」など、さまざまに進化するお米の新種を見ることができます。

「みずほの輝き」は、「コシヒカリ」に比べ大粒で、艶々としていて、食味も同等以上の評価があるお米です。粒が大きく食べごたえがあり、冷えても美味しいため、おにぎりやお弁当用のお米として期待されています。また、見た目や味覚などの総合評価で「コシヒカリ」を上回るため、上越地域を中心に作付面積を拡大しています。

作物を育てる「土壌」から、栄養バランスに優れた「日本食」など、食に対して再発見!

作物を育てる「土壌」から、栄養バランスに優れた「日本食」など、食に対して再発見!
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食と農の科学館は、お米の新種開発だけではなく、農業や水産業、食品の安全、地球温暖化への適応など、食に関して幅広く研究成果や新技術について展示しています。内容は、農業にとどまらず、森林研究や水産研究、地球温暖化適応策など多岐にわたっています。

特別展示の「土壌コーナー」は、作物を育てるうえで一番大切な土について展示されています。「赤黄色土(せきおうしょくど)」は名前の通り赤黄色の土で西日本から沖縄にかけて分布しています。山地や丘陵地に広がる「褐色森林土(かっしょくしんりんど)」など、「土」に名前があることを知ることができます。

「食品の安全、流通・加工コーナー」では、農場から食卓までの食品の安全への取り組みを展示。「日本食、食品の健康機能性コーナー」では、たんぱく質、糖質、炭水化物など栄養バランスに優れた日本食と、味噌や、醤油、食酢などの発酵調味料や納豆や漬物、塩辛などの発酵食品が日本食のベースとなっていることを気づかせてくれます。

日本に稲作が伝わったのは2500年前の縄文時代後期!農具は今も進化している

日本に稲作が伝わったのは2500年前の縄文時代後期!農具は今も進化している
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日本に稲作が伝わったのは、今から2500年前の縄文時代後期と云われています。稲は食料にもなりますが、縄やムシロ、草履、などにも利用され日本の文化の源です。「農業技術発達資料館」の入り口には農具と共に、ムシロ織器や藁(わら)打器などが展示され、稲が、衣・食・住に深く関係していたことがわかります。

農地を掘り起こす「鍬(くわ)」、地面を掘る「鋤(すき)」に、代掻き(田に水を張った後土を細かく砕く作業)後の土を平らにする「レーキ」など、人力や馬に引かせて使用していたころの農具と当時の作業現場の写真が展示され、農作業の過酷さが見られます。

資料館では、初期の「田植機」や「刈取機」、「脱穀機」から最新の機械も展示され、どの作業がどのように機械化されたかが解る内容になっています。今後はロボットが担うのでしょうか。想像は尽きません。

天皇陛下がお手植えをする稲や、今では姿を消した作物が栽培される「食物見本園」

天皇陛下がお手植えをする稲や、今では姿を消した作物が栽培される「食物見本園」
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科学館の道を挟んだ対面に「作物見本園」があります。見本園では、アワやヒエ、キビなどのように、江戸時代には、盛んに栽培されその後、味や、生産性、経済性から姿を消した作物や、色々な種類の稲が栽培されています。

「イネ見本園」では、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」の他、皇室でお手植えされる、うるち米の「ニホンマサリ」、もち米の「マンゲツモチ」、全身むらさき色の「紫稲」や海外の稲を含め、約40種類の品種が並んでいます。

今ではあまり作らなくなった作物を栽培する「資源作物見本園」では、「ゴマ」が淡い紫の花を咲かせ、漢方薬となる「ほおずき」が袋を大きく膨らませています。この他、ツボミを食用とする「アンティーチョーク」や、香料として利用する「日本ハッカ」が可憐な花を咲かせています。

「食と農の科学館」はスーパーに並ぶまでの、お米や野菜について学べる数少ない科学館

農作業を省力化する無人ロボットや、気象情報から作物の生育状況を予想するシステムなど、農業技術の進歩に驚かされます。また、食生活の多様化に合わせた、お米の開発など、農業も日々進化しています。

つくば市は「宇宙」のイメージが強いのですが、農業・食料に関する研究施設の通称「農研機構」の本部がある街でもあります。普段は、商品として見る「お米」や、「野菜」について知ることは大切です。次の休日にはつくば市を訪れて「食と農」について学んでみませんか。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/10 訪問

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