幻想的で勇壮な火の祭典!京都洛北に伝わる「広河原の松上げ」

幻想的で勇壮な火の祭典!京都洛北に伝わる「広河原の松上げ」

更新日:2016/07/09 17:00

毎年8月24日夜に京都で行われる「広河原の松上げ」は、洛北の山村に伝わる古い行事。400年以上前から受け継がれている愛宕信仰に基づく、地域の伝統行事の火の祭典です。「松場」と呼ばれる広場に差し込んだ「地松」と呼ばれる約千本の松明に点火した後で、高さ約20メートル の「燈籠木」と呼ばれる大傘へ、「放り上げ松」と呼ばれる松明を投げ上げ火をつける、幻想的で勇壮なお祭りです。

松上げの行われる広河原

松上げの行われる広河原
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京都市左京区広河原は、京阪本線終点の出町柳から京都バスに乗って約2時間ほどの場所にあります。京都市内を北方向に抜けて、山間部に入り、源義経が潜んだ鞍馬寺、8月15日に松上げが行われる花背を通り過ぎて、さらに北方向に進んだ場所にあります。広河原からさらに北に進むと、昔はスキー場もあった佐々里峠があります、その先には、古いかやぶきの住居が多数現存することで知られている京都府美山町が広がっています。

松上げは、左京区下之町の府道38号京都広河原美山線下の町バス停付近、上桂川左岸と早稲谷川の合流地点の河原で行われます。この場所へ来ると「松上げ」の日のために準備された「枠」と呼ばれる土台と、大きなヒノキが横たわっているのを見ることができます。

灯る1200本の松明

灯る1200本の松明
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松上げは、「燈籠木」「地松」「放り上げ松」という3種類の松明によって構成されています。「燈籠木」(大松明)に向かって火が投げ入れられる前、「地松」が約1200〜1300体ほど立てられている「松場」と呼ばれる広場で20時ころから、すべての「地松」に火が灯されます。これから始まる「松上げ」の序章ですが、炎の幻想的な雰囲気が演出されます。

松上げ風景

松上げ風景
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「松場」の中央には高さ20mのヒノキを立て、その先端に直径約3mの三角錐の大笠がとりつけられた「燈籠木」が立てられています。「地松」への点火と「地松」への点火が終わり、鉦と太鼓の音が聞こえ始めるのが21時前頃。この時間から、「松場」と呼ばれる広場から約40名もの男たちが手にした「放り上げ松」(松明)を、「燈籠木」の先端に取り付けられた大傘に向かって一斉に投げ上げる、壮大な火の祭りが始まります。始めの一つが入ったときには大きな歓声と拍手が起こり、その後うまく入るたびに拍手が送られます。

漆黒の闇の中、火の灯された「地松」とともにあたりはより一層幻想的な風景となります。

引き倒された大松明

引き倒された大松明
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幻想的な炎の祭は、投げ込みの開始から約30分ほどで真っ赤に燃え盛った「燈籠木」が引き倒されて、そろそろ終了です。広河原の松上げでは、「燈籠木」が倒されてから燃え上がる炎の中に丸太を突き刺し(これは「ツッコミ」と称されます)、火の粉を夜空に舞い上げ、勇壮な雰囲気で終了します。(終了時間は21時過ぎ)

ヤッサ踊・ヤッサコサイ

ヤッサ踊・ヤッサコサイ
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松上げが終わると、「松場」に近い会所では地元の女性たちが、木製の床上に下駄でリズムを取りながら「やっさ踊り」(京都無形文化財指定)を踊ります。広河原に残るヤッサ踊・ヤッサコサイは、古い盆踊りの形態を今に伝える貴重な文化遺産です。「松上げ」を終えた男たちも加わり、老いも若きも男女が一緒になってヤッサコサイを踊ります。

愛宕神社信仰の松上げ行事

「松上げ」は、火の守護神として知られる愛宕神社信仰の祈りが込められた行事です。
愛宕神社は、京都市右京区の愛宕山(標高924m)山頂に鎮座する神社ですが、明智光秀が連歌の会(愛宕百韻)で、詠んだ歌「時は今 あめが下しる 五月哉」で知られている場所。そんな、愛宕神社の周囲では各地で「松上げ」が行われています。今回ご紹介した広河原の松上げとあわせて、ぜひ見に行ってみてください。
8月15日:花背の松上げ(京都市左京区花背八桝町)
8月24日:雲ケ畑松上げ(京都市北区雲ケ畑)
8月24日:久多の松上げ(京都市左京区久多)

広河原の松上げには、京都バスが、京阪電鉄・出町柳駅を17時ころ出発して、23時過ぎに戻って来る臨時便を出しています、行かれる際には確認してみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/08/16−2015/08/24 訪問

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