めざせ標高3,000m!夏は子どもと一緒に「立山」登山

めざせ標高3,000m!夏は子どもと一緒に「立山」登山

更新日:2016/06/14 11:09

織笠 なゆきのプロフィール写真 織笠 なゆき トラベルライター、御朱印収集家、狛犬愛好家
富山県の東、北アルプスの北部に位置する立山連峰。実は「立山」という山はなく、雄山・大汝山・富士ノ折立という3,000m級の3つの主峰を総称してそう呼んでいます。夏でも雪が残り、暑い平地とは別世界。高山植物が美しく咲き、雷鳥にも出会うことができます。夏は「立山黒部アルペンルート」を通って、子どもと一緒にそんな山々の頂をめざし、親子のキズナを深めてみませんか。

立山登山をおすすめする理由

立山登山をおすすめする理由

写真:織笠 なゆき

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3,000mなんて過酷な登山になるんじゃ…と思いきや、「立山黒部アルペンルート」のおかげで、立山登山はバスを降りる室堂平の標高がすでに2,450m。富山県の小学生は遠足で登る山なんだとか。そう言われると、ちょっと行ける気がしてきませんか?もちろん装備と心構えは大切ですが、数字のインパクトのわりにはそれほど難しい山ではありません。550m登っただけで、得も言われぬ達成感と3,000mの山に登ったという自信が得られる、そんなお得な山なんです!

また、体力に合わせた目標決めも可能です。室堂から立山主峰登山を始めると、まずはじめに到達する峰は雄山(3,003m)。ここでやめても3,000mに到達したという満足と、山頂にある雄山神社へ詣でたという思い出が得られます。時間と体力に相談して、もう少し足を延ばせば大汝山(3,015m)。ここまで行けば、立山連峰最高峰に到達したという満足が。さらに富士ノ折立(2,999m)まで行けたなら、3つの峰を制覇したという満足が得られることでしょう。

富士ノ折立のさらに先に進むこともできますが、今回は初心者向け・ファミリー向けにおすすめしたい、室堂バスターミナルから雄山山頂までの登山をご紹介します。

※写真は一の越を過ぎたあたりからの眺め。中央より少し左下に見えるのが「みくりが池」、その左にあるのが室堂バスターミナルです。

室堂バスターミナルから、一の越まで

室堂バスターミナルから、一の越まで

写真:織笠 なゆき

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室堂バスターミナルに到着したら、お手洗いを済ませたり、ストレッチをしたり、ターミナルを出てすぐのところにある湧水を汲んだり…。高山病予防のために、立山の美味しい空気を吸いながら、一休みして体を慣らします。登山を始めるとすぐに暑くなってくるので、少し涼しく感じるぐらいに服装を調節しておきましょう。夏の室堂平にはたくさんの高山植物が咲いており、低木の陰などに雷鳥が隠れていることもあります。体力を消耗しない程度に、周辺の景色を楽しんでください。

いよいよ登山開始!はじめは道が整備され、傾斜もゆるやかなため拍子抜けするかもしれません。ですがほどなく雪渓(雪がとけずに残っている場所)が現れ、ここが高所であることを実感することでしょう。雪渓はすべりやすいので、焦らずゆっくりと。他の人が通っていないフカフカなところを通ると、靴の中に雪が入って不快な思いをすることになるかもしれませんので気をつけてください。替えの靴下があると安心ですね。7月よりは8月のほうが雪渓の数は減りますが、踏み固められてより滑りやすくなるところが出てきますので、注意が必要です。

一の越(標高2,700メートル)の手前には、「祓堂」という小さな祠があります。昔修験者達がここで身を清めてから登ったのだとか。登山の無事を願い、手を合わせていく人が多いようです。このあたりから斜面が少し急になりますが、道はまだコンクリート舗装。小学校低学年までのお子さんと一緒なら、一の越を目標にするのもいいでしょう。一の越山荘には売店がありますが、シーズン中は売り切れになることもあるので、必要な飲食物は持参を。トイレには環境協力金を入れる箱がありますので、100円玉を用意しておきましょう。

一の越は、立山登山の十字路。美しい景色を眺めながらここで一休みをして、雄山後半戦に備えます!

