写真:Lady Masala
地図を見るおしゃれでアーティスティック、それでいて、昔ながらの下町情緒を漂わせる東ロンドン。そのような場所にありながら「Geffrye Museum(ジェフリー博物館)」の敷地内には、上品で洗練された空気が流れています。
豊かな緑に覆われる広々としたフロントヤード(前庭)に点在する木製のベンチ。晴れた日には、いつまでもそこに腰を掛けて時を過ごしたくなります。
ロンドン市長を務めたこともある Sir Robert Geffrye(ロバート・ジェフリー)によって1716年に建てられたレンガづくりの建物は、20世紀初頭までの200年余りの間、貧しく身寄りのないお年寄たちが住んだ「アルムスハウス(救貧院)」として使用されていました。
博物館となった現在では、17世紀から20世紀までの、中産階級の人々が暮らしていた家の内部の様子が再現されています。
写真:Lady Masala
地図を見る館内には、時代ごとに当時の暮らしを象徴する典型的なリビング・ゲストルームが再現されています。「ホール」とよばれていた1630年代の居間兼客間から、19世紀の倉庫を改装してつくられたという1990年代のロフトに至るまで、順を追って見てゆくことで、住居の変遷の歴史をたどることができます。
どの時代の部屋も美しくデコレーションされていますが、1870年代の「Drawing room(ドローイング・ルーム)」は必見。ヴィクトリア朝では華やかな装飾が好まれましたが、後半に入ってからは、東洋的なテイストをインテリアに取り入れることが流行しました。木目の重厚な家具を中心に据え、中国や日本などから輸入した絵皿や壺をディスプレーすることで、エキゾチックな空間を演出したのだとか。シンプルでありながら、センスの良さが際立つ装飾には、インテリアのアイディアがたくさんちりばめられています。
写真:Lady Masala
地図を見るレトロ&ヴィンテージファンにとって垂涎の空間は、1960年代のリビングルーム。この時代になってはじめて、それまでの暖炉に代わって、テレビが部屋の中心になるように家具が配置されるようになりました。また、天井を高くすることで部屋全体を広く見せる工夫もなされています。
時代を象徴するインテリアのキーワードはシンプル。それ以前は、壁紙、カーテン、椅子の座席部分にさえも、なにかしらの模様が描かれていましたが、白壁に無地のカーテンやカーペットが流行したのは、50年代以降のこと。
シンプルな北欧家具を中心に据えて都会的な空間を演出しているこの展示は、北ロンドンにある高級住宅街にある家のリビングを参考にしてつくられたのだとか。半世紀を経た現代においても、古めかしさを感じさせません。
写真:Lady Masala
地図を見る館内を見学した後に、ぜひとも訪れたいのは、4月から10月まで開放されている「ハーブ・ガーデン」。バラの季節には最も美しくなるというガーデンには、170種類もの見事なハーブが生い茂ります。その香りは心も身体もリフレッシュさせてくれるでしょう。
また、館内の展示と同様に、17世紀から20世紀までの典型的なガーデン様式が再現された「ピリオド・ガーデン」にも注目してください。
薬草や調理できる植物が中心に植えられていたという17世紀の実用的な花壇、常緑の灌木を美しく刈り込んでつくられた18世紀の幾何学的な緑の空間、温室が流行した19世紀、そして、「アーツ・アンド・クラフト運動」の影響を受けたという20世紀のガーデン。
ヴィクトリア朝後期には、産業革命の結果として、大量生産による安価で粗悪な製品が横行しました。デザイナーで思想家でもあったウィリアム・モリスは、そうした風潮を批判し、中世の手工業を復活させようという「アーツ・アンド・クラフト運動」を提唱したといいます。家具やインテリアだけではなく、ガーデンにも当時の思想や流行が反映されていたのです。
ハーブの香りに癒されるガーデンと各時代を象徴する美しい部屋。貴重なアンティーク家具が数多く展示されている「ジェフリー博物館」には、お部屋の模様替えの際に参考にできそうなデコレーションのアイディアが随所にちりばめられています。
流行の発信地・東ロンドンで、ぜひとも「ジェフリー博物館」に足を運んでみてください。
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(2024/4/26更新)
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