東北三名城の福島県「白河小峰城」!優雅な城と維新の戦い。

東北三名城の福島県「白河小峰城」!優雅な城と維新の戦い。

更新日:2016/06/30 16:40

福島県白河市はみちのくの玄関口に当たり、そのシンボル的な存在が、この白河小峰城です。小高い丘の上に聳える小振りな日本初の木造復元御三階櫓や、清水門の上に立ちはだかる(鷹の目積み)とも呼ばれる美しい石垣は、優雅さと一緒にもの悲しさをも感じさせます。
それは、あの戊辰戦争の行く末を決めたといってもいい、あっけない戦いの歴史を知っている、奥羽越列藩同盟(東北)の関所の城だからかもしれません。

まずは白河集古苑で、藩とお城の歴史をチェック

まずは白河集古苑で、藩とお城の歴史をチェック
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白河集古苑の入館料は大人320円と手頃な価格帯です。館内は二つのブースに分かれており、結城家古文書館では室町時代まで栄えていた白河結城家の歴史がよく分かります。

阿部家名品館では徳川幕府に6人の老中を輩出した阿部家の調度品や、甲冑類などが展示されています。入口にあるアームストロング砲は、白河小峰城を攻略した新政府軍の主力兵器。この大砲がこの白河小峰城での戦いを、そして戊辰戦争全体の結末をも決めてしまった、と言っても過言ではありません。
今の時代に生きている我々は、先人たちの戦いの歴史を学んで、平和な生活を長く続けていくべきと、再認識させられる歴史館です。

石碑越しに見える「白河小峰城御三階櫓」と「前御門」!

石碑越しに見える「白河小峰城御三階櫓」と「前御門」!
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古めかしい石碑越しに見える、城の正面に当たる主郭部分には、史実通りに復元された御三階櫓と前御門の姿が浮かび上がります。一方で東と西側は、震災で崩れてしまった石垣の修築に懸命に取り組んでいます。見方を変えれば、復元に携わっている城郭建築の専門家の姿を直に見られるという、滅多に出来ない体験かもしれません。
もちろんすべてが完成した城郭を、石碑越しに見られる方が価値が高いとは思います。でも復興途上のお城の姿も、一見の価値があることは間違いありません。

清水門と知る人ぞ知る「鷹の目積みの石垣」!

清水門と知る人ぞ知る「鷹の目積みの石垣」!
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東日本大震災で、清水門向こうの本丸南面石垣が、殆ど壊滅状態になってしまいました。このような崩落した石垣は、当時の姿に忠実に再現するため、大変な手間と時間とお金を掛けて、一石(ひといし)ずつ、積上げていきます。またここには、落とし積みと云われる通称「鷹の目積み石垣」が有ります。この並べ方は通常の石垣よりも、もっと大変な労力が掛かったと推定されます。
攻め寄せる敵方に対して、まるで射すくめるような眼差しをこの石垣は持っています。よく見ると、攻め寄せる敵を鷹の眼のように鋭く睨んでいるような石垣が見えてくるでしょう。
よく見てみると古い石から白く新しい石に、所々積み変えられています。もちろん鷹の目積みの特徴は活きていますが、震災前と比べると、射すくめる眼が易しくなったように感じるのは、やはり震災を経験したからでしょうか。

日本初の木造復元御三階櫓、その内部は。

日本初の木造復元御三階櫓、その内部は。
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2015年に震災から立ち直って、この御三階櫓は再び拝観ができるようになりました(しかも無料です!)。一階部分には、戊辰戦争の時に弾が撃ち込まれた森林の木材をそのまま使用して、私たち観光客にも分かり易いように表示してくれています。
一・二階ともに「石落とし」が設けられています。TVなどでは、ここから石を落として登ってくる敵兵をやっつけたんですねぇ。などと云われていますが、最近では登ろうとする敵兵を、鉄砲や弓矢、煮えたぎった油などを掛けて「石垣から落とす」から石落としと、云われるように変わってきています。
御三階櫓の最上階は、小振りなだけあって、六畳間程度の広さしかありません。一度に登れるのは五名と表記されていますから、きちんと順番を守って登りましょう。
でもこの御三階櫓を見学できるようになったのは、綱渡り的な要素があったと、云われています。それは、災害防止の観点から鑑賞用の建造物として許認可を取ったものの、様々な苦労を経て、ようやく公開できるようになったという、いわくがあるようです。
それだけ苦労されたのなら、余計に訪れてみたくなりますね。

お城の裏側は完全復興に向けて、一生懸命修築中!

お城の裏側は完全復興に向けて、一生懸命修築中!
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お城の東門を抜けて、市の合同庁舎脇を通って、お城の裏側に周ってみます。搦め手門の修築も終わりましたが、元の姿に戻るには、もう少し時間が必要です。
でもこんなお城の姿もまた一興、修築中の城は以前よりその価多値(形)を高めてくれるはずです。一生懸命立ち直ろうとしているその姿を見ることが出来るのは、今しかありません。

白河小峰城は震災に負けずに、格好いい姿に戻りつつあります!

判官びいきという日本人固有の性質があります。戊辰の戦いに負け、震災でダメージを受けても、一生懸命に立ち直ろうとするその小振りな姿に、応援メッセージを送りたくなります。
我々が出来る事、それは現地へ行って立ち直ろうとしている実際の城の姿を見て、現実を知る事です。
城の景色が大きく変わるのは、桜の春と紅葉の秋が一番です。でも夏の雲をバックに青い空に映し出される全体城郭、雪に埋れている中にも、シャンとして我々を見下ろしている御三階櫓は見応えがあります。

白河小峰城は必ず訪れてみたい城、その歴史と復元に掛けた人達の想いを感じてみれば、皆さんも納得できると思います。
一度訪れると誰かに勧めたくなる城、それがこの白河小峰城です!

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/05/28 訪問

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