世界遺産登録!東京上野の「国立西洋美術館」にはルーベンス、モネなど西洋美術の歴史を辿る作品が一堂に!

世界遺産登録!東京上野の「国立西洋美術館」にはルーベンス、モネなど西洋美術の歴史を辿る作品が一堂に!

更新日:2016/12/15 09:37

2016年に建物が世界遺産に登録された国立西洋美術館は、企画展だけでなく常設展(コレクション展)も充実しています。日本で見られる西洋美術の作品が多く19世紀以降が中心なのに対し、ここでは中世末期〜近代と広い時代の作品を収集。海外や大きな展覧会でしか見れないと思っていたあの芸術家の作品をいつでも見られる!西洋美術史を実物で辿れる、国立西洋美術館(以下「西洋美術館」)の魅力をご紹介しましょう。

前庭にはロダンなどの彫刻作品

前庭にはロダンなどの彫刻作品

提供元:国立西洋美術館 ©上野則宏

http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html地図を見る

建物の中に入る前に、まずは前庭を楽しみましょう。ル・コルビュジエ設計の建物を背景にしたこちらは、フランス19世紀の彫刻家オーギュスト・ロダン作《カレーの市民》。他にも《地獄の門》《考える人》などロダンの有名な作品を中心に、ブロンズ彫刻をご覧いただけます。近くから、遠くから、様々な角度から見てみましょう。
このエリアは、開館時間中であれば、誰でも無料で入ることができるので、上野に行ったら気軽に訪れてみましょう。

写真)オーギュスト・ロダン《カレーの市民》1884-88年(原型)、1953年(鋳造)、国立西洋美術館所蔵、松方コレクション(転載不可)

中世ヨーロッパの祭壇画

中世ヨーロッパの祭壇画
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では、常設展示室のコレクションをご覧いただきましょう。こちらは、16世紀のフランドル地域(現在のベルギー)の画家クレーフェの作品です。独特な形状は、三連祭壇画と呼ばれる形式。左右の画面は扉になっていて閉じることができる構造です。「祭壇画」という言葉から想像がつくように、本来は教会または個人の礼拝堂のために作られたと考えられています。日本ではなかなか見る機会の少ない、貴重な1枚です。

作品の中央の場面はキリスト磔刑図。左右の「扉」の場面で膝をついて祈りを捧げている男女は寄進者です。細部にも注目してみましょう。精緻な風景や個性を感じる人物の顔立ち。描かれたのが500年前とは思えないほど鮮やかな色彩も魅力です。

写真)ヨース・ファン・クレーフェ《三連祭壇画:キリスト磔刑》16世紀前半、国立西洋美術館所蔵(転載不可)

17世紀の巨匠ルーベンスの作品も!

17世紀の巨匠ルーベンスの作品も!
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こちらは、17世紀フランドルの巨匠ルーベンスが描いた習作です。親しくしていた兄の子供たちを描いたとされています。だからでしょうか、子供たちへの画家の素直な愛情を感じられるようです。幼い子供たちの表情やふくよかな頬、肌の色合いなどの魅力を楽しみましょう。

他にも、エル・グレコ、ヴァン・ダイク、ブリューゲル一族、ティントレット、フラゴナールなど、西洋前近代の有名な画家たちの作品を数多くご覧いただけます。
※常に展示されているわけではありません。目当ての作品がある場合は、記事最後の「メモ」にある西洋美術館のサイトから、現在展示してある作品を確認してから出かけましょう。

写真)ぺーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子供》1612-13年頃、国立西洋美術館所蔵(転載不可)

モネのライフワーク「睡蓮」シリーズの1枚が東京でいつでも見られる!

モネのライフワーク「睡蓮」シリーズの1枚が東京でいつでも見られる!
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西洋美術館は勿論近代以降の作品も充実しています。こちらは中でも人気の、印象派の巨匠クロード・モネの《睡蓮》。画家の晩年の1916年、70代半ばで描かれたものです。水に浮かぶ睡蓮の花や葉、水面の反射や水の中の藻まで。幻想的な光景に魅了されます。縦横約2mの大画面なので、睡蓮の浮かぶ池を覗き込んでいるつもりになってみましょう。

「睡蓮」のシリーズといえば、モネの代表作。40代半ばでパリ郊外のセーヌ川にほど近いジヴェルニーに身を落ち着けて以来、生涯に渡って取り組んだテーマです。こちらは、西洋美術館の母体となったコレクションを築いた松方幸次郎が、ジヴェルニーの画家を訪ねて直接買い取ったものです。

戦前、造船業によって一代で富を成した松方幸次郎。まだ美術館さえなかった当時の日本の若い画家たちのために、本物の西洋美術を見せたいと願い、ヨーロッパで美術品収集のために莫大な財産を費やしました。松方はとりわけモネとは親しく、高級ブランデーを手土産にジヴェルニーを訪れ、アトリエにあった18点もの作品を纏めて買い取ったとも伝えられます。現在西洋美術館が所蔵するモネの作品は15点。その内11点が松方コレクションに由来する物です。

残念ながらその後の不況と続く第二次世界大戦によって、「美術館を作る」という松方の悲願は果たせず、コレクションの多くは散逸してしまいました。しかし、戦後フランスに残っていた作品の一部が、「寄贈」という形でフランス政府から日本へ返還。この「松方コレクション」が、今の国立西洋美術館の所蔵作品の基礎となったのです。

写真)クロード・モネ《睡蓮》1916年、国立西洋美術館所蔵、松方コレクション(転載不可)

お気に入りの1枚を見つけよう

お気に入りの1枚を見つけよう

提供元:国立西洋美術館

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今回取り上げてご紹介したもの以外にも、西洋美術の巨匠の作品を多数見ることができる西洋美術館。誰もが知る巨匠以外にも、名前を知らない画家でもお気に入りの1枚が見つかるかもしれません。

期間が決まっている企画展覧会では、何回も足を運ぶことは難しい。しかし、常設展なら「あれを見たい」と思った時に、何度でも見に行けることが魅力です。また、年に数点ずつ、新しい収蔵作品も増えているので、それをチェックするのも楽しみの一つとなりそうです。
※前述の通り、所蔵品の全てが常に展示されているわけではありません。

写真)国立西洋美術館常設展示室(転載不可)

上野の「国立西洋美術館」で西洋美術の歴史に親しもう

以上、東京・上野の「国立西洋美術館」のコレクション(常設展)のご紹介でした。今回は日本ではなかなか見ることができない「古い」時代の美術作品を中心に取り上げましたが、19〜20世紀の美術作品も数多く所蔵しています。モネ以外にもマネ、ルノワール、ピカソ、ゴッホなどの素晴らしい作品があるので、そちらのチェックもお忘れなく。
特別展に行った場合は、チケットの半券で常設展にも入場できるので、展覧会のついでに足を運ぶのもお勧めです。

インフォメーション
館 名  国立西洋美術館
所在地  東京都台東区上野公園7−7
開館時間 9:30〜17:30、金曜日・土曜日は20:00まで
     土曜日の企画展の閉館時間は、企画展により異なる
     ※入館は閉館の30分前まで
休館日  月曜日(休日の場合は翌火曜日)、年末年始

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/10 訪問

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