房総随一の美しい景観! 千葉県勝浦市「鵜原理想郷」

房総随一の美しい景観! 千葉県勝浦市「鵜原理想郷」

更新日:2016/07/01 15:30

村松 佐保のプロフィール写真 村松 佐保 嬬恋村案内人
岬全体が景勝地になっている鵜原理想郷は、与謝野晶子や三島由紀夫など多くの文人墨客が愛した地です。眼下にきらめく美しいリアス式海岸と、広大な太平洋の荒波に浸食された岩壁の造形美は房総随一といわれています。JR外房線の鵜原駅までは、東京駅から特急を利用して勝浦駅で乗り換えれば1時間40分ほど。都会から少し足を延ばすだけで出合える自然の宝庫、南房総国定公園・鵜原理想郷をご案内いたします。

鵜原理想郷のスタートは素掘トンネルから

鵜原理想郷のスタートは素掘トンネルから

写真:村松 佐保

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鵜原駅を降りると観光案内所がありますのでマップなどをいただくことができます。理想郷までは徒歩で10分ほどですが、途中にある案内板を見ながらでも迷うことなく歩けます。お車の方は理想郷の入口に普通車10台ほど停められる専用の無料駐車場があります。

ハイキングコースの出発は素掘トンネル(写真)です。遠くに見える小さな明かりを頼りに暗闇に向かって足を踏み入れるのもちょっとスリリング! 足元を探るように歩いていると、どこからともなく吹いてくる風が旅の始まりを告げているかのようです。理想郷には絶景スポットが何か所もありますが、全部歩いても2.3キロほどです。さあ、トンネルを抜けるといよいよハイキングコースの始まりです。

自然が作り出した奇岩・巨岩の造形美が見事!

自然が作り出した奇岩・巨岩の造形美が見事!

写真:村松 佐保

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トンネルを抜けると理想郷のハイキングコースが始まります。両側から植物が生い茂り、頭上にもおおいかぶさるほどの樹々の下を歩き始めると、左手に海へと降りる階段が見えてきます。「ゴトガエリの浦」(写真)と呼ばれる入り江に出られます。かつて道がなかった頃は、人々はこの入り江から船で行き来していました。

浸食でできた見事な海蝕洞(波浪による侵食で海食崖に形成された洞窟)が連なる切り立った岩壁、その間から遠く広がる紺碧の海の美しさに言葉を失います。岩に沿って石の道が少し続いていますので、足元の澄んだ水に癒されながら造形美を間近に楽しんでください。

自然の威力! 風化で露出した岩肌

自然の威力! 風化で露出した岩肌

写真:村松 佐保

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ゴトガエリの浦から再び階段を登って先ほどの道に戻ります。さらに草木がおおう道を先へと進みますが、その隙間から顔を見せる海の輝きに足を止めて見入ってしまいます。途中、道が分かれたところにある「手弱女平(たおやめだいら)」への道標を目印に進むと、理想郷を詠んだ「篠田悌二郎(1899年〜1986年)の句碑」が岩山の上に建てられています。

あたり一帯に広がる風化で露出した岩肌の上を歩いていると、時空を超えて辿り着いたかのような錯覚に陥ります。歩き始めてから650メートルほどで、手弱女平(写真)の岬に到着します。鐘のついたデザインベンチに座って眺める海は最高です。近くのあずまやでホッと一息もいいですね。

勝浦の海岸線を一望できる絶景スポット

勝浦の海岸線を一望できる絶景スポット

写真:村松 佐保

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手弱女平からもと来た道を戻り、さらに450メートルほど進むと、最南端の「毛戸岬(けどみさき)」に出られます。冬から春にかけて赤い花が咲くヤブツバキの群生林があります。さらに200メートルのところにある「白鳳岬」からの絶景も楽しめます。このあたりは断崖絶壁になっているところが多いので、くれぐれも崖に近づかないようにしてください。

そしてさらに60メートルほど進むと、理想郷の名勝スポットの中で一番高い「黄昏の丘」(写真)に到着します。眼下には穏やかな鵜原海岸が広がり、太平洋側を眺めると先ほど立って景色を眺めた手弱女平が見えます。樹々と海と空のコントラストを楽しんでください。

安政時代のクジラの頭の骨が祀られた「大杉神社」

安政時代のクジラの頭の骨が祀られた「大杉神社」

写真:村松 佐保

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六百万年以上も前に建立された「大杉神社」は、海上安全や大漁祈願、水難除けや家内安全に霊験があり、長い間地元の方々をお守りしてきました。神社には安政時代のものと伝えられているクジラの頭の骨(写真)が祀られています。地元の方々も長い間神社を守り続けてきました。漁師さんは毎年神社にお供え物をして、漁や町の安全を祈願しています。神社への道は、「黄昏の丘」からこんもりした山道を入ってください。道なりに少し進んでいくと神社への階段が見えます。

帰りは、別の長くて暗い素掘トンネルがおすすめです。黄昏の丘から階段や登坂道を降りて鵜原海水浴場に向かうと、途中右手トイレの裏手に鋭角に戻る道があります。その先に情緒たっぷりのトンネルがあります。天井が低く足元も異常に暗いので少しドキドキするかもしれません。トンネルを抜けたところは勝場港です。そのまま道なりに歩いていただければ、数分で出発地点に戻れます。

房総の絶景「鵜原理想郷」はいかがでしたでしょうか!

太平洋の荒波によって浸食されたリアス式海岸が美しい鵜原理想郷は、大自然が作り出した造形美だけではなく、四季折々の植物が生い茂る小道や岬から眺める大海原を堪能することができる貴重な地です。歴史が刻まれた素掘トンネルの向こうに広がる房総随一の美しい景観を、ぜひご自分の肌で感じてください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/27 訪問

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