考古学ファン「鹿男あをによし」ファン必見!!黒塚古墳&三角縁神獣鏡と謎の『U字形鉄製品』に迫る!?

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考古学ファン「鹿男あをによし」ファン必見!!黒塚古墳&三角縁神獣鏡と謎の『U字形鉄製品』に迫る!?

考古学ファン「鹿男あをによし」ファン必見!!黒塚古墳&三角縁神獣鏡と謎の『U字形鉄製品』に迫る!?

更新日:2013/09/10 13:57

いずみ ゆかのプロフィール写真 いずみ ゆか ライター

黒塚古墳と言えば、1997年の発掘調査で実に33枚もの三角縁神獣鏡が発見され、卑弥呼が魏から貰った100枚の鏡なのか?と邪馬台国論争を再燃させた考古学ファンなら一度は訪れたい有名な古墳です。またドラマ「鹿男あをによし」のロケ地としても有名です。

実はあまり知られていませんが、三角縁神獣鏡以外に邪馬台国論争に関わる謎の出土品の存在があるのです。
今回はその謎の出土品のミステリーをご案内します!

これぞ前方後円墳!!周濠に落ちる美しい墳丘の影

写真:いずみ ゆか

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奈良県天理市のJR柳本駅を降りると、目の前に昔ながらのレトロで可愛らしい商店街があります。その商店街をまっすぐ歩いて行くと約5分ほどで集落の中にこんもり茂った緑の小山が見えてきます。まるでトトロの森のよう。

黒塚古墳は日本最古の歴史の道「山辺の道」の道沿いにあり、近くに崇神天皇陵に指定された行燈山古墳(あんどんやまこふん)や景行天皇陵に指定された渋谷向山古墳(しぶたにむかいやまこふん)がある柳本古墳群に属する古墳です。
3世紀後半〜4世紀前半に築造されたと推定される美しい前方後円墳です。生前墓として墳丘自体が事前に作られた事が判明しています。
開発や盗掘などで原型を留めない古墳も多い中、当時の姿をほぼ良好に残していると言われており、周濠の池に映る姿はとても優美!古代のロマンを感じます!

なんと織田家のお城は古墳であった!?

写真:いずみ ゆか

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まず前方後円墳の方形の部分から散策し、円墳部分の頂点まで階段で登ります。

柳本は興福寺の荘園として荘官の楊本(やなぎもと)氏が治めていました。
その後黒塚古墳は中世、戦の砦城として楊本(柳本の旧名)城になり松永秀久の手に渡って、甥の松永金吾が入城しました。
織田信長と松永秀久との戦で松永秀久が敗れると、大和柳本藩として織田信長の弟・長益の息子で織田尚長(なおなが)が初代藩主になり、黒塚古墳は柳本陣屋として利用されたのです。
この大和柳本藩の織田家は明治期になるまで続きました。

古代から中世まで想いを馳せながらの散策も良いものです!

まるでタイムカプセル!!盗掘を免れた珍しい石室

写真:いずみ ゆか

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前方後円墳の頂点から降りると、左手に天理市黒塚古墳展示館があります。ドラマ「鹿男あをによし」にも何度も出てきましたね!
館内の展示品は精巧なレプリカですが、黒塚古墳発掘当時の石室の様子や三角縁神獣鏡をはじめ、全ての出土品に関する考古学の詳細な説明がなされていて黒塚古墳の考古学的価値や重要性を知るには持って来いです。(レプリカのため展示品は写真撮影が可能です。)
過去の天理市埋蔵文化財報告書を閲覧、購入も出来て考古学ファンにはたまらないですよ!

竪穴式石室と副葬品の配列の再現は発掘当時を体感出来ます。鎌倉時代に盗掘が試みられましたが、地震で崩落し石室まで墓荒しは入れなかったのです。そのためタイムカプセルのように埋葬当時の状態で発見されました!「鹿男あをによし」のドラマの中で「三角」の秘密について重要な会話がされたのもこの再現レプリカ前でした。

棺の外側に33枚の三角縁神獣鏡があります。棺の内側の魔除けの水銀朱(=丹朱・辰砂)は赤色が濃くなっている部分です。濃い水銀朱の端に1つだけある小ぶりな鏡は直径13.5cmの画文帯神獣鏡(がもんたいしんじゅうきょう)で遺骸の頭部に置かれていたようです。この鏡は中国製である事がほぼ判明しています。遺骸の頭部は北を向いており、現在の死者を北枕に向ける事と共通していて興味深いですね。
魔除けの水銀朱は古来、中国では水銀は不老不死の薬として珍重されており、ヨーロッパでは錬金術の賢者の石=水銀朱だったので古代日本でも貴重な物だった様です。

実は・・・写真の左下(一番下の鏡の更に下)に謎の出土品『U字形鉄製品』があるのです。

一体誰のお墓なのか?謎が謎を呼ぶ用途不明な出土品に迫る!?

