京都 生誕300年で大ブレイク中!奇想の絵師「伊藤若冲」の足跡をめぐる!

京都 生誕300年で大ブレイク中!奇想の絵師「伊藤若冲」の足跡をめぐる!

更新日:2016/07/12 17:19

この春東京都美術館で開催された、生誕300年記念「若冲展」を期に大ブレイク中の伊藤若冲。精緻な動植物画や斬新な構図や手法など、「こんな絵描きがいたのか!」と初めて見る人の誰もが驚く奇想の天才アーティストです。
今まで一般にはあまり知られてなかった若冲ですが、実は生まれも育ちも京都です。若冲ゆかりの地を巡り、意外なエピソードや人となりに触れる旅をしてみませんか?あなたも若冲の虜になってしまうかも!

若冲を育んだ「錦市場」は生誕300年に沸くお祭りムード!!

若冲を育んだ「錦市場」は生誕300年に沸くお祭りムード!!
地図を見る

京の台所「錦市場」は、今まさにお祭りムード!錦市場のアーケードには、若冲の代表作《動植綵絵》《百犬図》などをモチーフにしたタペストリーがたくさん掛けられていて、とても賑やかです。

それもそのはず、若冲はここ錦市場で生まれ育ったのです。若冲は錦市場の青物問屋「桝屋」の長男として生まれ、一度は主人として商売を継ぐも、絵を描くことに没頭し、40歳で弟に店を任し、絵師になってしまいました。
しかし、京都の町奉行所も絡む陰謀で錦市場が取りつぶされそうになったとき、若冲が立ち上がり、4年間絵筆も握らず奔走し、これを解決したということです。つまり、若冲は錦市場を救った英雄なのです!

2016年は錦市場にとっては英雄若冲の生誕300年のお祭りイヤー。高倉通がわの入り口には「伊藤若冲生家跡」のモニュメントも作られ、錦市場は若冲一色です!

《髑髏図》をモチーフにした迫力の御朱印!伊藤家の菩提寺「宝蔵寺」

《髑髏図》をモチーフにした迫力の御朱印!伊藤家の菩提寺「宝蔵寺」

錦市場のすぐ近く、裏寺町にある「宝蔵寺」は「桝屋」初代から伊藤家の菩提寺で、先祖を大切にした若冲は父母や弟の墓石を建立し、檀家として「宝蔵寺」への参拝を欠かさなかったと言われています。

そして、宝蔵寺が所有する若冲作品の中で最もインパクト大なのが拓版画《髑髏図》です。真っ黒い背景にくっきりと浮かぶ2体のどくろ!!実は、どくろは禅宗ではポピュラーな画題だとか‥‥。「人間をその人たらしめているものは肉体にあり。」哲学的な思索が込められているようです。

若冲生誕300年の今年、《髑髏図》をあしらった新しい「伊藤若冲親族の御墓」も建立され、《髑髏図》をモチーフにした今年限定の御朱印を頂くことが出来ます。季節ごとに色が変わる迫力ある御朱印、絶対お勧めです!

ここ「宝蔵寺」本堂は通常非公開ですが、若冲親族の御墓参りはさせて頂けます。また、住職の小島さんは大変気さくな方で、質問にも親切に答えてくださいますよ。

若冲心の拠り所!住み込みで絵を描いた「相国寺」

若冲心の拠り所!住み込みで絵を描いた「相国寺」
地図を見る

臨済宗相国寺派の大本山「相国寺」は、京都五山第二位の古刹です。
若冲はここ「相国寺」の大典禅師と親しく交流し、大作《釈迦三尊像》と《動植綵絵(どうしょくさいえ)》を描き、相国寺に寄進しました。

その後相国寺は、明治の廃仏毀釈によって疲弊してしまいます。しかしその時、この《動植綵絵》を明治天皇に献納して一万円を下賜されたことにより、復興を成し遂げました。つまり、若冲によって危機を脱することができたのです。

頭をそり、肉食も妻帯もしなかった「人嫌いの絵画オタク」と言われる若冲ですが、大典和尚の他にも円山応挙や上田秋成など、一流の文化人との交流もあり、かなり社交的な部分もあったようです。知れば知るほど若冲の魅力が見えてきます!

若冲の大作を静謐な空間で楽しめる「承天閣美術館」

若冲の大作を静謐な空間で楽しめる「承天閣美術館」
地図を見る

相国寺内にある「承天閣美術館(じょうてんかくびじゅつかん)」では、重要文化財の《鹿苑寺大書院旧障壁画月夜芭蕉図床貼付》と、同じく重要文化財《鹿苑寺大書院旧障壁画葡萄小禽図床貼付》を見ることができます。どちらも「鹿苑寺」のために描かれたものですが‥‥

「鹿苑寺」とは、あの有名な世界遺産「金閣寺」のことです!
なぜ「金閣寺」にあった障壁画が、ここ「相国寺」にあるのでしょうか‥‥実は、「金閣寺」は「相国寺」の塔頭なのです。どちらも迫力の大作なので、どうぞお見逃しなく!!

また、承天閣美術館では、12月4日まで「生誕300年記念伊藤若冲展」を開催中です。《釈迦三尊像》と、複製ではありますが、濃密で色鮮やかな大連作、《動植綵絵》30幅を一堂にみることができます!東京美術館で人々を魅了した奇跡の作品を、貴方も味わってみませんか!?

若冲晩年の隠棲の地「石峰寺」

若冲晩年の隠棲の地「石峰寺」
地図を見る

京都大火によって焼け出された若冲は、70代半ばから石峰寺の山内に隠棲し、五百羅漢の石仏を作り続けます。10年の歳月をかけて、1000体もの像を作ったというのですから驚きです!

中心は釈迦の誕生から涅槃に至る釈迦伝で、現在も530体ほどが残っています。地蔵や羅漢のさまざまな表情や姿態は、どこか人間臭くユーモラスで、長年の風雨に丸みを帯びて苔寂び、さらに趣を増しています。
石段を登りつめ、赤壁の竜宮門の向こうにある不思議な世界を、訪れてみませんか?

まだまだあります!若冲めぐりの立ち寄りスポット!

知れば知るほど面白い、幅広い魅力のある稀有な絵師「伊藤若冲」ですが、若冲を楽しめる場所が京都にはまだまだあります!
平安神宮すぐそばの「細見美術館」。ここは実業家で日本美術のコレクター細見良から始まる細見家三代の収集品を展示していますが、《糸瓜群虫図》《雪中雄鶏図》など約20点の若冲作品があります。

明治30年に開館した歴史ある「京都国立博物館」には、約10メートルにもなる大作《群鶏図》、野菜や果物を釈迦や菩薩に見立てた《果蔬涅槃図》の他、若冲には珍しい人物図にも出合うことができますよ!

また、庭園の美しい「建仁寺塔頭両足院」や新選組発祥の地としても知られている「金戒光明寺」でも特別拝観の期間中は若冲の作品を鑑賞できます。
若冲とゆかりの深い禅寺を訪れ、若冲を通して京都を眺めてみると、ちょっと違った世界が見えてくるかもしれませんね。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/14−2016/07/05 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -