復興の槌音こだまする南三陸・気仙沼を旅する〜JR気仙沼線(BRT)乗り撮り歩き

復興の槌音こだまする南三陸・気仙沼を旅する〜JR気仙沼線(BRT)乗り撮り歩き

更新日:2013/10/02 12:49

もんTのプロフィール写真 もんT チューター、フリーライター
震災で大きく傷ついた三陸海岸…。北三陸はドラマ「あまちゃん」で一躍脚光を浴びていますが、南三陸も負けてはいません!復興へとたくましく動き出した南三陸・気仙沼を、BRTという新システムで走り出したJR気仙沼線に乗って旅します。

鉄路は寸断されても…

鉄路は寸断されても…

写真:もんT

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JR気仙沼線は、宮城県の石巻市にある前谷地駅から、南三陸町を経て気仙沼駅に至る全長72.8キロのローカル線です。
特に南三陸町の志津川駅から気仙沼駅までの区間は、リアス式海岸に沿った海あり山ありの美しいパノラマが楽しめる路線でしたが、東日本大震災で沿線の市町村と共に壊滅的な被害を受けました。

鉄路の完全復旧がすぐには見込めない中で、気仙沼線は2012年8月よりBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)という方式によって仮復旧を果たしました。
これにより、鉄道よりも時間は要しますが、公共交通を利用しての人の往来はかなりスムーズになりました。

このユニークなシステム、これほど大規模に導入されるのは日本初の試みなので、バスファンならずとも一見の価値があります。

気仙沼線の始発駅前谷地から柳津駅までの17.5キロは線路が健在です。1両編成の気動車に乗ると20分ちょっとで列車の旅は終わります。
写真は柳津駅です。この先、レールは途切れています…。
柳津駅からはBRTに乗り換えて北上し、南三陸町、そして気仙沼市を目指します。

○乗車券
  前谷地→柳津  ¥320
  柳津→気仙沼 ¥1110

ちなみにバスではあっても、「JR気仙沼線」という扱いなので「青春18きっぷ」などの鉄道フリーパスは利用可能です。

かつての路盤をバスが行く!

かつての路盤をバスが行く!

写真:もんT

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真新しいバスは、しばらくは一般の道路を走ります。このままだと普通の路線バスと何ら変わりません。
ユニークなのは途中から!
バスが国道から離れて、かつて線路が敷かれていた路盤の上を、渋滞する国道を尻目に軽快に走っていきます。

写真から分かるように、路盤が線路の代わりにアスファルト舗装になっているものの、トンネルなどはかつての鉄道施設をほぼそのまま利用しています。
つまりバス専用道路に転用することで、鉄道に近い高速輸送を図ろうとしているのです。

気仙沼線は単線であったため、バスのすれ違いは“駅”やトンネル手前の行き違いスペースで行ないます。ダイヤどおりに“交換待ち”をするところも、まるで鉄道のようです。

路盤や橋そのものが破壊されてしまった区間では一般道に下りて走るのですが、“専用軌道”は順次、復旧拡大中です。

甚大な被害を受けた南三陸町など、まだまだ震災の悲しい爪あとが消えませんが、かつての気仙沼線の穏やかで美しい車窓風景は少しずつよみがえりつつあります。
右手に海を見ながら、南三陸のリアス式海岸の山谷を縫うようにバスは北上していきます。

気仙沼で三陸の海の幸を!

気仙沼で三陸の海の幸を!

写真:もんT

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気仙沼の市街に入るとやがて、バスはJR気仙沼駅前広場に到着し、BRTの旅は終了です。
ここでは階段の上り下りなしでJR大船渡線に乗り換えられます。
一ノ関方面へと向かう大船渡線(上り)は駅舎の改札を抜けて列車に乗り換えです。震災前と同様の本数で列車が運行されています。
しかし、三陸沿岸へと向かう大船渡線(下り)は気仙沼線と同様、BRTへの乗り換えとなります。
BRTについてはどちらも乗り場が駅前広場なので、帰りも気仙沼線BRTを利用する場合は、行き先を間違えないように気をつけましょう。

日本有数の漁港でもある気仙沼では、ぜひおいしい海の幸を味わいたいものです。
気仙沼駅前には観光案内所があるので、ここで観光マップを入手しましょう。おいしいお鮨屋さんの情報も得られます。
もちろん宿泊施設や各種イベントの情報もすべてここで手に入ります!

○ 気仙沼観光コンベンション協会・駅前案内所
   営業時間/9:00〜17:15
   休業日/12月30日〜1月2日


もっと手軽にご当地グルメを…ということであれば、駅前の「大衆食堂ますや」の「気仙沼ラーメン」はいかがでしょう?秋刀魚のつみれが入ったあっさり醤油味のご当地ラーメンです。

○ 大衆食堂ますや
   気仙沼ラーメン ¥680 など

気仙沼に元気を!

気仙沼に元気を!

写真:もんT

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観光案内所ではレンタサイクルも貸し出ししています。

○ レンタサイクル
    貸出時間:9:00〜15:00(返却17:00まで)
    料金 1日/500円(電動アシスト付は 1日/700円)

また市内の観光ポイントをまわる観光巡回バスも土・休日には運行されています。

これらをうまく利用すると、環境にやさしい方法で気仙沼の今を効率よく見て周れるでしょう。


大津波で鹿折唐桑駅前に打ち上げられた大型漁船「第18共徳丸」の解体作業もようやく始まりました。
まだまだ復興途上ですが、だからこそ復興へ向かう活力をここでは体感することができます。
復興を加速させる被災地を旅して、これからもいろいろな形で応援していきたいものです。
そして同時に私たちも元気をもらいましょう!

まとめとして

ボランティア、防災教育、観光、グルメ、ビジネス、…。
目的は何であれ、今の南三陸・気仙沼の旅は意味深い旅となることでしょう。
BRTというユニークな交通システムも走り出しました。公共の交通機関利用でも充実した旅ができます!
三陸の“今”と“これから”を、ぜひこの目で見に行きましょう!

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/09/06 訪問

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