陽光溢れる南イタリアのナポリ!世界遺産の旧市街「スパッカ・ナポリ」

陽光溢れる南イタリアのナポリ!世界遺産の旧市街「スパッカ・ナポリ」

更新日:2018/07/27 10:59

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
南イタリアのナポリは、風光明媚な自然が魅力で豊かな印象を持つ北イタリアに比べ、経済的・治安的に危険なイメージが強いのではないでしょうか。しかし、一歩陽光溢れる町並みに足を踏み入れると、いくつもの素敵な観光ポイントが点在し、人情味溢れるエネルギッシュな人々に出会えます。特に、世界遺産とされる旧市街は、スパッカ・ナポリと呼ばれ、狭い路地に洗濯物がはためき、庶民的なお店が並び、教会が点在する地区です。

ジェンナーロを祀るドゥオーモ

ジェンナーロを祀るドゥオーモ

写真:Hiroko Oji

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世界遺産に登録されている南イタリアの港町ナポリは、ローマとミラノに次ぐイタリア第3の大都市。イタリアを代表する「輝く太陽と温暖な気候、陽気な人々」というイメージの元がこのナポリなのです。旧市街は「スパッカ・ナポリ」と呼ばれ、東西に走る直線の通りが、町を南北真っ二つに分けています。この界隈には素晴らしい芸術作品の宝庫となる教会が点在しています。

その代表格が、ジェンナーロを祀るドゥオーモ。1300年代に建てられ、ファサードは1876年、ネオ・ゴシック様式で改修されたものです。毎年2回、小さな壺に納められた聖ジェンナーロの血液が液体化するという奇跡を一目見ようと、信者が詰めかける大聖堂で、この奇跡が起こらないと大災害に見舞われる、という言い伝えがあるのです。

内部は110本の円柱で3廊に分けられ、中央祭壇にはピエトロ・ブラッチ作の「被昇天の聖母」が祀られています。この左にある階段から、ギリシア・ローマ時代の遺跡に下りることができます。右翼廊の奥には、西洋で最古の洗礼堂とモザイク画が残っています。中央入り口の右にあるのは、ジェンナーロ礼拝堂で、聖ジェンナーロの血液が入った小壺は、鉄格子のはめられた奥の部屋に保管されています。

狭い庶民的なトリブナーリ通りを抜けて開放的なダンテ広場へ

狭い庶民的なトリブナーリ通りを抜けて開放的なダンテ広場へ

写真:Hiroko Oji

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スパッカ・ナポリとは、「ナポリを真っ二つに割る」という意味で、鉄道駅に近い東のカプアーノ城から西のダンテ広場まで、真っすぐ延びるトリブナーリ通りが旧市街を南北に分けています。狭くて両側に建物がびっしり建ち並び、教会があちこちに点在し、庶民的なお店が軒を並べ、頭上には洗濯物がはためくという、いかにもナポリ!といえる通りです。足元のすり減って丸くなった石が敷き詰められた石畳の通りからは、その長い長い歴史を感じることができるでしょう。

通りの西端にあるダンテ広場は、広々とした半分カーブを描く石畳の広場です。名前にあるようにダンテ像が中央に立ち、背後にはフォロ・カロリーノの美しい建物が控えています。この辺りにも美味しいレストランが軒を並べ、地下鉄の駅や少し離れた所にはフニコラーレのモンテサント線の乗り場もあるので、便利で訪れやすいスポットになっています。

サン・ロレンツォ・マッジョーレ教会

サン・ロレンツォ・マッジョーレ教会

写真:Hiroko Oji

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トリブナーリ通りのほぼ中央、通りを挟んでサン・パオロ・マッジョーレ教会と向かい合うように建つのが、サン・ロレンツォ・マッジョーレ教会です。6世紀、古代ローマの建造物の上に最初の教会が建てられ、13世紀には、アンジュー家のカルロ1世・2世のもとで次の教会が建築されました。また、均整のとれたファサードは18世紀のもので、その結果、一つの建物の中に様々な時代様式が混在するという、面白みのある教会となっているのです。

