ガイドブックに載らない重要遺跡「チェルバの水道橋/ペニャ・コルターダ」(スペイン)

ガイドブックに載らない重要遺跡「チェルバの水道橋/ペニャ・コルターダ」(スペイン)

更新日:2018/07/27 15:17

小林 理沙のプロフィール写真 小林 理沙 日本語教師、翻訳家
ローマ時代の遺跡ペニャ・コルターダ水道橋が、なんとスペインのバレンシア県の小さな街チェルバ山中に現存します。イベリア半島ではセゴビア、タラゴナの水道橋に次ぐ3番目の重要度を誇る遺跡ですが、その重要度とは反対に観光地とは無縁となっています。地中海性気候の植物や自然が形成した地形も見ながらトレッキング愛好者に混じって、当時の技術を結集した水道橋が建設された2千年以上の遥か昔に思いを馳せてみませんか。

風化してもなお立ち続ける水道橋に感じ入る

風化してもなお立ち続ける水道橋に感じ入る

写真:小林 理沙

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地中海地方の山は、山と言っても低く、山歩きの初心者にもある程度歩きやすくなっています。街の中心部から標識「Acueducto」(水道橋)が途中何度もありますので、それを目印に緩やかな傾斜の山を登っていきます。片道5kmほどのトレッキングコースです。

コースの中盤にさしかかる頃、かなり風化が進んだ水道橋が、今はオリーブ畑となった土地に今も残っているのが見えてきます。このような2千年以上も前の貴重な遺跡が、観光地化されず、自然と一体化して存在しているあたりが、スペイン人の大らかさを象徴しています。
メインの水道橋はもう少し先に行ったところにあります!

絶壁に架かる水道橋ペニャ・コルターダ!

絶壁に架かる水道橋ペニャ・コルターダ!

写真:小林 理沙

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少し傾斜のきつい岩山を登って行くと、急に展望が開けます。そこは岩山に立派な水道橋が架かっている風景。この橋は水の通り道であっただけではなく、交通路としても使われました。全長36m、高さ18mの橋は、両脇に何もないので渡るのはスリル満点です!

また、この水道橋ペニャ・コルターダは、2004年にスペインの歴史的重要文化財に指定されています。

裂けた岩壁も圧巻の風景!

裂けた岩壁も圧巻の風景!

写真:小林 理沙

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水道橋を渡ると間もなく現れるのが、幅2mしかない約50mの道です。両側には25mもの高さの岩があります。自然の大きさか、または人間の小ささを実感させられるような不思議な場所です。

水道橋の名称ペニャ・コルターダは和訳すると「切り裂かれた岩」という意味で、この岩壁から由来しています。

洞窟探索!

洞窟探索!

写真:小林 理沙

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上の高い岩壁を通り抜けると、今度は岩山の間を通る洞窟のような道があります。途中、岩の間から他の岩山の景色が見渡せます。バレンシアのシンボルはコウモリで、田舎の方では夜飛び回るコウモリをよく見るものですが、この洞窟にはコウモリはいません。

スペインのバルではボカディーリョとかボカディージョと呼ばれるバゲットを持ち帰り用にも頼めますから、食べ物や飲み物を持参して、景色を見ながら一休みしてもいいですね。

山歩きの後は、お食事タイム!

山歩きの後は、お食事タイム!

写真:小林 理沙

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水道橋から約2km山道を下ると、チェルバの中心部に付きます。食事時には満席になるほど「リンコン・デ・ロス・パコス」(Los Rincon de los Pacos)は地元民に愛されるレストランです。

バレンシアはパエリア発祥の地です。鶏肉やモロッコインゲンなどが入ったバレンシア風パエリアや、パスタ版シーフードパエリアと呼ばれるフィデウアなど定番ローカルフードもおすすめです!

まとめとして、

チェルバには車を借りて行くのが一番便利です。バレンシア市から約70km、約1時間の距離にあります。観光ガイドブックにも載っていない街ですが、紀元前に建てられた水道橋を訪れるだけでも大変価値があります。水道橋近くは、このトレッキングルートで唯一本格的な山登りになりますが、他は比較的穏やかで歩きやすい道となっています。

今となっては、山歩きを楽しむ人以外は行かないような山の中に、水道橋をローマ人たちが建てたのは興味深いことです。
遺跡巡りがお好きな方、ローマ時代に関心のある方、また山歩きを楽しみたい方に特におすすめのチェルバの水道橋をご紹介しました。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/05/18 訪問

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