東京都内を走る路面電車でゆっくり味わうタイムスリップ感 東急世田谷線

東京都内を走る路面電車でゆっくり味わうタイムスリップ感 東急世田谷線

更新日:2013/10/01 17:02

東京都内には路面電車の路線がふたつあります。ひとつは言わずと知れた都電荒川線、もうひとつが、今回ご紹介する東急世田谷線です。昔ながらの東京の住宅街をゆっくり走る路面電車。東京の過去と未来が混在するこの地域で、ノスタルジックさを感じさせる景色を見に行ってみませんか?

東急世田谷線とはどんなところを走っているの?

東急世田谷線とはどんなところを走っているの?
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東急世田谷線は、東京の三軒茶屋と下高井戸を結ぶ全長5.0キロの軌道線で、全駅東京都世田谷区内にあります。路面電車という扱いになっていますが、道路に併設されている軌道はなく、全然が専用軌道になっています。

かつては、1925年に渋谷と二子玉川園を結ぶ玉川電気鉄道の支線として開業しました。現在の東急に合併されたのは1938年、その後1969年、玉川線が廃止されたことをきっかけに、現在の世田谷線に改められました。

沿線の住民からは「せたでん」と呼ばれて親しまれていますが、年配の方の中には、それより昔の愛称「たまでん」と呼ぶ方が今もいらっしゃいます。

三軒茶屋からわずかの距離で住宅街に……

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世田谷線の始発駅は三軒茶屋。東急田園都市線との接続駅ですが、あちらは地下線、こちらは地上線のため、少し距離があります。現在の駅舎は地上27階建て、高さ124mの三軒茶屋キャロットタワーに隣接した場所ですが、この建物を中心とした地域の再開発が行われる以前は、もう少し国道246号線に近い場所に駅があったそうです。キャロットタワーの最上階には入場料無料の展望スペースがあり、ここから東京スカイツリーや東京タワー、新旧の東京を見ることができます。また、キャロットタワー内にある世田谷パブリックシアターは中規模のホール施設で、演劇、音楽などの公演が行われます。

その隣の駅は西太子堂。三軒茶屋からわずか300mのところにありますが、ここで早くも世田谷の住宅街に入ります。付近には、高層建築はなく、遠くに見えるキャロットタワーをはじめとする繁華街と好対照な関係にあります。

西太子堂と若林の間に一風変わった踏切があります。環状七号線と平面交差する踏切で、車の交通を優先させ、信号が変わるまで電車が待っているのが特徴。世田谷線の名物になっています。この光景は、朝夕のラッシュ時になると特によく見ることができます。

また、所々に見られる線路の草。都心に近いにもかかわらず、ローカル線っぽさというか、ここだけ時の流れがゆっくりしているようでいいですね。

かつて玉川線があった頃の塗装を再現

かつて玉川線があった頃の塗装を再現
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鉄道ファン的に気になるのが車両。現在は1999年から2001年にかけて製造されたデハ300型で統一されています。その結果、世田谷線の車両は全車冷房化され、ワンマン運転が実施され、段差なく乗車できるバリアフリーも実現するなど、現在に通用するサービスを提供できるようになりました。

特徴は、すべての列車で色が異なること。その中でも特筆するのは写真の車両で、この塗り分けは、まだ玉川線があった時代の塗装を再現したものなのです。世田谷線に限らず、最近は日本中の鉄道で昔の塗装の再現が流行していますが、これもそのひとつといえるでしょう。

駅で待っていて、様々な色の電車が来ると、何となく新鮮な気分になりませんか?

宮の坂駅で見た過去の車両

宮の坂駅で見た過去の車両
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途中駅の上町には、世田谷線の車両を整備する車庫が隣接しています。

その次の駅、宮の坂には世田谷区宮坂区民センターがあります。下り線ホームの隣に保存されているのが、かつて世田谷線を走っていた古い車両。日中には車内を見ることができます。この車両は東急世田谷線で使われた後、江ノ島電鉄で走っていたこともあり、そこで廃車になった車両を引き取って保存したという経歴があります。車体に書かれた「601」の番号は江ノ電時代の名残です。室内には、往年の玉川線、世田谷線に関連した写真の展示も行われています。

終点下高井戸駅前は昔の街のイメージを色濃く残していた

終点下高井戸駅前は昔の街のイメージを色濃く残していた
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宮の坂の次の駅山下は小田急線豪徳寺駅との乗換駅になっています。そして、終点下高井戸へ列車は向かいます。

下高井戸駅は、京王線との乗換駅。京王線のホームの端に狭く押し込まれたような世田谷線の駅ですが、高架駅でないのがよいところです。この周辺もまた、古い町並みを残しています。写真は下高井戸駅前市場。1956年に作られたものですが、できた当時からのアーケードが昭和の雰囲気を誘います。

また近所には寺院も多く、世田谷線を見ながら休憩できるカフェもあります。

東急世田谷線に乗車して……

世田谷は江戸時代からの村落があったことにより、当時の建築、神社仏閣が数多くあります。少し歩けば、地域の名所的な場所に遭遇するという特色があります。昭和の名頃をとどめる風景など、通好みの名所がたくさんあるので、丸1日歩いても飽きを感じさせません。

世田谷線の周辺を歩くには360円で乗り放題の1日乗車券が便利です。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/09/18 訪問

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