写真:小林 理沙
地図を見るこちらは建物の2階(写真右隅)に黄色いローブをまとった黒い聖母の像があることから「黒い聖母の家」と呼ばれている建物です。キュビズム様式の初めての建物としてヨゼフ・ゴチャールによって、1911年から1912年にかけて建築されました。歴史的な地区の景観を壊さないようにという要望のもとデパートとして建てられました。ダイナミックな線使いが特徴の一つですが、プラハらしい赤レンガ色の屋根に同色系の壁で風景に溶け込んでいます。
写真:小林 理沙
地図を見るキュビズムはパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創られた20世紀初頭にヨーロッパで起こった美術運動です。様々な角度から見た一つのものを平面に描いた前衛的な芸術でしたが、チェコのキュビズムは絵画の世界に収まらず、建築や家具や雑貨のデザインにまで応用されました。チェコのキュビズムアーティストとして最もよく知られているのが、この「黒い聖母の家」の建築家ヨゼフ・ゴチャールです。
華麗な装飾が施されたアール・ヌーヴォーや、洗練された幾何学模様のアール・デコの建物が多く建ち並ぶプラハでは、多少華やかさに欠けるキュビズムの建築物ですが、中に入ってみると、他のどんな建築物にも負けないほど面白いんです!
「黒い聖母の家」も見れば見るほど細部まで凝っているのがわかります。手すりも幾何学的造形の白い金属で装飾されていて、建設されてから100年以上も経つというのに斬新な美しさを見せてくれます。
写真:小林 理沙
地図を見る建物の2階には白と緑のコントラストが爽やかな印象を与えるカフェがあります。外に面したバルコニー席は花が飾られ和やかな雰囲気です。このカフェのロゴやキャンドルスタンドなどもキュビズムのデザインに徹底されています。壁にいくつも並べて打ち付けられた個性的なハンガーも、「黒い聖母の家」を設計した建築士ヨゼフ・ゴチャールのデザインです。
さすがに、メニューまではキュビズムの影響は見つかりませんが、軽食やケーキをおしゃれなキュビズム空間で美味しくいただけます。お手軽価格もうれしい美味しさ。Tシャツなどのグッズ販売もされています。また、食事やティータイムがさらに素敵になるようなピアノの生演奏も時折あります。
キュビズムの建築や雑貨が現在も使われているのを体感できるのは稀に見るチャンスです!
写真:小林 理沙
地図を見る「黒い聖母の家」の上階にはキュビズム美術館があります。20世紀初頭にチェコのキュビズム派のアーティストがデザインした家具やポスターなどが展示されています。
写真はヨゼフ・ゴチャールが俳優のために設計した家具です。現代でも個性的な照明、ソファーや机などの家具は20世紀初頭においては大変斬新なデザインだったことが伺えます。それでもシックな色合いのせいか、奇抜になりすぎないデザインになっています。
美術館にはヨゼフ・ゴチャールのほか、ニューヨーク近代美術館(MoMA)にも作品が展示されるパヴェル・ヤナーックを始めとするチェコのキュビズムを代表とするアーティストの作品が見られます。アンティークの家具屋さんを覗く感覚の美術館です。
写真:小林 理沙
地図を見る「キュビズム美術館」の入場券は1階で販売されています。入場券売り場に隣接して「キュビスタ」という雑貨屋さんがあります。「黒い聖母の家」見学で、キュビズム芸術に魅了された方は、チェコのデザインにしかないキュビズムの雑貨、小物類をお土産に持ち帰ってはいかがでしょうか。一見それほど目立たないけれど、よく見ると特別なデザインは古風な家にも、モダンな家にも馴染みます。また、お店では、キュビズムの建築物が記載された本やポストカードも販売されています。
一部の建築やアートファンの間では知られている「黒い聖母の家」ですが、まだまだ穴場スポットです。高い人気の観光都市のプラハですが、「黒い聖母の家」観光客がどっと押し寄せるところでなく、比較的落ち着いた雰囲気を味わうことができます。
プラハには他にもキュビズム建築の建物がありますが、建物のほぼ全部を見学できるのはここだけです。是非、プラハで「黒い聖母の家」を存分に味わってください。
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(2024/3/29更新)
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