渡名喜島で昔ながらの集落景観を見る 〜 赤瓦屋根とフクギの屋敷林の伝統的集落は国選定の保存地区

渡名喜島で昔ながらの集落景観を見る 〜 赤瓦屋根とフクギの屋敷林の伝統的集落は国選定の保存地区

更新日:2013/09/25 18:40

沖縄の伝統的集落といえば竹富島が有名で、沖縄らしい赤瓦の家屋が並ぶ景観は圧巻です。こういう伝統的な町並みの保護のため「重要伝統的建造物群保存地区」(重伝建)という制度があり、沖縄県では竹富島と渡名喜島の2地区が重伝建に選定されています。渡名喜も竹富と同様に島の農村集落ですが、驚くほどに全く異なる集落です。渡名喜島への交通は船しかなく不便ですが、ぜひ訪れて独特な集落の雰囲気を感じていただきたいです。

フクギの屋敷林が続く渡名喜の町並み

フクギの屋敷林が続く渡名喜の町並み
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ここは集落の真ん中を貫く村道1号線です。渡名喜で典型的な屋敷林が通り沿いにどこまでも続く景観です。昔ながらの町並みでは古い建物がずらっと並んだところで写真を撮ったりしたいものですが、渡名喜ではそう見えるところはほとんどないんです。沖縄の気候で問題になるのは台風です。台風の強風から家屋を守るために渡名喜ではフクギの屋敷林が敷地を囲んでいるんです。フクギの屋敷林は沖縄の強い日射しを遮る効果もあって、晴れの日も快適です。強風から家屋を守る工夫は他にもあり、敷地が低く掘り下げられています。雨が降ったら水没するんではないかと思うかもしれませんが、水のしみこみやすい砂地なので問題ありません。この独特の景観はそういった知恵のあらわれなのです。

石垣で囲まれた屋敷地は昔のままの屋敷構

石垣で囲まれた屋敷地は昔のままの屋敷構
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屋敷地は屋敷林と石垣で囲まれています。この写真の石垣では精巧な切石を積んでいますが、テーブルサンゴを使ったものなど多様な石垣を見ることができます。1mほど掘り下げられた住宅敷地にはいると、どどーんと壁があります。沖縄ではよく見られるものでヒンプンなどとよばれますが、渡名喜ではソーンジャキといいます。外からの視線を遮る実用的な目的もありますが、魔よけの役割もあります。家屋は赤瓦屋根で、これも沖縄独特のもの。屋敷地にはフールとよばれるトイレと豚の飼育施設を兼ねたものがあったりして、昔のままの屋敷構を見ることができます。
※ほとんどのところは普通に住民が生活しています。撮影や見学は住民の迷惑にならないように注意して下さい。
※撮影場所の地図はおおよその位置です。

森のような集落を一望する上の手展望台

森のような集落を一望する上の手展望台
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集落の北には山があり、集落を一望することができます。どの家にもフクギの屋敷林があるので、集落は森のようです。木々の間には沖縄らしい赤瓦屋根も見えます。沖縄の民家といえば赤瓦を連想するぐらいおなじみのものですが、意外に新しいもので、渡名喜では大正期にこの赤瓦の景観ができあがっています。明治からの鰹漁で島の経済がうるおったことで屋根の葺き替えが行われました。もともとは茅葺(かやぶき)で、この写真をとったところはまわりが一面の薄だったので、このあたりも萱場(かやば)として利用されていたことと思います。

夕方からも楽しい集落の散策

夕方からも楽しい集落の散策
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この島への交通は1日1便の船便のみで(日によっては1日2便)、基本的には島で1泊以上することになるんですが、暗くなってきてからの散策もお勧めです。フットライトの明かりで幻想的です。

最後に

沖縄の伝統的な島の農村集落として高く評価されている渡名喜島、いかがだったでしょうか。渡名喜島と同様に島の農村集落として重要伝統的建造物群保存地区に選定されている竹富島とあわせて旅をして、いろいろ比較してみるのも楽しいと思います(両方を訪ねる旅は計画がたてにくいとは思いますが)。沖縄本島から渡名喜島へのアクセスは船便(久米商船株式会社)だけで、しかも基本的には1日1便で気象条件によっては船がでないこともあります。なるべく計画に余裕をもたせて訪れてみて下さい。また、島内の宿泊施設は少ないので、必ず予約をとってから島にわたるようにして下さい。4月から10月の金曜日は1日に2便の船があるので、那覇からの日帰りも可能ですが、島で1泊はしてゆっくり過ごすことをお勧めします。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/12/07−2012/12/08 訪問

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