内部の主祭壇のレリーフや聖人像はもとより、古井戸のある中庭を取り囲む回廊奥には、見逃せない遺跡があります。ギリシア・ローマ時代からのもので、アーチ型の建物が続く通路や広場、市場など、ナポリ最古の遺構が、よい保存状態で残っています。

ナポリっ子の憩いの場、ベッリーニ広場

ナポリっ子の憩いの場、ベッリーニ広場

写真:Hiroko Oji

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トリブナーリ通りのダンテ広場に出る手前、国立考古学博物館へ向かう角に、緑豊かな一角があります。ベッリーニ広場と言って、周囲には中世の建物が並び、カフェやバールが軒を並べています。ナポリっ子の憩いの場となるほど、ここでは、古き良き時代を肌で感じ、寛げる雰囲気が漂っています。広場の中央にベッリーニの記念碑があり、その足元には古代地下都市ネアポリスの掘削穴があります。この掘削は1954年から始まったもので、この遺構を眺めながら、そばのテラス席でちょっと一杯!気分は完全にナポリっ子となるはずです。

マヨルカ焼きが美しい!サンタ・キアーラ教会のキオストロ

マヨルカ焼きが美しい!サンタ・キアーラ教会のキオストロ

写真:Hiroko Oji

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キオストロとは回廊付きの中庭のことで、トリブナーリ通りの一筋南を走る通り沿いにあるサンタ・キアーラ教会に素晴らしいキオストロがひっそりと佇んでいます。

サンタ・キアーラ教会は典型的なフランチェスコ会の簡素な建物。1310年に建設され、18世紀には豪華なバロック様式の装飾で改修されたにもかかわらず、1943年、砲火のためほぼ全部が失われてしまいました。現在の姿は、ゴシック様式で再建されたもので、ファサードの高い位置にバラ窓が付いているとてもシンプルな外観です。ただ一つ、鐘楼の基礎部分に14世紀の建築が残っています。

ここで見逃せないのは、教会の裏手にあるクラリッセ(クララ女子修道会)のキオストロ!中庭を取り囲む回廊の壁面や天井を覆うフレスコ画は目を瞠るばかりの素晴らしさ!そして、中庭を彩るのは、黄色や緑・青をふんだんに使って描かれた白地のマヨルカ焼きタイルでできた柱やベンチたち。一息つける美しい中庭です。

まだまだたくさんの見所が潜んでいます!

ここでご紹介したのはほんの一部。スパッカ・ナポリにはまだまだたくさんの見所が集中しています。

細い路地裏にあるサンセヴェーロ礼拝堂には、元も有名な「ヴェールに包まれたキリスト」像が横たわっています。薄いヴェールが冷たくなったキリストの肌に架けられている像は、大理石でできているなんて思えないほどリアルそのもの。また地下室のクリプタには、血管だけを残した人体や解剖器具が展示されているのも興味深いものです。

サンセヴェーロ礼拝堂の近く、通り沿いに目立たずひっそりとたっているのは、ナポリの化身「ニーロ像」。古代ギリシア・ローマ時代の像で、ナイル河を擬人化したものです。

ローマ時代の神殿の高さ11メートルもある円柱を利用して建てられた、8〜9世紀のサン・パオロ・マッジョーレ教会は、変わった構造の豪華なクリプタが必見。また、15世紀の宮殿をそのまま利用した石積みのファサードを持つジェズ・ヌオーヴォ教会の内部は、華麗な装飾で覆われ、左右の翼廊には素晴らしいフレスコ画で飾られた大礼拝堂が続いています。教会前の広場には、中央にインマコラータの塔があり、交通の要衝にもなる賑やかな一角になっています。

まだまだ紹介しきれませんが、これらの観光に便利でお得なカンパーニャアルテカードというものがあります。見所の入場や交通機関にも利用できます。MEMOにリンクしておきますので、どうぞご利用くださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2005/01/04−2005/12/30 訪問

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