信州・志賀高原で神秘の輝きを見せる大沼池を目指す充実トレッキング

信州・志賀高原で神秘の輝きを見せる大沼池を目指す充実トレッキング

更新日:2016/07/08 11:39

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
上信越国立公園の中心部を占める志賀高原は自然の宝庫であり、ユネスコエコパークに登録されています。その豊かな自然を満喫するならトレッキングがオススメです。数あるトレッキングルートの中でいちばん人気なのがコース全長10Kmを半日かけて歩く「四十八池・大沼池コース」です。原生林を歩き、渋池や四十八池を巡りながら、赤い鳥居が湖面に浮かぶ神秘的な大沼池を目指します。大蛇伝説の舞台をめぐる人気ルートですよ。

バスの起点「蓮池」にある志賀高原観光協会で情報収集

バスの起点「蓮池」にある志賀高原観光協会で情報収集

写真:和山 光一

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まずは蓮池前の志賀高原観光協会でハイキングコースの地図を取得しましょう。リフト割引サービス券等が付いていて役に立ちます。「池めぐりハイキングコース」は硯川と大沼池入口双方からスタートできますが、バスの利便性と全体的に下りが多い硯川から入ることをおすすめします。

蓮池バス停を出発し、前山サマーリフトに乗るため硯川バス停で下車します。前山サマーリフトに乗れば4分の空中散歩(歩くと20分)で一気に1800mの前山に到着します。今回のコースは距離10Km、所要時間4時間半のコースですが、疲労は極力避けるべきですし、片道400円で緑の中の空中散歩は気持ちがよく、高原に来たことを実感します。前山山頂からは笠ヶ岳や横手山がよく見え、ここから緩い上り坂で標高1900mを目指しましょう。

池めぐりコース最初の池「渋池」

池めぐりコース最初の池「渋池」

写真:和山 光一

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しばらく(5分程度)歩くと「渋池」に到着します。コースで最初に見られる池で、高層湿原にある渋池にはいくつもの浮島が漂い、幻想的な雰囲気を作り出しています。池面後には横手山がその影を落としていて、池の周囲には氷河期の名残りといわれるハイマツが多く生息しています。

今歩いている道は、かつて江戸・明治期に商人らが物資を運んだ交易の道だったといいます。信州のリンゴや竹細工、米を求め、群馬県・草津から山を越え長野県・志賀高原に入った草津商人たちはこの渋池でしばしの休息をとっていたのではと想いを巡らしてみましょう。ここから市街へは下り坂が続き、渋温泉も近いことから、渋温泉へのあこがれから渋池という名がついたのではという説もあります。

標高1800M「四十八池」水辺の林道

標高1800M「四十八池」水辺の林道

写真:和山 光一

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渋池から緑の深い小径を歩いて20分程で分岐点に出ます。左に行くと志賀山、裏志賀山を登るコースですが、池めぐりがメインなので右に行くコースを選択して「四十八池湿原」を目指します。25分程で森が突然開け、高層湿原が目の前に現われます。ここの東屋で少し休憩をとるのもいいですよ。因みに標高2035mの志賀山、裏志賀山を縦走し志賀山登山口での合流まで1時間半の行程です。

池塘が段々畑のように階段状に点在し、その間をくねくねと曲がる木道が設けられていて、たくさんの湿原植物を見ながら歩いていくことができます。湿原の中に深さ30〜70cmほどの大小さまざまな池塘が70ほど点在することから四十八池の名がついたといいます。高山植物が咲き乱れる幻想的な雰囲気は、神々の踊り場とも呼ばれています。

大蛇伝説の池「大沼池」をめざし歩く

大蛇伝説の池「大沼池」をめざし歩く

写真:和山 光一

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志賀山登山口で登山コースと合流し、丸太を横にしいて歩きやすくした700段の階段をくだります。50分程のアップダウンのあと、やがて木々の間から青色とも水色とも表現できる「大沼池」が見えてきます。火山のせき止め湖で、周囲5.5Km、志賀高原最大の湖です。強酸性湖の為、魚は生息していませんが、天候により湖面がコバルトブルーやエメラルドグリーンに色を変える神秘的な美しい湖です。

大沼池には大蛇伝説が残り、黒姫の悲恋の物語が今も語り継がれています。また志賀高原では古くから大蛇伝説にちなんで毎年8月下旬3日間に渡って「大蛇祭り」が行われています。大蛇伝説とは、現在長野県中野市に城を構えていた戦国武将・高梨政盛の美しい娘、黒姫に出会い恋に落ちた大沼池の大蛇が、殿様に騙され殺されかけます。怒った大蛇は暴風雨で村に大洪水をおこしたのですが、悲しんだ黒姫は大沼池に身を投じ、大蛇を鎮めたのだという悲話なのです。

湖畔にはあちこちにベンチがあり、お弁当を広げるのに持ってこいの場所です。

コバルトブルーの湖面に浮かぶ赤い鳥居が神秘的

コバルトブルーの湖面に浮かぶ赤い鳥居が神秘的

写真:和山 光一

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大沼池を横目に見ながら池尻をめざします。青空の下、静かに横たわる大沼池を眺めると、空の青と水の青、同じ青であってもそれぞれの色があることを知ります。ただ美しいだけでなく、深みを帯びた引き込まれるような青がそこにあり、遠くに見える赤い鳥居がひと際神秘的に感じられます。

池尻からは一本道である大沼林道を、木々を渡って行く涼やかな風を感じながら軽い下りを歩いて行きます。終点間際の清水公園までいくと「志賀の源水」と呼ばれる冷たい清水が湧き出ています。あちこちからわき水のあることから清水という地名がつけられていて、ベンチとテーブルがあるだけの小さな公園ですが、大沼池からここまで1時間半の散策の疲れを癒してくれますよ。あとは大沼池入口バス停から車の置いてある蓮池までもどることになります。

世界が認めた大自然ユネスコエコパーク「志賀高原」

志賀高原は志賀山と裏志賀山を核にした高原で広さは1万ヘクタールを超え、19あるトレッキングルートは標高1500Mから1900Mの溶岩台地に網の目のように張りめぐらされていて、初級者から上級者まで楽しめる様々な様々なコースが整備されています。

数あるコースのうち、今回ご紹介した「四十八池・大沼池コース」以外におすすめなのが、手つかずの原生林、湖沼、湿原、可憐な高山植物を眺める蓮池から信州大学自然植物園をめぐり、田ノ原湿原、木戸池へと抜ける全長4・1Km「自然探勝コース」と、上林からサンバレーまでの旧草津街道沿いを歩いて古の時代にタイムトリップできる全長5・6Km「志賀古道 峠の三十三観音コース」です。

志賀高原は1000mを超える標高に位置していて、コースによっては2000mを超える場合もあります。急な天候の変化に備え、十分な装備、服装を心がけてください。森林に入る時は、気候にあった服装はもちろんのこと、安全のために長袖、長ズボン、帽子、履きなれた靴でお出かけ下さい。

標高1700mの亜高山帯に常緑樹林が分布し、亜高山性高層湿原が広がるユネスコエコパーク「志賀高原」をゆっくり歩いてみてはいかがです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/20 訪問

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