一の越から、立山主峰の一つ「雄山」の山頂まで

一の越から、立山主峰の一つ「雄山」の山頂まで

写真:織笠 なゆき

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一の越からは軍手が必須。大小の岩がゴロゴロしている、いわゆる「ガレ場」という斜面を登っていきます。スニーカーで登る人もよく見かけますが、この登山のためにアウトドア用品店でトレッキングシューズを買う方は、場面によって適した靴が違いますので、“立山のガレ場を登る”と店員さんに相談してみてください。

一見荒涼として見えますが、岩の隙間に可愛らしい高山植物が咲いていたり、周辺の山々を一望にすることができたりと、うっかりするとのんびり休憩してしまいたくなる登山道です。途中に二の越、三の越と、小さな祠が建っていますので(頂上が五の越に該当)、ペースの目安にしましょう。

すれ違う人と挨拶したり、道を譲ったり。ぐらつく岩に用心したり、歩きやすそうなルートを選んだり。そして何より、ゴールに向かって頑張るということ。ここで子供が学ぶことは、きっと多いことでしょう。石を投げない、花を摘まないなどの山のルールも、前もって話し合っておくといいですね。小休止用の飲み物や食べ物(飴など)は、取り出しやすいところに。親の頼もしさの見せどころです!

いよいよ山頂!雄山神社へ参拝しよう

いよいよ山頂!雄山神社へ参拝しよう

写真:織笠 なゆき

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山頂が近づくと見えてくる建物は、雄山神社の授与所です。このそばに雄山の一等三角点があり、標高2,991.6mと記載されています。ですが、本当の山頂はここではありません。登拝料(大人500円、小中学生200円)を納めて詣でる「雄山神社 立山頂上 峰本社」の神殿の隣に、「雄山頂上(標高3,003m)」と書かれた石碑が設置されており、ここが水準点(標高点)となっています。なので、真の雄山山頂に行くためには、雄山神社の峰本社に詣でる必要があります。

峰本社でご祈祷を受けたら、水準点の石碑と親子で記念撮影!写真はいい思い出になるとともに、絵日記などの夏休みの宿題に使えるので忘れずに。「立山頂上 雄山神社」と書かれた紙に鈴がついたものもいただけます。いい登頂の記念になりますね。

授与所にはお守りやお札が並んでおり、御朱印所も併設されています。また、売店のようになっている一角があり、軽食や飲み物も購入可能となっています。山頂価格で高くも感じますが、例えばカップ麺がお湯とゴミ廃棄込みで500円というのはお得なのではないかと。好きな飲み物や食べ物も、きっと山頂で食べる味は格別!「頂上でこれを食べよう!」そんな目標がやる気につながるかも?

※金額・品揃えは平成27年時点のものです。

小学生も登頂可能という立山。いくつかのポイントを気をつけて、楽しく安全な登山を!

立山を登るときに気をつけたいポイントは3つ。時間と体調と天気です。

時間は、朝の出発が遅いとそれだけ立山黒部アルペンルートの乗り物に並んだりすることになるので、できるだけ早朝、予約できる乗り物は予約していくことをおすすめします。そして、あまりのんびり下山してくると帰りのバスに間に合わないなんて危険性も…。帰宅予定時刻から余裕をもって逆算して、自分に合った各ポイントの目標通過時間を決め、さらに「遅くなったとしてもこの時間までには」という限界も確認しておきましょう。

体調は、気持ちが昂っていると冷えや水分不足などに気づきにくかったり、同行者に申し訳ないと思うと不調を正直に言えなくなってしまうことがあるかもしれません。複数で登る場合はお互いにこまめな声掛けをし、一人で登る場合も、自分でポイントごとに具合を確認するようにしましょう。

「山の天気は変わりやすい」とよく言いますが、立山も例外ではありません。山頂で「天気がいいからもう少しのんびりと」と思っていると、天気が悪くなってきてから下山したのではそこから2時間ほど、悪天候でペースが落ちるようならそれ以上の時間、雨の中を歩かないといけなくなってしまいます。足元が滑りやすいうえに体が冷え切るなど、負担が大きくなりますので、早めの判断が必要です。

特に子連れでの登山や、周囲に登山客が少ない時は、さらに用心してくださいね。いざという時は、登頂をあきらめる勇気も必要。機会を見て、また立山に会いに行きましょう!

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/07/20 訪問

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