機の音響く織都・桐生〜日本遺産に認定された織物業の文化財群

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機の音響く織都・桐生〜日本遺産に認定された織物業の文化財群

機の音響く織都・桐生〜日本遺産に認定された織物業の文化財群

更新日:2016/06/12 15:10

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、低山登山家、ブロガー

日本遺産のストーリー「かかあ天下〜ぐんまの絹物語」は、群馬県で古くから盛んな絹産業にまつわる12件の文化財から構成されています。そのうち5件が桐生市の中心部に集中。江戸時代から「西の西陣、東の桐生」と呼ばれた桐生市には、絹と織物の産業に紡がれた、歴史ある町並みが残っているのです。石造りの洋館、商家や蔵、今でも操業する織物工場。織都(しょくと)・桐生の日本遺産をご紹介します。

レトロな洋館「絹撚記念館」〜日本遺産のストーリーと桐生の構成文化財

写真:大木 幹郎

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■日本遺産「かかあ天下〜ぐんまの絹物語」について
古くから織物の町として発展してきた織都(しょくと)とも呼ばれる桐生市から、5件の日本遺産の構成文化財をご紹介。その前に、「かかあ天下〜ぐんまの絹物語」というストリーについて少しご説明を。群馬県で古くから盛んな絹産業は、女性たちの活躍の場でした。蚕を育て絹繭を作る養蚕、絹繭から糸を紡ぐ製糸、そして機織で作る織物。女性たちの活躍が、家計を支え、輸出の大部分を絹製品が占めた近代日本の経済を支えたのです。

女性たちが活躍した絹産業の日本遺産。その構成文化財は、全部で12件。養蚕と製糸に関する文化財が6件で、主に養蚕農家の建物や、製糸の倉庫と資料など(地域は、中之条町、片品村、甘楽町)。残りの6件の文化財は、全て桐生市内にある織物に関するもので、織物の商家や工場など。江戸時代から「西の西陣、東の桐生」と呼ばれたように、桐生市は古くから優れた織物の町だったのです。

なお、桐生市の構成文化財は全部で6件ですが、市の郊外(川内地区)にある「白瀧神社」は、本記事ではご紹介しておりません。白瀧神社と、桐生市以外の構成文化財の詳細は、文末のサイトをご参照ください。

■「絹撚記念館」
最初にご紹介する日本遺産の構成文化財は、レトロで美しい建物の絹撚記念館(けんねんきねんかん)。この建物は、大正6年に建造された日本撚糸株式会社の事務所棟だったもの。当時は一帯に工場が立ち並ぶ、桐生を代表する日本最大規模の撚糸工場でした。群馬県で最古級の洋風石像建造物であり、ほぼ創建当時の状態が保たれた貴重なもの。1Fは郷土資料の常設展示で、2Fが企画展示の部屋となっています。内外に往時の雰囲気が残る瀟洒な建物と、興味深い郷土資料をゆっくりと見学しましょう。

織物の町の中心地「伝建地区」〜日本遺産の歴史ある町並みを散策

写真:大木 幹郎

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2つ目にご紹介する日本遺産の構成文化財は、伝建地区(桐生市桐生新町重要伝統的建造物群保存地区)。桐生天満宮を起点とし、県道66号線の両脇に続く歴史ある町並み。400年以上前の区割りの上に、明治から大正時代に建てられた商家や、織物工場が織り成すレトロな雰囲気のエリア。写真は伝建地区の南側にある一角。「矢野園」と「有鄰館(ゆうりんかん)」。伝建地区を代表する景観の1つです。

矢野園は大正5年に建てれた商家で、今も商店(喫茶、茶葉・米の販売)として営業中。隣接する有鄰館(写真の左奥が入口)は、大きな複数の蔵から構成される建物で、アートの展示、演劇やコンサートの上演など、多目的に活用され、最奥には「桐生からくり人形館」も併設されています。

今も活用され続ける伝統的建造物群。矢野園や有鄰館の他にも、織物工場や、商家を利用したカフェ、銭湯など、伝建地区には見所が盛りだくさん(旧曽我織物工場、ベーカリーカフェ・レンガ、一の湯、など)。

