「イハマアシナガアリ」が生息している地域は、伊豆半島の南伊豆町にある伊浜(いはま)。海岸に面した小さな集落で、平地は少ないため、段々畑が多く見られます。地名の「伊浜」は、浜に転がる石「石浜」から「伊浜」と呼ぶようになったとの説があり、段々畑は浜にあった石を積み上げて造られたようで、町のあちらこちらに見られます。
先祖が数百年かけて築き挙げた石垣は、蟻達にとって格好の棲みかになっており、こちらは集落内にある「三島神社」です。神社の境内はご覧のように石垣だらけ! しかも木などの自然がすぐ近くにあるので、蟻に会える確率も高い場所です。蟻は、農道や車道脇などでも見られますが、こんなにたくさんの石垣があれば、きっと見つかること間違いなし!
神社の参道では、ちらほらと地面を歩く蟻の姿が! こちらが「イハマアシナガアリ」で、手足が長く、赤褐色しているのが特徴的です。正しくは、頭から後腹柄節(体と体にある節)にかけて赤褐色。足は褐色から黄褐色。
この蟻は、元静岡県農業試験場南伊豆分場長の方が発見したもの。公表されるや否や、すぐに地元の新聞などに取り上げられ、話題になりました。それもそのはずで、伊豆半島の先端部付近に限って生息する南伊豆固有種。世界中どこを探しても、この蟻を見られるのはここだけ!なのです。
「イハマアシナガアリ」の「イハマ」とは、地名の「伊浜」。学名は「Aphaenogaster izuensisu(アフェエノガスターイズエンシス)」と言うそうで、アシナガアリ属の体長4mmほどの蟻です。これでは、小さすぎて頭の形などよくお分かり頂けませんよね? 詳しくは、お次をご覧下さい。
近くで見ると、つぶらな瞳が可愛くて何とも言えない表情。蟻の頭の上は、溝のようなしわがあり、後頭部は孤を描く綺麗な形をしています。「蟻」と言えば、行列を作るイメージがあるかもしれませんが、行列を作るのは、日本でわずか10種類しかないそう。
イハマアシナガアリは、単独でエサを探し、目があまり良くないので、頭から生えている2本の触覚で物を触って調べます。触角は、それだけでなく、匂いや味まで感じられるんですよ。それにしても、足が長くてスタイルが抜群! 流れるような流線型のフォルムは、蟻好きのみならず、昆虫好きの人にとってはきっとたまらないことでしょう。
この写真は、民宿「めぐみ荘」に飾られていて、先程の「三島神社」に近いので、泊まればゆったりじっくりと観察できるので一押しです。
「イハマアシナガアリ」は、赤褐色だけと思いきや、色の違う蟻も生息しています。ご覧になっているように黒褐色の蟻もおり、不思議なことに、同じ巣に赤褐色・黒褐色が一緒にいる場合も。驚きですよね。
南伊豆町伊浜は、国内有数のマーガレットの産地。マーガレット畑の土台となっている石垣などに、イハマアシナガアリが生息しているかもしれないので、ここも探すポイントかもしれません。因みに、毎年4月下旬から、区が管理する花畑では無料で花狩りが楽しめるので、併せた楽しまれてみても良いかもしれませんね。
南伊豆は1年中温暖ですが、イハマアシナガアリの活動時期は、春から秋にかけて。7月下旬から8月上旬にかけて、新女王蟻と雄が巣から飛び立ち、空中で交尾する「結婚飛行」が見られるかもしれませんよ。観察すれば、きっと夏休みの自由研究にも役立つこと間違いなし。ここでしか見られない大変珍しい「イハマアシナガアリ」。一見の価値あり!なので、伊浜で蟻を探す旅に出発してみませんか?
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(2024/4/20更新)
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