写真:藍色 しっぽ
地図を見るサンセポルクロはトスカーナ州の北部にあり、テヴェレ川沿いに位置する小さな街。ピエロ・デッラ・フランチェスカが生まれ、また晩年を過ごした街としても知られ、旧市街はメディチ家に統治されていた時代にジュリアーノ・ダ・サンガッロによって造られた城壁で囲まれています。
もと市庁舎であった建物は現在市立美術館として街一番の見どころとなっており、「ミゼリコルディアの聖母」「聖ジュリアーノ」など、ピエロの代表的な作品を見ることができます。
中でも「キリストの復活」は彼の傑作にも数えられるフレスコ画。ピエロの大事な作品を押さえておきたい方は、まずここへ行きましょう。
写真:藍色 しっぽ
地図を見るサンセポルクロから20キロほど南西に向かうと、緑豊かな村が見えてきます。ここは、人口2000人足らずのトスカーナの小村、モンテルキ。サンセポルクロとアレッツォのちょうど中間地点に存在しています。
村内でかつて小学校として使われていたマドンナ・デル・パルト美術館には、地域の墓地より修復のために持ち出されたピエロの「出産の聖母」が今も展示されています。
出産を間近に控えた穏やかな表情の聖母が描かれた本作品は、その優しい姿を一目見たいと遠方から訪れる旅行者も多く、ピエロを理解するにあたっては見逃せない作品です。
写真:藍色 しっぽ
地図を見るさらに20キロ南西に進むと、ライフ・イズ・ビューティフルのロケ地としても知られるアレッツォにたどり着きます。アレッツォは主に中世美術の街として有名ですが、ピエロの作品が複数あることでも知られています。
その作品の一つを所蔵するのが、街の小高い丘の上にそびえる、13−15世紀に建てられたとされるドゥオーモ。このドゥオーモの左側廊に、「マグダラのマリア」のフレスコ画が描かれています。
ピエロの現存する作品は世界中を探しても数十点に満たないとされていますが、本作はその中でも特に保存状態がよく、鮮やかな色彩が印象的です。
写真:藍色 しっぽ
地図を見るアレッツォにあるもう一つのピエロの作品を持つのが、街のほぼ中心に建つサン・フランチェスコ教会です。こちらの教会に所蔵されるのは、ピエロの代表作というだけでなく、イタリア・ルネサンス美術の傑作として名声の高い「聖十字架伝説」。ピエロの手掛けた作品の中でも、最大の大きさを誇ります。
キリストの十字架の聖木にまつわる伝説を10のエピソードを通して物語るこちらのフレスコ画は、湿気で痛みが激しかった状態から修復され2001年より公開となりました。特に注目して観ておきたいのは、「ソロモンと会見するジバの女王」の場面。人物の生き生きとした身振り、高い臨場感のある情景描写が鑑賞のポイントです。
見学には予約が必要ですが、トスカーナ美術を理解するにあたっては見逃せない作品の一つです。
長きにわたりその存在と作品を忘れられてきたピエロ・デッラ・フランチェスカ。再評価されて以降は世界中から注目が集まり、最近ではイタリアのフォルリで行われた展覧会も記憶に新しいところです。
後世の多くの画家たちが自身の制作のヒントを得たとされるピエロの作品ですが、円熟期の作品は壁画が多いため、日本で作品を目にすることができる機会は多くありません。周辺の街を訪れた際には、ぜひ現地でしか見られないピエロの作品を見て、彼が活動の拠点としていた美しいトスカーナの風景に思いをはせたいものです。
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(2024/4/23更新)
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