最初にご紹介するのは勿論、忠犬ハチ公の像。JRハチ公口前の広場の、地下鉄の入口の向こう側、後でご紹介する緑の電車の置物と向かい合っています。ハチ公の話がハリウッド映画化されたためか、最近では写真を撮る外国人観光客も多く見られます。
亡くなった主人を迎えに、9年間も毎日渋谷駅に通っていた秋田犬ハチ。この像は彫刻家の安藤士（たけし）氏によって1948年に作られたものです。実はハチ公像としては２代目。戦前、まだハチの生前に士氏の父親の彫刻家、安藤照（てる）氏が作ったのが初代です。現在の像も作られて70年近く経ちますが、今でも渋谷のシンボルとして皆に愛されています。また、JR渋谷駅の脇の壁には、「ハチ公ファミリー」のレリーフがあるので、そちらもチェックしましょう。
渋谷駅前でハチ公に次ぐ待ち合わせスポット「モヤイ像」は渋谷駅の南口側にあります。前後に二つの顔を持つこの像は、東京の離島、新島から贈られたもの。イースター島の「モアイ像」ではありません。「モヤイ」とは新島の言葉で「共同作業」や「力を合わせる」といった意味です。新島と渋谷区とは、以前から友好的な繋がりがあったことから、島の協力の精神を伝えるため、そして島のPRのために1980年に寄贈されました。
JRと京王井の頭線を繋ぐ渋谷マークシティ内の連絡通路の壁に、岡本太郎の巨大な壁画《明日の神話》があります。高さ5.5ｍ、長さは30ｍ。1968～69年メキシコシティに建設予定のホテルのために描かれました。しかし資金難によりホテルは未完成に終わり、絵は行方不明に。その後30年以上を経て、2003年にメキシコ郊外で奇跡的に発見されたのです。
描かれているのは、原爆が炸裂する悲劇の瞬間。しかし、そんな惨劇も人間は誇り高く乗り越え、その先に「明日の神話」が生まれるのだという、作者のメッセージが込められているのです。
渋谷から青山にかけては「岡本太郎記念館」に加え、NHKスタジオパーク、国立代々木競技場第１体育館、青山通り沿いの青山学院大学向かい側（こどもの城の跡地）にもこの芸術家の作品が設置してあるので、併せて訪れてみましょう。
こちらの緑の電車は、1970年まで東急東横線を走っていた東急5000系車両の第1号車。緑色と、正面から見ると下ぶくれの外見から「アオガエル」の愛称で親しまれました。現在は渋谷区の観光案内所として使われていますが、電車の座席も一部残され、空調も完備されていることから、待ち合わせスポットとしても活躍中。ハチ公前広場の地下鉄出入り口の脇、ハチ公像の向かい側にあります。
最後にご紹介するのは、駅からは少し離れますが、伝説のシンガーソングライター尾崎豊の歌碑。場所は青山通り（国道246号線）と六本木通りとが交わる場所に建つ、渋谷クロスタワー3階の屋外広場です。青山通りを渡る歩道橋の近く、渋谷の街を眺める場所に設置してあります。
1865年生まれで17歳でデビュー。1980年代の10代の代弁者でカリスマでもあった尾﨑豊は、1992年に26歳の若さで謎の死を遂げました。歌碑は彼の3回忌に作られたもの。代表作「17歳の地図」の歌詞が刻まれています。碑の周りの落書きは、彼がいかに愛されていたかを伝えてくれます。実はここは、彼が通っていた青山学院高等部への通学路。現在でも遠い後輩たちが、毎日この歌碑の近くを通って学校へ通っているのです。
以上、渋谷駅周辺の有名なモニュメントを5つご紹介しました。いずれも渋谷の歴史に深い関係があったり、現在の渋谷と繋がりがあるものばかり。観光でこの町を訪れる人は勿論、日常的に渋谷駅を使っている人達も、ちょっと足を止めてみませんか？
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(2024/4/20更新)
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