写真:Hiroko Oji
地図を見るイタリア北東部のヴェネト州にの一つ「パドヴァ(Padova)」の一番の見所は何といっても、スクロヴェーニ礼拝堂といえるでしょう。鉄道駅からまっすぐに延びるポポロ通りを進み、運河を渡った左側に、緑豊かな公園が広がっています。その一角にあるのが、天井から壁にかけてジョットの素晴らしいフレスコ画が一面を覆う、小さな礼拝堂「スクロヴェーニ礼拝堂」です。
外観はシンプルですが、内部のフレスコ画がスゴイ!これは、ジョット・ディ・ボンドーネが、1304年から3年がかりで完成させた、西洋美術史上もっとも重要な作品といわれるもの。四面全ての壁に、上中下三段に分割されて、聖母とキリストの生涯が38面に渡って描かれており、圧倒されんばかりの迫力があります。入り口の壁一面に描かれている「最後の審判」や、内陣アーチの中央部分を占める「受胎告知」の場面は最重要な絵画であり、キリストが弟子の足を洗う場面やユダがキリストに口づけしようとしている場面なども興味深く、見逃せません。日本の徳島県にある大塚国際美術館では、このフレスコ画をオリジナルと同じ大きさに複製し展示していますが、やはり本場で一度は目にしたい素晴らしい作品です。
1回の見学は最大25人までで、前室の「温度調整室」で15分待機した後15分間の見学、と保護のための工夫が行われています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るスクロヴェーニ礼拝堂からさらに南へ進むと、シニョーリ広場、フルッタ広場、エルベ広場と、3つの広場が寄り添っている一角に出ます。そのフルッタ広場とエルベ広場の間にあるのが、ルネサンス様式のタウンホール「ラジョーネ宮」。サローネとも呼ばれる、大きな体育館のような建物です。
中世の自由都市時代の繁栄を、今に伝える豪奢なラジョーネ宮は、1218年に建設され、柱廊とアーチの続くロッジアと、丸まった傾斜のある屋根に改修されたのが1306年のこと。外観を見るだけでも見ごたえのある建物ですが、内部の2階に上がると、縦81メートル、横幅27メートルの世界最大のサロンとなっています。高さが27メートルもあるというのも、より広く感じるポイント。壁面上部には、15世紀のフレスコ画連作が描かれていて、日常の仕事から宗教や学問、占星にいたる絵が見られます。また、目に留まるのは、巨大な木製の馬像。これは1466年に造られたものです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るパドヴァはイタリアでも重要な巡礼地で、熱心な信者が多く集まってくるのが「サンタントニオ聖堂」。カトリック教会のバジリカ(※)で、市民からは「イル・サント」と呼ばれています。
この聖堂は、ポルトガル生まれのフランシスコ派の僧で、パドヴァ近くでその生涯を終えた、聖アントニオに捧げられた教会です。ロマネスク様式のファサード、ゴシック様式のアーチ、ビザンチン様式の8つのクーポラ、さらにはイスラム美術を取り入れた鐘楼など、異なる様式がミックスされており、素晴らしい堂々とした外観は世界でもめずらしい巨大建築です。
高い天井に、広々とした内部は明るく、金色に輝く壁面の装飾画や列柱とアーチの並ぶ眺めは荘厳で「天国のよう」ともいわれています。主祭壇のブロンズのレリーフは、ドナテッロによるもので、その他13〜20世紀の一流芸術家たちによる作品で溢れています。聖アントニオのお墓があるサント礼拝堂の壁面には、その生涯を描いた荘厳なフレスコ画が描かれています。
※ バジリカとは、元々公共の集会施設のことでしたが、長方形の平面に高窓、列柱のアーケードをもつ教会堂のことをいうようになりました。中央の身廊の2辺、またはそれ以上の辺を、側廊によって取り囲み、身廊と側廊は列柱によって分けられています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るサンタントニオ聖堂の南には、ヨーロッパ最古の植物園があり、さらに西側に隣接するのが、堀に囲まれた公園となっている19世紀の広場「プラート・デッラ・ヴァッレ」です。
古代ローマ時代には劇場として使われていたのですが、その後集会場として市民に利用されるようになった広場。中央には噴水がありその周りを87の彫像が配置されるといった整った外観に整備されたのが、18世紀後半のこと。現在は市民の憩いの場として利用されており、毎月第三日曜には骨董市も開かれます。プラート・デッラ・ヴァッレは、イタリアで最大の楕円形広場で、ヨーロッパでは、モスクワの赤の広場に次いで第二の広さを誇ります。
写真:Hiroko Oji
地図を見る別名「大学者の町」とも呼ばれているパドヴァ。そこに住んでいる人たちのことを、イタリアの他の町の人たちは「大学者のパドヴァ人」と呼んでいます。
パドヴァ大学は、13世紀にボローニャ大学(※)を飛び出した教授や学生によって創立されたという伝統ある大学。手厚い保護を受け、自由で開放的な学風を持つなかで、医学や自然科学の研究においては、ヨーロッパ随一と言われてきました。コペルニクスが学び、ガリレオやダンテ、ペトラルカと言った歴史に名を遺す人たちが教鞭をとったことでも知られています。
その大学の建物がまた素晴らしい! パラッツォ・デル・ボー(Palazzo del Bò)を利用したもので、神殿風の装飾とたくさんの紋章レリーフが並ぶ入り口を入ったら、5連アーチの上部にあるレリーフに続き、奥のコリント式の柱頭装飾が施された列柱が取り囲む中庭の回廊が見事なのです。天井や壁面を覆うフレスコ画や彫刻装飾、紋章の数々には目を瞠るばかりです。
※ ボローニャ大学は、ヨーロッパ最古の総合大学であり、イタリア国内第2位の規模を誇る大学。世界の大学の原点であり、「母なる大学」ともいわれ、世界初の人体解剖室のあることでも知られています。
パドヴァは、多くの見所が徒歩圏内に集中しているので、一日でも充分見て周れます。
スクロヴェーニ礼拝堂と隣接するエレミターニ市立博物館は、かつてのアウグスティーノ修道院だった建物を利用したもので、ジョットの「十字架刑」はじめ、グアルティエーロの「武器を持つ天使」など必見で、パドヴァ、ヴェネツィア派の絵画が充実しています。さらに横に続くエレミターニ教会の、保存状態はよくありませんが、マンテーニャの壁画も見応えあります。また、プラート・デッラ・ヴァッレに面して建つサンタ・ジュスティーナ教会のヴェロネーゼの絵画や、サンタントニオ聖堂隣にあるサン・ジョルジュ礼拝堂やサンアントシオ信者会のフレスコ画もお忘れなく。
これらの見所に加えて、カフェ・ペドロッキの2階やサン・ロッコ祈祷堂、サン・ミケーレ祈祷堂など、さらには市内バス利用にも有効なパドヴァカードというお得な共通券があります。MEMOにリンクしておきますので、どうぞご利用ください。
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(2024/4/25更新)
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