眺めるだけじゃない!アルゼンチン「ペリト・モレノ氷河」で感激体験

眺めるだけじゃない!アルゼンチン「ペリト・モレノ氷河」で感激体験

更新日:2016/06/07 14:33

大竹 進のプロフィール写真 大竹 進 元旅行会社勤務、元旅行専門学校講師
日本から最も遠い国アルゼンチン。
その南部に広がる嵐の大地、パタゴニアを特徴付けるのが氷河。
南極、グリーンランドに次ぐ規模の、南パタゴニア氷原から流れ出す氷河は50以上あると言われ、その中で最も有名なのがペリト・モレノ氷河です。
世界遺産ロス・グラシアレス国立公園の中心をなすこの氷河は、単に展望台から眺めるだけではなく、船からも、そして実際に自分の足で歩くこともでき、様々な形で楽しめる氷河です。

ペリト・モレノ氷河全景

ペリト・モレノ氷河全景

写真:大竹 進

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ペリト・モレノ氷河があるロス・グラシアレス国立公園は、日本語に訳すと氷河国立公園という意味で、その名の通り氷河が主役の国立公園です。

山梨県とほぼ同じ面積を持つこの公園には多くの氷河がありますが、中でもペリト・モレノ氷河は全長約30km、一番氷の厚い場所で約700mという巨大なもので、ロス・グラシアレス国立公園を代表する氷河です。

この氷河が流れ込んでいるのは海ではなく、琵琶湖の2倍くらいの大きさのアルヘンティーノ湖で、氷河の末端部は約5kmもの幅があり、湖面からの高さは約60m、水面下も含めるとなんと170mもの厚みがあります。
写真手前の展望台にいる人と比べて頂くと、その巨大さがお判り頂けるでしょう。

地球温暖化の影響で、年々後退して行く氷河が多い中、豊富な降雪と比較的高い気温のため、氷河としてはハイスピードの、1日当たり約2mの速さで湖へと流れ込んでいるこのペリト・モレノ氷河は、後退していない氷河としても有名で、時には氷河の先端が対岸に到達することもある、とても生き生きとした元気な氷河です。

ペリト・モレノ氷河の末端は青い尖塔!

ペリト・モレノ氷河の末端は青い尖塔!

写真:大竹 進

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氷河の末端は、長い年月をかけて流れ下る途中で、氷河の周囲の山から落下した土砂や岩石などに覆われて、一見氷河には見えないようなものもありますが、ペリト・モレノ氷河は幅が広い、流れ下るスピードが速い、湖に流れ込んでいることなど、様々な好条件が重なり、末端部でも殆ど汚れの無いままの姿を見ることができます。

最初は平面だった氷河も、流れ下る過程で部分部分にひずみが生じ、クレバスができますが、ペリト・モレノ氷河の末端部分は写真のように青い尖塔が林立する絶景へと変わってきます。

氷河が青く見える訳、それは長い年月をかけて圧縮された密度の高い氷河の氷は、氷中に含まれる空気の気泡が少なく、非常に透明度が高くなります。
透明度の高い氷を太陽の光が透過すると、波長の長い赤い光の多くを吸収してしまい、波長の短い青い光だけを反射させることによります。
そのため氷河の氷は、グレシャーブルーと呼ばれる青い色をしているのです。

この何とも言えない神秘的な色をした尖塔が、湖面から60mもの高さで聳える様は将に圧巻!
自然の造形の素晴らしさに驚嘆です。

氷河崩落の瞬間

氷河崩落の瞬間

写真:大竹 進

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雄大な氷河崩落のシーンは、誰もが目にしたいと待ち望んでいることと思います。
1日に数十cmしか移動しない氷河が多い中、ペリト・モレノ氷河は2mも移動する、最もスピードが速い部類に属する氷河ですから、それだけ決定的シーンを眺められるチャンスの多い氷河です。

展望台にいると、時々乾いた銃声のような音が聞こえてきますが、これは末端に押し出された氷河に亀裂が入り、湖に崩落していく音です。
ペリト・モレノ氷河は末端の幅が5kmもあり、結構あちこちで崩落しています。

こう聞くと簡単に崩落の光景が見られそうですが、実はそうではありません。
何故かと言うと、音の伝わるスピードが秒速約340mに対し、展望台から目の前の氷河まででも数百m、氷河の両端までは数kmも離れていますから、崩落する音が聞こえてからその方向を見た時には、大概もう崩落した氷河は湖に落下していて、カメラには中々納められません。

末端にある氷河は今にも崩れ落ちそうに見えますが、眺めているとそれがなかなか崩れそうで崩れないため、ついついいつまでも目が離せず、惹き付けられてしまいます。

ここで崩落の瞬間を見逃さないヒントをお教えします。
それは崩落が始まる部分で、先ず小さなかけらが落ち始めるということ。
すると間もなくその辺りの大きな塊が崩れ落ちて来るという次第です。
ペリト・モレノ氷河を訪れた際には、是非この崩落の前兆を見つけて、決定的チャンスをものにして下さい。

氷河クルーズ遊覧船

氷河クルーズ遊覧船

写真:大竹 進

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ペリト・モレノ氷河の雄大な姿を眺められるのは、展望台だけからではありません。
展望台へ行く途中の湖岸から、氷河クルーズの遊覧船が運航されていますので、こちらもどうぞお楽しみ下さい。

湖面から見上げる氷河は、オフィスビルであれば15階ほどもの高さのグレシャーブルーの壁、それが圧倒的な迫力で目の前に迫ってきます。
クルーズ中にタイミング良く氷河崩落の光景を目の当たりにできれば最高ですね!

体感!氷河トレッキング

体感!氷河トレッキング

写真:大竹 進

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ペリト・モレノ氷河で更に嬉しいのは、自分の足で氷河トレッキングができるということ。
氷河は世界各地で眺めることができますが、その上を観光客が歩けるという所は世界広しといえども殆どありません。

氷河クルーズの遊覧船と同じ乗り場から、専用の船に乗って氷河末端脇に接岸し上陸。
氷河の手前でアイゼンを装着し、グループごとにガイドが前後について出発して行きます。

目の前に広がる氷河は想像以上に大きく、高低差もかなりあり、山登りと変わりありません。
しかもパックリと口を開けたクレバスが所々にあるので、ガイドの指示に従って行動することが必要です。

しかし、クレバスをまたいだり、アイゼンを付けての氷河トレッキングは、滅多にできない体験!
そしてトレッキングの最後は、氷河の氷を使ってのオンザロックで乾杯!
将に至福の時、最高の一杯です!

興味のある方はどうぞチャレンジしてみて下さい。
但しこの氷河トレッキングには年齢制限があり、参加できるのは65歳までですから、ご注意下さい。

終わりに

地球上には多くの場所に大小様々な氷河が存在していますが、ペリト・モレノ氷河のように間近で眺めることができ、崩落シーンも目の当たりにすることが可能で、更に自らの足でその上を歩くことができる氷河となると、殆どありません。

日本から最も遠い場所にある驚嘆の絶景、未体験の世界を味わえるペリト・モレノ氷河を、貴方も訪れてみませんか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/02/20 訪問

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