写真:下川 尚子
地図を見る現在、鎌倉唯一の尼寺である英勝寺は、鎌倉駅から徒歩12分ほどの場所にあります。
開基の英勝院尼は太田道灌の子孫で、お勝の方と呼ばれ、徳川家康に仕えたのち出家して英勝院と号しました。1636年、三代将軍家光から太田道灌の土地を譲り受け、英勝寺を建立。没後は、徳川水戸家の姫が代々住職をつとめてきたといいます。
関東大震災によって一部倒壊した建物はあるものの、仏殿、鐘楼、祠堂などは現存しており、江戸初期の貴重な建築を今に伝えています。写真は、仏殿。小窓を開くと、ご本尊の阿弥陀三尊像を拝することができます。
写真:下川 尚子
地図を見る英勝寺は花の寺としても知られ、春には白藤、初夏にはあじさい、秋には彼岸花や紅葉、冬には柊や水仙と、季節によってさまざまな草花が楽しめます。古木では、祠堂の前のワビスケと山門の隣の唐楓が鎌倉市の天然記念物に指定されており、それぞれの季節を楽しみに、繰り返し訪れたいお寺です。
境内には江戸時代の名建築が多く残っており、鎌倉では唯一とされる珍しい「袴腰」の鐘楼、軒下の十二支の彫刻や内部の装飾が見事な仏殿、気品あるたたたずまいの山門など、見どころは豊富。境内の建築物のほとんどが重要文化財として指定を受けています。
境内はそれほど広くはありませんので、見どころをひとつひとつめぐりながら、四季の花々を楽しみましょう。
写真:下川 尚子
地図を見るそして、英勝寺の見どころのひとつといえば、竹林。仏殿の奥、一段高いところには見事な竹林が広がりますので、ぜひそちらも散策を。
写真は、竹林に面して立つ書院。春から夏にかけては周辺が緑に染まり、趣のある姿を見せてくれます。春は軒先の藤棚に白藤が咲き乱れ、秋は紅葉が見事です。四季の移り変わりを感じながら、訪れたい場所です。
英勝寺の書院では、月に数回、お茶席が開かれます。不定期の開催ではありますが、開催日は門の前に看板が出ているのが目印。看板を見かけたら、ぜひ立ち寄ってみましょう。
お茶席で一休みしたいときは、書院で料金を払い、軒先に座って待ちます。しばらく待つと、お抹茶とお干菓子のセットが手渡されます。
書院の軒先に座っていただくカジュアルな雰囲気ですが、竹林を眺めながらいただくお抹茶は、日ごろの疲れをそっと癒してくれます。吹き抜ける風や竹林の清々しさを感じながら、のんびりと一休みしましょう。
写真:下川 尚子
地図を見るこちらが、英勝寺の竹林。鎌倉で竹林といえば報国寺が有名ですが、英勝寺の竹林も負けず劣らず美しいもの。散策路が整備されています。
のびやかな竹林の中に入ると、外の喧噪も忘れてしまうような静けさ。かつて、この竹林のあたりには代々住職をつとめた水戸徳川家の姫君の住まいがあり「姫御殿」と呼ばれていたのだそう。穏やかな静寂を楽しみながら散策しましょう。
英勝寺を訪れるときは総門ではなく洋風の通用門がありますので、そちらから拝観料を納めて境内へ入ります。そのとき見頃を迎えている花の案内は門の前に書かれていますので、見たい花がある場合は、見頃をチェックしてから入りましょう。
英勝寺の古建築の美しさや絶え間なく咲く季節の花々、竹林の穏やかな静寂は、どこか雅な空気を感じさせます。徳川家康の寵愛を受け、水戸徳川家の礎を築く一助となったお勝の方や、代々英勝寺を守ってきた姫君たち。そんな「女性の寺」ならではの空気を感じながら、散策してみてはいかがでしょう。
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(2024/3/28更新)
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