写真:いずみ ゆか

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黒塚古墳の埋葬者は誰なのか?正直に言うとまだはっきり判っていません。遺骸も棺も腐敗して残っていなかった事も原因です。
色々な説があり、例えば9代開化天皇の后でイガシコメ(伊香色謎命)の弟イガシコオ(倭人伝に出てくる倭載斯烏越か?)の墓という説。このイガシコオの子で垂仁天皇の5大夫の1人、物部連の祖の十千根(とおちね又はといちね)の墓説。倭の五王の宰相クラスの墓説などがあります。

その中で西暦239年に卑弥呼が魏に使いを送った時の大夫(大使)難升米(なしめ)の墓ではないか?という説があります。
謎の出土品『U字形鉄製品』は実は発掘調査報告書ではっきり「用途不明」と記載されています。要は何なのか分からないのです。
X線透過法ではこのU字形鉄製品にはリボンのように絹織物が巻きつけてあった事が判明したそうです。またU字形の2本の鉄棒の間にV字形の鉄板製の管がありました。
この事から謎の「U字形鉄製品」は『黄幢(こうどう)』ではないか?と推測された学者の方がおられます。
『黄幢』とは天子が部下に軍事指揮などの権限を付与した印として与えた旗のような物です。
三国志の魏書東夷伝に「その六年(245年)、倭の難升米が黄幢 (こうどう)を賜わり、 (帯方)郡経由で仮授した」と記載があり、もしこの謎の「U字形鉄製品」が本当に『黄幢』なら、黒塚古墳は卑弥呼の大夫の難升米の墓として邪馬台国は近畿にあった!となる訳で・・・。
そして当時、魏は高句麗と緊張状態(戦状態)にあったので魏と倭で軍事同盟が結ばれていた!となる訳です。

ただ残念な事に、西暦239年に卑弥呼が魏に遣魏使節を送り、「親魏倭王」の金印を授かった事は有名ですが、実はその時大夫である難升米は銀印を授かっています。黒塚古墳からは銀印は出土していないのです・・。
あと、個人的にはもし『黄幢』ならそのような大事な物は棺の中に入れる筈なので、写真からも分かるように棺の外側には置かないのでは・・と思ったりもします。
でも『黄幢』かも!?と思って見てみるとロマンが溢れますね!!

黒塚古墳を訪れたら、レプリカですが『U字形鉄製品』を一度見て頂きたいのです!!
皆様は何だと思いますか?何のために石室に埋葬したのでしょうか?色々思いを巡らして頂き、是非この謎を解いて頂きたい!!

この謎の出土品『U字形鉄製品』のレプリカは天理市黒塚古墳展示館の1階に展示されています。

日本製?中国製?かで分かれる邪馬台国論争!!と鹿男あをによしの「三角」でも有名な『三角縁神獣鏡』!!

写真:いずみ ゆか

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黒塚古墳と言えばやはり、33枚の三角縁神獣鏡は外せません。ドラマ「鹿男あをによし」で綾瀬はるかさん演じる藤原先生が熱く語った、あの鏡です!!
天理市黒塚古墳展示館の2階に33枚全ての精巧なレプリカが展示されています。
出土した三角縁神獣鏡には卑弥呼が遣魏使節団を送った景初3年(239年)の年号を持つ鏡や「銅出徐州」の記載がある3・22・32号鏡、「師出洛陽」の記載がある3号鏡がある事で三角縁神獣鏡は中国で作られた卑弥呼が魏から貰った100枚の銅鏡の一部なのでは?だから邪馬台国は畿内にあったのだ!という説があります(畿内説)。
しかし三角縁神獣鏡は中国本土で1枚も出土していないので国産なのだ!だから邪馬台国は畿内にあった証拠にはならない(九州説・九州から畿内変遷説・出雲説・四国説など)という説もあります。
いやいや、中国の工人が中国産の銅を使用し日本国内で作ったのだという説などもあります。(黒塚古墳の近くに古代の環濠集落跡の唐古・鍵遺跡があり、製銅の跡や大陸系(中国南方系?)弥生人の成人男性の人骨が発見されているのでありうるかもと思ったりします。)

色々説はありますが、私はここに来たら是非、三角縁神獣鏡の1枚1枚の図柄を楽しんで頂きたいです!!7号鏡は当時日本には知られていなかったラクダが描かれていたり、17号鏡は魚を咥えた水鳥や亀・蛙・魚など水の中を覗いたような図柄です。また中国の神仙思想の影響を受けた崑崙山に住む不老長生の神々、「西王母」と「東王父」がかなりはっきりと描かれている鏡も多く、とても面白いですよ!

邪馬台国論争はあまりに色々な説が多く、正直紹介しきれないほどです。まだ私の知らない説もたくさんあります。謎が謎を呼ぶから人々の心を掴んで離さないのでしょう。逆にはっきりここだ!と判ってしまうとつまらないのかもしれません。
現地に赴いてこそ、古代史ミステリーは体感出来ると思います!皆様も是非!

最後に

いかがでしたでしょうか?
黒塚古墳は三角縁神獣鏡のイメージがかなり強いと思うので、違う角度から考古学や邪馬台国論争に興味を持って頂けたら!と思いご案内してみました。黒塚古墳はこの地域が邪馬台国かどうかはわかりませんが、大和政権の中心であった事を教えてくれる重要な遺跡です。ちなみに本物の出土品は橿原考古学研究所で保存処理が施されて保管されています。

ドラマ「鹿男あをによし」は奈良在住の者にとっては奈良の色々な所を紹介しくれた素敵なドラマでした。ドラマや原作小説の世界に浸るも良し!邪馬台国や古代大和政権に思いを巡らす事もまた良し!
黒塚古墳を訪れて、考古学や古代史の魅力に皆様も是非憑りつかれてみて下さい。

余談ですが、古墳は公園として整備されている所が多く、実は子連れで行くには最適です。遊具で遊んだり、散策を楽しみながらお子様と古代の世界にタイムスリップしてみて下さい。天理市黒塚古墳展示館のお手洗いは多目的トイレがあり、オムツ交換台もあって便利ですよ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/09/05 訪問

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