写真:鷹野 圭
地図を見る雑音のないのどかな農風景は、心に安らぎをもたらします。また、雑木林に足を踏み込めば美しい山野草や昆虫、小動物が姿を見せてくれます。実は今、日本で絶滅危惧種とされている生きものたちの実に5割近くが里山環境に依存していると言われています。言い換えるならば植物であれ動物であれ、日本の野生の生きものたちは長らく里山を舞台に人と共に歩み続けてきた……ということですね。
ここ寺家ふるさと村は、横浜市でも指折りの広い田畑を有する谷戸空間。こんもりと葉を茂らせた雑木林の丘の谷間に、地平線が見えそうなほどの広大な田んぼが広がります。横浜市でありながら、そこには都会の喧騒など微塵もありません。のんびりと散策するもよし、風景を写真に撮ったりスケッチするのもよし。一時、煩わしいことや時間が過ぎることを忘れて、里山ならではのホッとする空気をご堪能ください。
写真:鷹野 圭
地図を見る写真は水車小屋。里山風の公園ではおなじみのモニュメントですね。雑木林と田園が主体の寺家ふるさと村では、数少ない建物と言えます。ちょうど敷地の中央付近に位置しており、ここから林道や池など様々なポイントに足を運べますので、散策の拠点として利用するといいでしょう。すぐ目の前にはヒマワリやコスモスなど季節の花が楽しめる花壇もあります。風車とセットでスケッチ……なんていうのも乙な楽しみ方です。
写真:鷹野 圭
地図を見る寺家ふるさと村の雑木林では適宜間伐を行い、ここでの間伐材を燃料などに利用しています。実はこれが植物にとって大変重要! 適度に木を伐り枝を落とすことで林床に光が差し込み、雑木林には数多の山野草が生えてきます。春夏秋冬、季節ごとの山野草が花を咲かせ、中には珍しい品種(キンランなど)もちらほらと見られます。
写真はヤマホトトギス。そり返った花弁はフラダンサーの腰みののようで、上から見ると時計か何かのようにも見える不思議な形状をした花が特徴です。主に真夏から秋にかけて花を咲かせ、ここでは割と普通に林床で見かけます。ほか、真夏であれば大輪の花を咲かせるヤマユリなども見所ですね。
また、田んぼの縁や畦道などもチェックしておきたいポイント。林床と違って日なたを好む植物が多く、真夏〜秋には主にオミナエシやヒヨドリバナなどが花を咲かせます。時には、現在数が激減しているとも言われるフジバカマが見られることも! これらの花は昆虫が非常に好む傾向があり、満開期には数多くのチョウが蜜を求めてやってきます。特にヒヨドリバナとフジバカマは、“渡り”をすることで有名なあのアサギマダラが好む花。ひょっとすると出合うチャンスがあるかもしれませんよ?
写真:鷹野 圭
地図を見る畔の草むらにはバッタ、小川にはトンボ、田んぼにはカエル、そして樹上には木の実を求める野鳥……日本の里山はまさに数多の生きものにとって理想郷となり得る空間です。寺家ふるさと村ではこの他に複数の池を有し、カモやサギなどの水鳥が飛来します。
写真は、一生のほとんどを水上で過ごすことで有名なカイツブリ。なんと池の一角で営巣しており、卵の殻らしきものも見られます。この鳥自体は関東圏の自然公園では決して珍しいものではありませんが、営巣となると話は別。ヒナに与える分のエサを確保できる、健全な生態系が維持されているからこそと言えるでしょう。
このほかに寺家のよい環境を象徴する生きものとして、水辺と森の両環境が健全に保たれていないと生息できないニホンアカガエル、小鳥や小動物などを捕らえて食べる猛禽類のオオタカなどが挙げられます。真夏から初夏、とりわけ緑の濃くなるシーズンには、ひょっとすると一層嬉しい“出合い”があるかもしれませんね。
ただし、熱中症とマムシにだけはくれぐれも要注意! 特に田んぼ周辺は日陰が少ないので、帽子や飲み物などはしっかり携帯するようにしましょう。
写真:鷹野 圭
地図を見る寺家ふるさと村のビジターセンター「四季の家」は、和風レストラン「寺家乃鰻寮(じけのまんりょう)」と隣接するスポット。情報収集はもちろんのこと、昼食や一休みにはピッタリです。おススメは、やはり店名にもあるウナギ料理と、日本蕎麦。写真の鴨せいろを始めとして温・冷と多彩な蕎麦をお楽しみいただけます。窓の外には、深い森林の下に広がる田園地帯が……。純日本風の建屋の中で、のどかな雰囲気に包まれながらお食事を楽しめることでしょう。
ほか、地図や季節の動植物情報などは「四季の家」で入手できます。広い里山だけに迷いやすいので、初訪問時には必ずここを訪れるようにしましょう! その他、観察会や蕎麦打ち教室など、里山を活かしたイベントも随時開催していますので、興味のある方はWebサイトを要チェックです。
体験温室やゴルフコース、テニスコートなどの施設も有する寺家ふるさと村ですが、中心となるのはやはり谷戸の田園風景です。とは言え、ただ俯瞰的に田んぼを眺めているだけでは飽きてしまうもの。そんな時は畦道や水路、そして田んぼに隣接した草原などをチェックしてみましょう。上記の通り、里山は生きものの宝庫。昆虫やカエルなどがそこかしこに住みついており、その都度調べてみると場所によって違った面白さがあります。
晩春〜秋にかけては、やはり雑木林の山野草も魅力。かつての武蔵野に自生していた野の草花が迎えてくれることでしょう。ほか、早春の新緑やウメの花、晩秋の紅葉、真冬期のバードウォッチングなど季節ごとの魅力も盛りだくさんです。在りし日の田舎風景につつまれながら、日本ならではの四季をご堪能ください。
【アクセス(四季の家)】
小田急線「柿生駅」よりバス乗車、バス停「早野」下車徒歩15分、またはバス停「四季の家」下車預保1分 ほか
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(2024/4/18更新)
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