桐生を代表する織物の老舗「後藤織物」〜今も操業する鋸屋根の工場

写真:大木 幹郎

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3つ目にご紹介する日本遺産の構成文化財は、後藤織物。明治3年に創業した織物の老舗であり、今でも生産を続ける現役の帯メーカー。大正から昭和初期に建てられた、母屋・工場・蔵・給水塔など、伝統的な織物生産の場が日本遺産に認定されています。鋸屋根の工場では、今も女性の職人が大きな織機を操り、高品質の帯が生産されているのです。

敷地内の建物は、どれも興味深いものですが、特に見応えあるのが鋸屋根の工場。昭和初期に建てられた工場の外見は、昔のままの風格と貫禄。当時を舞台とした、映画やドラマのロケ地であることも納得の景観です。工場の内部は、鋸屋根の採光窓に照らされて、使い込まれた創意工夫の器具と機械の列が続く、芸術の工房といった空間。その奥では、規則正しい音を立てて帯を織る、大きなジャカード織機は工場の主のよう。ここは、守り伝えてきた桐生織の、伝統技術の粋を集めた工房なのです。

【見学の予約】
見学には事前の予約が必須です。見学可能な日時は、平日の10時から15時まで。見学の希望日は、営業上の都合により、調整していただく場合があります。見学の予約の詳細は、文末の後藤織物のサイトをご参照下さい。

【帯の販売】
工場で作られた帯を直接購入できます。七五三の祝い帯ではトップメーカーであり、丸帯では、映画やTVドラマで使う衣装として注文があることも(映画・SAYURI、TVドラマ・マッサン、など)。

「織物参考館・紫」〜織物の文化を体験できる日本遺産の博物館

写真:大木 幹郎

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4つ目にご紹介する日本遺産の構成文化財は、織物参考館・紫(ゆかり)。鋸屋根の工場を利用した建物が特徴的な体験型の博物館です。鋸屋根の本館にある、主な展示品は古今東西の大量の織機。原始的なものから、現代も運用される自動化されたものまで、解説員の説明(操作の実演あり)を聞きながら見学し、織物の文化の発展を体験できます。本館の奥にある工房では、藍染と手織りが体験でき、オリジナルの染物や織物を作ることも可能です(要予約)。最奥にある施設は、現在も操業する「森秀織物」の織物工場となっていて、コンピュータ制御で動く現在の織機を見学でき、ここで作られた織物のカレンダーを購入することもできます。

入館料や開館日など詳細は、文末のサイトをご参照ください。

「桐生織物記念館」〜買物もできる桐生の織物業の中枢だった建物

写真:大木 幹郎

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最後にご紹介する日本遺産の構成文化財は、桐生織物記念館。昭和9年に建造された、桐生織物同業組合の旧事務所であった建物です。桐生の織物業の中枢であり、隆盛を伝える建物として、国の有形文化財にも登録。現在も現役で活用されていて、1Fはオシャレな桐生織物の販売店があり、通路を挟んで、洋装と和装を扱う部屋に分かれています。2Fは織機や織物などの資料の展示室で、解説員の説明を聞きながら、織物産業の歴史について詳しく知ることが出来ます。その他の見所として、建物自体が重厚でレトロな洋館で、通路や階段にも雰囲気があり、映画のロケ地となったことも(聯合艦隊司令長官・山本五十六、脳男、など)。

織物の古都・桐生の日本遺産

以上、日本遺産に認定された桐生市の文化財でした。「かかあ天下〜ぐんまの絹物語」は、12件もの多くの文化財を含んでいますが、そのうち6件が桐生に集中しています(市の郊外にある白瀧神社は未紹介)。それだけ桐生が、歴史ある織物の町であるということが分かります。ご紹介した5つの文化財は、保存状態が優れているだけでなく、すべて見学や体験ができるもの。織物の文化が体験ができ、建物自体に歴史的価値のある資料館。アートの工房やカフェ、各種の商店として、今でも活用される商家や蔵。そして、現在も操業する伝統的な織物工場。伝統と新しさが交差する、織都・桐生市へ、日本遺産の文化財を巡る旅をお勧めいたします。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/03 訪問

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